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②
彼は私にいつもと同じことを言った。
「本当に君の発明は偉大だ。おかげで世の中から犯罪は遥かに減った。」
私もいつも通りの返答をする。
「あれは出来損ないです。私はタイムマシンを作るつもりだったのです。ところが人が時を移動するのは、私には出来なかった。出来たのはこの未来視程度のものですよ。」
謙遜でなく、本当にそう思っていた。
私の研究の副産物で人類に多大な影響を与えてしまった。挙げ句の果てに自分の理論ではタイムマシンが出来ない事が分かってしまった。
犯罪を肯定するわけではないが、これのお陰で人権すらも脅かしかねない。
私がこれを作った途端に国は、最高機密に認定し、一般には明かさず運用している。この後ろめたさは自分一人で抱え込むには気が狂いそうだ。
「うむ、今日は具合が悪そうだな。帰宅してもらって構わんよ。」
彼は私の顔色が悪いことに気づいてか、早退を打診した。
「ええ、そうですね。本日はこれで失礼します。」
私はそのまま病院へ向かった。
「あら?今日は早かったのね」と私の妻が笑う。
「うん。上司が気を利かせてくれてね。」
「いい上司さんね。なんだって今日はこの子の予定日ですもの」
寝たままの妻が大きくなったお腹を撫でながら微笑む。
「ところで、国から書類が来てたわね。後で見てくれる?」




