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第六回 学校へ行こう 義妹・小学校編

 学校へ行こう(義妹・小学校編)



「「いってきまーす」」


 宗が家を出て、三十分後に玲美と魔夜が家を出る。


「はぁ」


 家を出たかと思うと玲美がいきなりため息をついた。


「どうしたの?お姉ちゃん」


「いや、天真ちゃん大丈夫かなって思って」


「気にし過ぎだと思うよ。お父さんとお母さんもいるし」


「う、うん」


 どうやら親バカが新学期から発動しているのは宗だけではなかったようだった。


「なんだか、板についてきたって感じだね」


「なにが?」


「ふふふ。ママが、だよ」


 その言葉を聞いて玲美は顔を真っ赤になる。


「その赤面は天真ちゃんのママとして?それともお兄ちゃんの妻として?」


 魔夜はニヤニヤした顔を玲美に向ける。


「本当にお、お父さんに似てるね」


「ぐふっ」


 魔夜に100のダメージ。


 それにしても、まだ真麻のことをお父さんと呼ぶのは厳しそうにしていた。


「お父さんのこと呼ぶのまだちょっと厳しい?」


「う、うん。まだちょっと緊張する」


「お兄ちゃんのこともまだ呼べてないよね」


「うっ。だ、だって」


「まあ、お兄ちゃんは私から見ても反則だと思うけど」


 魔夜はやれやれとため息をついた。


「妹の私から見ても顔はいいし、頭もいいし、性格いいし、運動神経もいいし」


「う、うん」


「まあ、弱点もあるし、完璧じゃないけどね。あれはまさに王子様だよね。そんな

人にいきなりお兄ちゃんなんて呼べないよね」(まあ、実際に王子様なんだけど

ね)


「うん」(そう言う魔夜ちゃんはまさにお姫様って感じがするんだけどな)


 玲美が思っていることはまさにズバリ魔夜たちの正体を言い当てていたが、まさ

か本当に王族だとは思いもしなかった。


「まあ、もしお兄ちゃんに惚れちゃったら言ってね。天真ちゃんのママってことで

外堀は埋まってるんだから」


「・・・」


 何も言えずに顔から湯気を出す玲美。


「まあ、この話は惚れたらね。それより、学校行ったら本当に気をつけてね」


「うん」




               ・・・




 玲美が学校に着くとすぐに職員室に向かった。


職員室に入って近くにいた教師に転校生だということを伝えると担任の所まで案内

してくれた。


「きみが真尾玲美だね」


 担任の教師のところに行くと眼鏡をかけた渋めのナイスミドルがそう言った。


「はい」


「私が君の担任の浅宮玄太だ。よろしく」


「よろしくお願いします」


「まあ、君の妹から聞いているかと思うが、気をつけるように。真尾宗の担任もし

ていた身だから分かるが、あれの人気は想像を超えるぞ。気を引き締めておけ。

黙っていても君が真尾宗の義妹なのはすぐバレるぞ」


「はい」


「それじゃあそろそろ時間だから行こう」


「はい」


 この念の押しようは確かにやばいかもしれない。そう思う玲美であった。




             ・・・




「席につけ」


 浅宮がそう言うとすぐに席に着く生徒たち。どうやらかなり統率能力の高い教師

のようだ。


「それじゃ、点呼の前にお前たちも気になっているだろう転校生を紹介する。入っ

てこい」


 浅宮がそういうと生徒たちがざわつくが、玲美が教室の戸を開けるとすぐに静か

になった。


「それじゃ、自己紹介してくれ」


「は、はい」


 返事をした玲美は黒板に名前を書いて前を向いた。


「はじめまして。真尾玲美です。趣味は小説を読むことです。太陽ゆうみの小説の

ファンなので太陽ゆうみの小説を特に読んでいます。これから半年間だけになりま

すが仲良くしてください。よろしくお願いします」


 そう言ってお辞儀をする玲美。ちなみに太陽ゆうみとは悠美のペンネームであ

る。


「よし。お前たちも聞きたいことはたくさんあることは分かっている。だが、とり

あえずそれは休み時間にするように。それじゃ真尾はそこの席に座るように」


 そう言って指差されたのは教室にある2つの戸のうちの後ろ側の戸のすぐそばで

あり、いざとなったら逃げられるようにという浅宮の心遣いがある席であった。


「はい」


 玲美はその指示に従ってその席に座った。


「それじゃ、点呼取るぞ」


 こうして玲美の新しくも短い小学校生活が始まった。




              ・・・




 休み時間になると案の定、玲美は質問攻めにあっていた。


本来なら玲美もかなり可愛らしい少女であるため、男の子からの質問攻めになるは

ずだが、今、玲美を質問攻めにしているのは女の子たちだ。


「ねえ!真尾さんってもしかして真尾宗さんの妹さんなの⁉」


「え、ええ」


「「「「「「「「「「キャーーーーー‼」」」」」」」」」」


「でも、宗さんの妹さんって一人って聞いてたんだけど」


「お、お母さんが再婚してそれで妹に」


「えー。いいなー‼私も宗さんの妹になりたーい」


 そう一人の女の子言うと他の女の子たちも口々に「私も~」と言い出した。


「ねえ。今度遊びに行ってもいい?」


 と言ってはいるが明らかにこれは宗に会いたいだけ。


「ご、ごめん。今はまだ再婚したばっかりでバタバタしてて。もう少し落ち着いた

らね」


 実際、今来られても困る。真尾家には社会的に爆弾である天真がいるのだから。

万が一彼女たちが家に来て天真に今の真尾家の状況を話されたら、つまり宗と玲美

をパパとママと呼んだら完全にアウトなのだ。


「そうね。その時は是非招待してね」


(まあ、私もさすがにこれは分かる。これは違う。ちゃんと友達になった人以外は

呼ばないようにしないと家族に迷惑がかかる。特にお、おにい・・おに・・・

い・・ちゃ・・んにも!)


「顔が急に赤くなったけど大丈夫?」


「え、ええ。大丈夫」


 と、玲美は周囲を見回す。玲美は宗にも魔夜にも接点がある玲美に興味がなさそ

うにしている人を探した。


 すると、一人だけいた。玲美とは反対に窓際の席にいる女の子。その子は宗のこ

とはあまり気にしていないようだった。


(声をかけるのは周りが少し静かになったらかな)


 そんなこんなで玲美の新しい学校生活初日はかなり疲労して終わった。




           ・・・




「はあ」


「やっぱり私の考えた通りになったね」


「うん。あれはあからさますぎる」


 放課後、帰ろうと校門まで行ったのだが、女の子たちがそれについて来たのだ。


 どうやら玲美と一緒にいれば宗に会えるかもと思ったようだ。

 

 そして、どうしたらいいか悩んでいたところに魔夜が来てくれたのだ。

 

 魔夜はすぐに玲美の現状を察してついてきたみんなに「ストーカーはやめてくれない?」と冷たく言い放ち、追い払っていた。


「あんなことをしてもお兄ちゃんは逃げちゃうのに・・・。何も考えてないんだから・・・」


 ふぅ。とため息をついて呆れている魔夜。


「あれは私でも気づくよ」


「さ。天真ちゃんが待ってる。帰ろ」


「うん」


 玲美と魔夜は駆け足で帰っていった。




           ・・・




 そして駆け足で帰ってきたおかげでいつもより早く帰ってきた玲美と魔夜。


 でも、どうやら二人より先に宗が帰って来ていたのか、家の中から宗の声が聞こえてくる。


「お兄ちゃんに先越されちゃったね。いこ?」


「うん」


 そして扉を開けた。




「「ただいま!」」





読んでくれて感謝です。

次は27日投稿です。

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