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第四回 再び家族会議

これとは別に新しい作品を投稿し始めました。

そちらもよろしければぜひご覧になってください。

タイトルは「ハイ・ハイ・ハイ!」です。

よろしくお願いします!


それとは別に、今回の話もどうぞ!


 再び家族会議



「それじゃ、さっき言ったように今後の問題を挙げていくぞ」



 真麻がどこからか持ってきたホワイトボードに書いていく。


((((このホワイトボード、どこから出したんだろ))))


 顔には出しませんが真麻以外のみんなが心でそう思っていた。


「まずは、学校についてだ。この夏休みが終われば、宗は中学校に。玲美ちゃんと魔夜は小学校に行かなければいけない。特に玲美ちゃんは転校という形でだ」


 真麻がホワイトボードに学校と書いていく。


「この間は俺と悠美さんが天真を見ていることになるんだが、このとき浮上してく

るのは何だと思う?」


「天真ちゃんがお兄ちゃんに異様に懐いていることだね」


 真麻の問いに魔夜が答えた。


「そう。この問題は大きい。下手したら一人で家を抜け出して宗を探しに行ってしまうかもしれない。しかし、それはさすがに洒落にならない」


「確かに」


 玲美もその考えに頷く。


「幸い、宗は部活動に入っていないので学校が終わればすぐに帰宅すればいい。だが、宗より先におそらく玲美ちゃんや魔夜の方が先に帰宅することの方が多いだろう」


「まあ、小学校だし」


 宗が相槌を打つ。


「そこで、緊急事態を考えて宗には秘策を用意してある。準備に時間が掛かってしまうので現在は使えないがな。まあ、これはみんなにはまだ内緒だ」


 というか、玲美には内緒という意味でだ。


 ホワイトボードに宗の名前を書き、その下に秘策と書く。


「問題はパパ関係ではなく、ママ関係で天真がぐずったときの場合だ」


 真麻はホワイトボードに玲美の名前を書く。


「生憎、宗の秘策は宗にしか使えない。玲美ちゃんには秘策がないのだ」


 玲美の名前の下に×をつける真麻。


「みんな、何かいい案はないか?」


 真麻がみんなに問う。


 みんなが悩んでいる中でふと宗がいい案を思い浮かんだ。


「そうだ。携帯電話。携帯電話なら休み時間で電話出来るんじゃないか?」


「それだ!」


 真麻は玲美の名前の下にあった×を消し、携帯電話と書く。


「それじゃ、明日にでも早速買いに行くか」


「そうね。私も持たせようとは思っていたからちょうどいいわ」


 悠美も同意のようだ。


 保護者がいいならこの件は解決だ。


 でも、


「買うのはもうちょっと後でもいいんじゃない?」


 と摩夜が言う。


「学校で私たちのこと聞きたいがためにお姉ちゃんに電話番号聞いて来る人、多分いると思うし・・・」


「そうだな。じゃあ、落ち着いた頃に買いにいくか」


 真麻はそう言ったところでふと、思い出す。


「宗たちも持ってなかったな。ちょうどいい。ついでに宗と魔夜にも買っておくか」


「あら。宗君と魔夜ちゃんに買ってなかったの?二人ともしっかりとした雰囲気してるからもう買ってもらってると思ったわ」


 悠美は意外そうな声で言う。


「まあ、必要性をあんまり感じなかったし」


「そうそう。言い寄ってくる男子に番号教えて教えて言われるの鬱陶しかったし」


「魔夜ちゃんやっぱりモテるんだね」


 納得顔で感心する玲美。


「私よりお兄ちゃんの方がすごいよ。中学で生徒が増えている分余計に」


「ん?そうなの?」


 どうやら宗は自分がモテているという自覚がないようです。


「じゃあ、お兄ちゃん。夏休みに入る直前に女の子から二人で遊ぼうって言われた回数教えて」


「ん~。同級生から30回くらいかな」


「そ、その言い方だと上級生からも?」


 玲美が恐る恐る聞く。


「うん。二年生から15回くらいで三年生から20回くらいかな」


「どうです?さすがに私もここまで多くはありません。私、お兄ちゃんが小学校卒業した今でさえも女の子からお兄ちゃんについて聞かれるもん。ちょー疲れるよ」


 玲美は戦慄する。


 まあ、当たり前ではある。宗も魔夜も一界の王族なのです。古今東西、王族は美男美女と決まっているのだ!(超力説)


 宗の容姿はまさにプリンスって感じの見た目でさわやかオーラがハンパじゃないのだ。


 少し鋭い目をしてはいますが優しそうな顔立ちと雰囲気でそれも相殺している。


 魔夜の容姿もまさにプリンセスといった感じで少しだけ癖のありそうな雰囲気を醸し出してはいるが、パッチリとした目が可愛らしさに磨きをかけている。


 こんな二人がモテないはずがない!(再び超力説)


 玲美も初対面では超緊張していたのだ。


 そう。


 初対面の玲美のあの動揺っぷりは宗、真麻、魔夜の顔面偏差値故なのだ。


 玲美はその時、心の中で思った。


(へ、偏差値高過ぎ)


 まあ、それも今は天真のおかげもあってか大分慣れてきたが。


「まあ、だからお姉ちゃんも気をつけた方がいいよ」


「えっ⁉なんでなの」


「だって、これから真尾って苗字で私のいる小学校に転校してくるんだよ?そ

りゃーお兄ちゃんについて聞かれたり、お兄ちゃんとの仲を探られるだろうし。もし今の状況を知られたら敵視されるかもだし」


「な、なんか俺のせいでものすごいことになってるんだな。魔夜も言ってくれればよかったのに」


 宗も申し訳なさそうにしている。


「そんなことしたらお兄ちゃん、王子様みたいに私にお兄ちゃんのことを聞いてくる人達の希望を叶えまくるでしょ」


 玲美もそうなることがすぐに想像できたのか、何度も頷いていた。


「いいじゃないか、それで」


「よくないの!そんなことしたらまたそう言ってくる人達が増えるでしょ‼」


「あ、そうか。確かにそうだな」


 宗もやはりどこか抜けている。


「それに、今のお姉ちゃんの立場を考えてみてよ」


「あっ」


 そう言われて玲美は顔を赤くした。


「そう。天真のパパとママ。つまり夫婦なの。こんなこと学校のみんなにばれたら大変なことになっちゃう」


 夫婦と言われて恥ずかしくて赤くなる宗とさらに真っ赤になる玲美。


「なんか、微笑ましくもあるな、この二人」


「ええ。そうね」


 真麻と悠美が温かい目で宗と玲美を見ていた。


「とにかく、このことも学校では秘密にすること」


 そう言って魔夜は真麻のホワイトボードに夫婦は秘密と書いた。もちろん、宗と玲美の名前の間に。


「あとは、体力的問題か」


 真麻は悩ましそうにため息を吐く。


「これが一番難しい案件だな」


「そんなこと言われたって」


 宗はこの言葉にちょっと困った顔をする。


 そして真麻と小さな声で


(父さん。実際は俺と魔夜は精神的疲労だけだよ?父さんのせいで玲美ちゃんと同じ辺りで疲れた演技はしてるけど)


(分かってる。俺のせいなこともあって余計にな。まあ、任せろ。俺にいい考えがある)


(お、おう。そこまで自信があるなら任せるよ)


「ゴホン‼」


 真麻は咳払いをして場の空気を変える。


「俺にいい考えがある。しかも一石二鳥なやつがな」


「ホントに?」


 魔夜も真麻の言葉に疑いを持つ。


「少しはお父さんを信じて・・・お願い・・」


 真麻は魔夜の口撃に今にも泣きそうだ。


 しかし、なんとか持ち直して言う。


「とにかく。俺が考えた案はこれだ!」


 そう言ってホワイトボードに書いていく。


 そして書き終わり、そこに書いてあったのは


「「「武術?」」」


 三人の声がハモった。


「ああ。これなら玲美も魔夜も自分で自分の身を守れるし、体力もつく。まさに一石二鳥!どうだ、この案」


 真麻は超ドヤ顔だ。


「でも、教えてくれる人は?」


 魔夜がもっともなことを言う。


「いるじゃないか。ここに何でも完璧にこなしちゃう王子様が」


 その言葉に家族が目を向けたのはもちろんのことこの人だ。


「お、俺?」


 そう。宗である。


「お前、俺の部下たちに色んな事教えてもらってただろ。勉強から武術まで部下たちが出来ること全般」


「ま、まあ教えてもらってたけど」


 しかし、問題が出てくる。


「父さん。俺が教わったのは武術じゃなくて戦闘術だよ」


「似たようなもんだろ」


「そんな発言しちゃダメ!色んな所にケンカ売ってるよ」


 宗は真麻の発言に慌てふためく。


「おお。すまんすまん」


「まったく。まあいいや。それで俺は二人に戦闘術を教えればいいのか?」


「おう。俺はそっちはからっきしだからな。お前にしか出来んのだ。部下達には頼れないしな」


「まあ、いいけど。その代わりに教えている間は天真のことは任せたからな」


「おう。悠美さんに任せろ」


「そこは俺に任せろって言えよ。情けない」


 宗は心底呆れている。


「まあ、学校もあることだし、まだ、始めなくてもいいけどな」


 真麻はそのまま武術と書いているところの下に「決定‼」と書いていく。


「あれ?すごい勢いで決まっちゃったけど、きょ、拒否権あり?」


 魔夜が嫌そうな顔を真麻と宗に向けてくる。


 玲美も少々困惑気味だ。


「「もちろん、ない!」」


 超力強い返事が宗と真麻から出た。


「それじゃ、これで今回の家族会議は終了かな」


 真麻が最後に玲美と魔夜の名前の下に「戦闘術を習う」と書き足した。

 

 その下に師匠・宗と書かれる。


「ちょっと。これは恥ずかしいんだけど」


「我慢我慢。魔夜も玲美ちゃんももっときつくなるんだから」


「三人とも頑張ってね」


 悠美が声援を送ってくれる。


「はあ、これはもう頑張るしかないね。頑張ろ、お姉ちゃん」


 魔夜は諦めたようだ。


「う、うん!頑張ろう、魔夜ちゃん」


 実は内心魔夜にお姉ちゃんと言われるのが嬉しい玲美。


 まあ、まだ宗のことは兄と呼ぶのは恥ずかしいようではある。


「それじゃ、解散だ」


 今回の家族会議はこれにて終了。


 宗は急いで天真が寝ている自分の部屋に戻っていった。


 玲美も寝る前に天真の顔を見たいのか、宗についていく。


「あの姿を見ているとホントに親バカ夫婦だよな」


「そうね」


「はぁ。確かに、こればっかりはお父さんに賛成」


「魔夜ちゃん、もうやめて。お父さんのライフはもうマイナス振り切ってるの」


 真麻は心が折れたようだ。


「悠美さん。俺を癒してくれ」


「はいはい。それじゃ、魔夜ちゃん。おやすみ」


「おやすみ。お父さん、お母さん」


 そうして真尾一家の夜は過ぎていった。






読んでくれて感謝です。

次は4月13日投稿です。

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