第二回 家族会議
書き溜めしていた文章がデスマス調なのでちゃんと直っているか不安です。
もし、直っていない部分やおかしな部分があればご指摘、お願いします。
では、二話目です。どうぞ。
家族会議
その後、宗と女の子がどうなったかというと。
宗を起こしに来た魔夜に速攻で見つかってしまっていた。
「こうなるとは思ってはいたけどね。うん」
宗は今、リビングで家族に囲まれている。
そこで宗は正座になっていた。
「で?お兄ちゃん。パパって何なの?」
「パパ」発言を聞いていないかと一瞬期待した宗だったが、あっさりと希望は打ち砕かれた。
「い、いや俺もよくわからないんだよ!朝目が覚めたらこの子の顔が目の前にあって、急に抱き着いてきたんだ。そしてパパって・・・」
ちなみに問題の女の子はこの状況下でも宗にべっとりとくっついている。
「昨日初めて会ったんだよね?なんでそれでパパになるの?お兄ちゃんに懐きすぎじゃない?」
昨日の今日でまた家族会議が開かれるとは思ってもみなかった宗。
「あ、あの。それでこの子は宗君の子ども、な、なんでしょうか?」
昨日の会議にはいなかった玲美が明らかにドン引きしながら宗を見てくる。
「そ、そんな訳ないよ!」
宗はその疑問を急いで訂正する。
「そ、そうですか」
それでもドン引きしている玲美。
どうやら宗に子どもがいるというところに引いているのではなく、今、女の子に抱き着かれていいようにされている(まあ、懐かれている)ところにドン引いているようだ。
普通に考えれば中学一年生である宗に子どもがいることなぞありえないと考えるだろう。
「それで、宗。どうするんだ。これじゃ警察も動いてくれないぞ」
これを好機と思ったのか真麻が宗に問う。
「警察に迷子ですと言っていた女の子が宗のことをパパと呼んでいる。これでは明らかにイタズラだと思われる」
「うっ!そ、そうだね」
「届出自体はしているんだから当分はお前が親になって過ごしたらどうだ」
とんでもないことを言いだす真麻。ちなみに届出は真麻の嘘である。
宗もその言葉に呆気に取られている。
「無茶苦茶だ‼俺はまだ中学生だぞ」
宗は断固として反論する。
「でもな~。どうせお前には若いうちに世継ぎを誕生させてもらわないと困るしー」
「ちょっ⁉玲美ちゃんもいるのにその話は」
宗は色んな意味で焦りだす。
「でもー。困るのは俺よりむしろフェルドマだよなー。部下を困らせていいのかなー」
自分のことを棚上げして宗をいじるもとい、責める真麻。
「ぐう」
「ちょうどいい練習になると思うよー?俺もちゃんとフォローするし」
「わかったわかった!わかったよ。やってやるよ!」
ヤケクソ気味に叫ぶ宗。早めにこの話題を終わらせないと玲美に真麻がちゃんと正体について話さない。
間接的に知られるのは真麻的にも宗的にもタブーなのだ。
それを分かっていてこの話題をする真麻はある意味しっかり魔王だ。
「おお!それでこそ俺の息子」
「でも、父さんのフォローはあんまり期待できないから母さん。助けてくれないかな?」
「おい!なんで俺は期待できないんだよ!」
「だって父さん。俺の育児は任せっぱなしってフェルドマから聞いてたし。魔夜の育児も任せっぱなしだったじゃん」
ちょっと悠美の真麻に向ける目線が鋭くなる。
「バカ!それは周りの奴らがやれせてくれなかったんだよ!俺だって自分の手でお前ら育てたかったわ!」
その言葉を聞いて悠美の視線は和らぐ。
「まあまあ。真麻さん落ち着いて。宗君も安心して。もちろん協力させてもらうわよ」
「ありがとう!母さん」
宗のその言葉に嬉しそうにする悠美。
「?」
宗はよく分かっていないようですが、どうやら宗に母さんと呼ばれたことが嬉しいようだ。
「まあ、お兄ちゃんが親をやるって言っても問題は学校に行っている間だもんね。今はまだ夏休みだからいいけど、もうすぐ新学期だよ」
魔夜は宗が子育てする場合の一番の問題を言う。夏休みが終わることに少し憂鬱そうな顔をしているが。
「まあ、基本的に家にいる父さんと母さんに任せるしかないよ」
宗はそう言ってため息をつく。
「おう!任せろ」
自信満々に胸を張る真麻。
「ちょっと不安になってきた・・・」
「安心して。ちゃんと私も見てるから」
悠美が宗にそう言って微笑む。
「うん。お願い」
その言葉にしょげる真麻。
しかし、真麻がふと思ったことを口にする。
「ここまで決まったのはいいけど、その前にこの子の名前聞いてなくね?」
その言葉にアッとする新真尾一家。
「そ、そういえば」
宗は急いで自分に今なお飽きずに抱き着いている女の子に名前を聞く。
「きみ、名前を教えてくれるかな?」
女の子は嬉しそうに笑って答える。
「テンマ!」
「そうか。テンマか。俺は宗って言うんだ。よろしくね」
「うん。パパ!」
名前を名乗っても宗は結局パパのままであった。
「じゃあ、みんなも紹介するね」
宗がそう言って女の子改め、テンマを自分の膝の上に座らせる。
「俺と同じ髪の色をしている女の子がパパの妹の魔夜」
「まやー」
テンマが魔夜を指差しながら可愛く宗の言葉を繰り返す。
「その隣の長い髪の女の子が妹の玲美ちゃん」
「れみー」
魔夜のときと同じように玲美を指差す。
「その隣の優しそうな人が母さんの悠美さん」
「ゆみー」
「で、その隣でワクワクしてちょっと気持ち悪いやつが父さんの真麻」
「きもちわるいのがまさー」
「は~いテンマちゃ~ん。真麻ですよ~。ただ、気持ち悪いっ言うのはやめてね。真麻、泣いちゃうから。この言葉、聖剣よりも効くぜ・・・・・・ぐすん・・」
悠美は微笑み、真麻は宗とテンマの言いように涙を流す。
「これが俺の家族だ」
「テンマはー?」
「もちろ」
「もちろん家族に決まってるよ!テンマちゃん!」
宗が言い終える前に真麻がそう言ってテンマに抱き着く。
「孫がいきなり出来るなんて。もう最高にハッピー」
真麻はテンマを勢いよく持ち上げるとそのまま高い高いをしながらくるくると回りだした。
「あれ?でも、待って」
魔夜がそこで何かに気づいたようだ。
「お兄ちゃんがパパってことは私、十歳で早くも叔母⁉」
魔夜がショックを受けているようだ。
「あらあら。じゃあ、私もうおばあちゃんになっちゃった?」
悠美も嬉しいのは嬉しいがちょっと複雑な気持ちのようです。
「じゃあ、俺もおじいちゃんか」
こちらはなにやら遠くを見る目になっている。
「父さんが言い出したことだろ」
宗も真麻の態度に呆れている。
「わ、私も叔母になっちゃった?」
そう玲美が言う。
すると、テンマが宗以外の四人を見た。
そして最後に玲美を見て、
「れみはママ!」
と言った。
「ふぇっ⁉」
テンマにそう言われて顔を真っ赤にする玲美。
「ママ!」
テンマは玲美のいるところまでトコトコと駆け寄り、宗の横に引っ張ってきて座らせた。
「パパ!ママ!」
嬉しそうに宗と玲美の間で二人の手を繋いでニコニコするテンマ。
当惑する宗。
再び顔を真っ赤にする玲美。
その様子をニマニマと見る真麻達。
「もう!朝ごはん食べようよぅ」
耐えられなくなったのか、玲美が朝食を促す。
「そうね。すっかり忘れていたわ。せっかくのごはんが冷めちゃう」
「ま、それもそうだな。悠美さんのごはんは冷めてもおいしいから俺は構わないけどな」
朝から真麻が早速惚気る。
「うふふ。ありがと」
悠美も嬉しそうだ。
「子どもの前でイチャつかないで。こっちが恥ずかしいよ」
魔夜が疲れた顔で言う。
宗も玲美もそれに同意なのかウンウンと頷いている。
「うんうん!」
テンマも宗と玲美のマネをしているのか同じように頷いていた。
家族会議で始まった真尾家の面々は和気藹々と少し遅れた朝食についた。
・・・
「うーん」
家族でおいしく朝食を食べたあと、リビングで宗が難しい顔で唸っていた。
「うーんうーん」
テンマは宗の膝の上に乗り、宗のマネをしている。
「ど、どうしたの?」
玲美が顔を赤らめて宗に聞いてくる。
どうやらまだテンマのママという言葉に恥ずかしがっているようである。
「いや、この子の名前、テンマってのは分かったけど、漢字はどうしようかって思ってね」
そう。宗が悩んでいたのはテンマの漢字表記だった。
「なにかいい漢字があるといいんだけど」
そしてまた再び唸りだす宗。
「そ、そうだね」
玲美も確かにそうだと思い、一緒に唸りだしました。
その光景を見ていた魔夜が
「夫婦で唸りだしたね」
と言い放った。
「ふぇええ⁉」
そんなことを言えばもちろん玲美は顔を真っ赤にして慌てふためく。
「そんなこと言ってないでお前も一緒に考えろよ」
宗がため息を吐きながら言う。
「あれあれ?お兄ちゃんもなんだか顔が赤いよ?」
「お前、父さんみたいだな・・・」
「なっ⁉」
宗は意趣返しにと呟く。
それがよほどショックだったのか魔夜はその場に崩れ落ちる。
「お父さんと一緒にされた」
「その反応に俺はショックを隠し切れないよ!」
真麻が悠美と一緒にリビングに入って来て叫ぶ。
「二人とも洗い物が終わったなら一緒に考えてよ。テンマの漢字。結構大事なことだよ?」
地の分的にも早く決めて欲しいである。(メタ発言)
そうして家族全員でテンマの漢字について考えだす。
と、そこで玲美が何か思いついたようである。
「天に真で天真ってどうかな?」
「いいな!それ」
宗は大賛成のようだ。
玲美もホッとしている。
「まあ、夫婦がそれでいいならいいんじゃないか?」
真麻がからかう。
「確かにお父さんみたいだった・・・」
魔夜が再びショックを受けている。
「だからその反応!俺の方がショックだわ!」
「ともかく、テンマ。これからはこれがお前の名前だからな」
宗はそう言って天真に紙に書いた漢字を見せる。
「これ、てんまの?」
「ああ。そうだよ」
「ありがと!パパ」
「おいおい。考えたのは玲美ちゃんだぞ。ありがとうは俺じゃないぞ」
「うん!」
天真は玲美の方を向いて言う。
「ありがと!ママ」
そこで玲美は天真の可愛さに負けた
「どういたしまして」
と言いました。あまりの可愛さに天真を抱きしめながら。
「あらあら。自分がママってことで観念したわね」
悠美が玲美と天真を見て微笑ましそうに見ている。
「も、もうママでいいよ」
どうやら、天真の可愛さに堕ちたようだ。
天真はニコニコしながらママでいいと認めた玲美を見ていた。
次の投稿は30日の21時です。