第二十一回 冬休みと宿題
新たな試みとして書き方をちょっと変えてみました。
予約投稿していた分が無くなったので久々に書いたのですが、書いていて自分でも好きな作品だなと改めて思った今日この頃です。
クリスマスでのあれこれも終わり、宗たちはいつも通りの日常に戻っており、クリスマスプレゼントの余韻も収まっていた。
真麻が実は宗からプレゼントを贈られていたことに対してテンションも高かったが、それも収まっていた。
しかし、いつも通りと言っても冬休みに入っているので家には全員がいる。
クリスマスから数日が経ったある日の出来事である。
「あ~。休みっていいわ~」
「だよね~」
そんなことを言うのは真麻と魔夜。
二人はリビングのソファにごろ~んと寝ころびながらそんなことを言っていた。
そんな二人を冷めた目で見ているのは宗だ。
宗はリビングのテーブルに座っており、冬休みの宿題をしていた。
ちなみに、天真と悠美は悠美の部屋で宗がクリスマスプレゼントしたDVDを見ている。
「そんなにダラけていると後々ひどいしっぺ返しを喰らうことになるぞ」
「そんなことあるわけない」
「そうだよ~。この幸せは何人にも奪わせはしないよ~」
暖房も効いているので眠さも相まっているのか、真麻も魔夜も目を半開きになってしまっている。
そんな二人の様子を見ながら宗の隣で玲美が「ア、アハハハハ」と苦笑いをしている。
玲美も宗と一緒に冬休みの宿題をしており、分からない所は時々宗に聞いていたりしていた。
「でも、魔夜ちゃん。いいの?」
「へ?」
玲美がそんな幸せいっぱいの魔夜に話しかけた。
「だって魔夜ちゃん、まだ宿題に手を付けてないじゃん」
「いいのいいの。簡単だし」
魔夜のその様子に宿題を一緒にしようと考えていた玲美は断念した。
そんな余裕綽々の魔夜の様子を見ていた真麻が呟いた。
「でも、今のうちに終わらせておかないとヤバいと思うけどな~」
「ふふ~ん♪――――――え?」
そして真麻を驚いた顔で見つめる魔夜。
真麻はそんな魔夜のことなど知~らないと言わんばかりにくつろぐことを満喫している。
「お父さん!それってどういうこと⁉」
「うん?言葉通りだよ。年末年始は宿題なんてしないだろうし、その後は里帰りするからな」
「聞いてないよ!」
「うん。だって言ってないし」
眠そうな声色で答える真麻。
「え?え?ホントに時間ないの?」
「あ~あ。だから言ったのに」
宗はそんな魔夜を呆れた表情で見つめる。
「お兄ちゃんは知ってたの⁉」
「だから言ったじゃないか。ひどいしっぺ返しを喰らうって」
「あれ、そう言う意味だったの⁉」
愕然とする魔夜。
そんな魔夜を見て、玲美が魔夜に手を差し伸べる。
「魔夜ちゃん。宿題やろ?分からない所があったら教えたあげるし、お、お兄ちゃん・・・も教えてくれるから」
「そう?」
「う、うん」
顔を真っ赤にして照れる玲美。
宗のことをお兄ちゃんと呼ぶ努力を実はこっそりしていた玲美はここが練習の成果を示す場面だとばかりに頑張って呼んだ。
そんな玲美をさっきまでは余裕がなかったはずの魔夜がニヤニヤしながら見ていた。
「それはいいけど、早く宿題しろって。教えてやるから」
宗が呆れながら魔夜に言う。
その言葉に自分の置かれている状況を思い出した魔夜が急いで自分の部屋へと宿題を取りに戻った。
「まったく・・・」
「ア、アハハ・・・」
宗は呆れながら、玲美は苦笑いでそんな魔夜の姿を見つめていた。
「それはそうと・・・」
「???」
「『お兄ちゃん』って呼んでくれて嬉しかったよ」
「⁉」
宗が玲美にそう言い、玲美は顔を真っ赤にして照れる。
「あ、あの!分からない所があって!」
「ん?どこ?」
「ここ!」
そんな照れている玲美は誤魔化そうと分からない問題を宗に聞く。
しかし、その誤魔化しが仇となった。
それは―――――――
「ここね。これはこの公式を利用して―――」
「う、うん・・・。(あ、あわわ⁉)」
算数をやっていたのでそれを宗に教えて貰ったのだが、宗が問題を見て教えようとするので、宗と玲美の距離がかなり近づいてしまっているのだ。
そして宗が玲美に近づくという形で密着してしまっている。
「―――――っていうわけでこういう答えになるわけ。分かった?」
「(あわわわわ!!?!???!)」
「玲美?」
「あ!はい!分かったよ。ありがとう‼」
宗との密着に意識を持って行かれていたが、何とか説明は聞いていたので答え自体は何とか分かった玲美。
顔を真っ赤にしたままで問題を解き始めた玲美を見つめ、微笑んでから自分の宿題に戻る宗。
「持って来たよ!」
「ああ。それじゃそこに座ってさっさと始めろ」
「うん!」
魔夜が部屋から宿題を持って来たので宗が自分の前に座るように促す。
「??? 何かあったの?」
「いや、何もないけど」
「でも、お姉ちゃんの顔が真っ赤なんだけど」
「い、いいいいの!気にしないで!それより宿題しよ?」
魔夜に聞かれて宗が答えたが、魔夜がそれでも不思議そうに玲美の状況を言う。
魔夜に顔が真っ赤になっていることを指摘されて慌てる玲美。
これはヤバいパターンだと察した玲美は宿題をするように促したのだった。
そんな二人の様子を見て、ニヤニヤしながら魔夜は席についた。
そして、そんな三人の様子を見ていた真麻が一番ニヤニヤしていたのだった。
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