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第十九回 ようやく始まるクリスマスパーティー



  ようやく始まるクリスマスパーティー



「「「「「「メリークリスマス‼」」」」」」


 六人はクラッカーを鳴らした。


「さ、今日はごちそうを用意したからたーんと食べてね?」


 悠美がそう言うや否や、宗、魔夜、真麻はすごい勢いで食べ始めた。


「「「ガツガツガツッ」」」


 本当にこの人たち、王族なんだろうかと疑いたくなるレベルで食べている。


「す、すごいね」


 あの天真でさえ、少々引き気味だ。


「う、うん。そうだね」


 天真のその呟きに玲美がそう返す。


「これじゃあ、いつもの夕飯と一緒だね」


 玲美は「アハハ・・・」と苦笑いしながら言う。


「なに言ってんの?違うに決まってるじゃない!」


 そこにちょうど一息入れた魔夜が玲美の呟きに答える。


「いつもは食べないおかずがいっぱいだわ!」


「あ、ソウデスネ」


 魔夜の返しについ片言になる玲美。


 玲美はどこか、釈然としない気持ちになった。


 


              ・・・




 夕食を食べたあと、リビングのソファに全員が座る。


 ちなみに、天真は悠美の膝の上だ。


 全員を見た真麻は立ち上がって元気よく言う。


「さあ、ここからついにお楽しみのプレゼントタイムだ!」


 ウキウキしてますと顔に出ている真麻。


「さあ、最初はこの俺からだな!さあ、みんな!俺へのプレゼントを出したまえ」


 余裕の表情で言う真麻。


「「「えっ⁉」」」


 それに驚く子どもたち。


「えっ?えっ?俺へのプレゼント、みんな用意してるんだよね?」


 宗たちの反応に不安になってくる真麻。


「あるわけないじゃん」


 魔夜がズバッと言う。


「えええええええええええええっ‼」


 それに心底驚いた様子の真麻。


「なんで?なんで⁉」


「そもそも日本のクリスマスは親が子供にプレゼントをあげるだけのもので

しょ?」


「心はいつでも少年です」


 ドヤ顔で言ってくる真麻にイラッとくる。が、我慢である。


「一家の大黒柱が何を言ってるんだか・・・」


 宗がそんな真麻に呆れる。


「えっ?じゃあ、本当に俺へのプレゼントはないの?」


「むしろ、本気でもらえると思ってたの?」


 魔夜が真顔で聞く。


 真麻は崩れ落ちる。


「・・・うん」


 そして滑らかな動きで体育座りになり、俯きながら小さくコクンと頷く真麻。


「・・・そ、そう」


 その様子に気まずそうに相槌を打つ魔夜。


「き、気を取り直していこう!」


 宗が真麻の司会役を引き継ぐ。


「じゃあ、はい。これ、母さんに」


 宗がそう言って悠美に自身が用意していたプレゼントを渡す。


「あら?私にはプレゼントあったの?」


 悠美は真麻にプレゼントがないなら自分にもないだろうと思ったのだろう。


「真麻さんにないからてっきり・・・」


「いやいや、父さんには感謝されこそすれ、感謝することなんて数えるほどしかな

いからね」


「父、ショック‼」


 宗のその言いように未だに回復しきっていなかった真麻が追い打ちをかけられ

る。


「何言ってんだよ・・・。今までさんざん俺に面倒事押し付けて来て、感謝されて

いると思ってたの?」


「息子がここ最近で一番冷たい‼うわーん。ゆみさ~ん」


 悠美に泣きつく真麻。


「これに懲りたらもっと感謝される父親になるんだね」


「ぐすん」


(ふふっ)


(あれ?どうしたの、魔夜ちゃん)


 魔夜が笑っていることに気がついた玲美が小声で聞く。


(いやね。お兄ちゃん、ああ言いながらも、ちゃんと父さんにプレゼント、用意し

てるのよ。こっそりとね)


(えっ?そうなの?)


(多分、ここで渡したら調子に乗ると思ったんでしょうね。私も同感だけど)


(へぇー)


「そんなことより開けてみてよ」


 宗は魔夜たちがそんな会話をしているとは知らずに悠美に促す。


 それを受けてプレゼントを開ける悠美。


「あら。これは・・・」


 宗が渡した小包の中から出てきたのは手帳、それにボールペンだった。


「なんにでも使えるからね。それに、小説家にはいつでも何か書ける物があった方

がいいでしょ?」


「あらあら。うれしいわ。ありがと」


 テンションが上がる悠美。


「なにこれー」


 天真が不思議そうに聞く。


「いろんなものを書くためのものだよ」


 それに分かりやすく説明で返す宗。


(お兄ちゃんが渡したあの手帳、ブランド手帳だよ・・・)


 魔夜が戦慄しながら呟く。


(なにそれ?)


 玲美が聞く。


(バッグとかにブランドがあるのは知ってるよね)


(うん。あの高いやつでしょ?)


(そう。そういうところが作って売ってる手帳のこと)


「うぇっ⁉」


「ん?どうかした?」


 びっくりして声を上げてしまった玲美。


 それに気がついた宗が不思議そうに聞く。


「な、なんでもない」


 なんとかそう答える。


(あ、あぶなかった)


(もう、びっくりしちゃったよ)


 魔夜がホッとした様子で呟く。


(私もびっくりしちゃったよ・・・)


(それにしても、流石はお兄ちゃんね。サラッとそんなものを出すだなんて)


(うん)


 さすがは王子様・・・と思う玲美。


「で、次は・・・っと。はい、これは魔夜に」


「うぇっ⁉」


 さっきまでこそこそしていた魔夜は宗の声掛けにビックリしてしまう。


「え?私にもあるの?」


「あるよ?はい」


 そう言って渡してきた小包を魔夜は早速開ける。


 出てきたのは


「バッグ?」


「そう。いいデザインのバッグでしょ?」


 そう。


 魔夜へのプレゼントはバッグ。


「いいデザインのやつを探すの苦労したよ」


 そう言って笑う宗。


「流石はお兄ちゃん・・・」


 ブランドバッグではないが、可愛らしいバッグである。


 魔夜に似合っている。


「ありがと・・・」


 魔夜のことを考えてのプレゼントに照れながらお礼を言う。


「どういたしまして」


 それに笑顔で答える宗。


「さてと」


 そう言って宗は玲美の方を向く。


「これは玲美に」


 そう言って渡す。


「ありがと・・・」


 それを恥ずかしそうに受け取った玲美は小包を開ける。


「あっ」


 入っていたのはハートの形をしたネックレス。


「これ・・・」


「あんまり、流行りが分からなかったから似合いそうなものを選んだんだ」


「・・・うれしい。ありがとう」


 顔を真っ赤にしてお礼を言う玲美。


 それをニヤニヤしながら見る魔夜と真麻。


「な、なんだよ」


「「流石、夫婦だなーと思って」」


 ハモりながら言う魔夜たち。


「うぅ」


 それに恥ずかしそうに俯く玲美。


「はいはい!そこまで!ほら、次!」


 そう言って宗は天真の方を向く。


「これは天真に」


 そう言って宗が渡したのはDVD。あの日買ったものだ。


「わぁー‼ありがとっ、パパ‼」


「どういたしまして」


 宗は天真の嬉しそうな顔を見て一番嬉しそうにしていた。


「親バカは健在だな」


 そんな宗の状態を見てそう呟く真麻。


 そんなこんなで、他のみんなも次々に家族にプレゼントを渡していった。




           ・・・




 みんなが各々にプレゼントを渡している中で宗と真麻はこっそりと話し合ってい

た。


「宗、段取り通りに頼むぞ」


「ああ、分かってる。任せろ!」


 宗と真麻の計画が始まろうとしていた。






ちなみに、宗の真麻へのプレゼントは机と椅子です。

これで、ちゃんと仕事しろって意味ですかね。(笑)

読んでくれて感謝です。

次は27日に投稿です。

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