第十八回 準備がようやく終わる
準備がようやく終わる
正座から回復した玲美と魔夜は残りの準備をする宗に合流した。
間もなく、準備を完了した。
「準備の方も終わったようだな」
真麻がリビングに顔を出した。
「手伝いもせずに何してたんだよ・・・」
宗があきれ顔で聞く。
「ちょっとな。それより、宗。お前は後でちょっと話があるから」
「?あ、ああ。分かった」
と、そこに悠美がキッチンからみんなに話しかける。
「料理も出来たわよ」
「わぁーい。待ってました!」
料理が完成したことを聞いた魔夜が嬉しそうに万歳しながら叫ぶ。
「まってましたー!」
それを天真がマネをする。
「おい。天真は何でもマネするんだから変なことさせるなよ」
宗が魔夜を注意する。
「ハイハイ。パパは相変わらずの親バカですこと~」
「ですこと~?」
それもマネする天真。
「魔夜ちゃん。やめて?」
そこに玲美も注意に入る。
「うっ。はい。ごめんなさいです」
玲美の迫力にたじろぐ魔夜。
「天真もなんでもかんでもマネしちゃダメだぞ?」
宗は天真を注意していた。
「はい。ごめんなさい」
宗に注意された天真はシュンとなっていました。
「分かればいいんだ」
そう言って天真を撫でる宗。
「パパ!」
撫でられたことが嬉しい天真はついつい宗に抱き着いてしまう。
「なんか、私と天真ちゃんに扱いの差を感じる・・・」
「魔夜ちゃん!天真ちゃんと扱いが違うのは当たり前でしょ」
魔夜は宗と天真がダダ甘の状態になっていて、自分が未だに怒られていることに
不満を覚えていた。
しかし、そのことをつい呟いた魔夜は再び玲美に怒られてしまう。
悪循環だ。
「みんな~?料理をリビングに運ぶの手伝って?」
悠美がキッチンから頼みごとをすると、これ幸いにと魔夜が乗る。
「は~い!今行きま~す!」
タタタタッと逃げるようにキッチンに行く。
「あっ!・・・。もう」
しょうがないといった感じでキッチンに向かった魔夜を見つめる玲美。
「ははっ。もうしっかり保護者だな。さすがママだ。このままついでに魔夜のママ
にもなってみるか?」
真麻が玲美をからかう。
「うぇっ⁉」
それを聞いて顔を真っ赤にする玲美。
「そうなったらマヤ、テンマのおねえちゃん?」
「いや、精神年齢的に天真の妹だな」
「マヤ、テンマのいもうとになるの?」
天真が不思議そうに妹だと言った真麻を見つめる。
「そんなことあるわけないでしょ‼」
料理を運ぶためにリビングに出てきていた魔夜がツッコミを入れる。
「いや、お前は精神的に天真に負けている。天真の方が素直な分余計に」
「バカな⁉」
真麻の正直な感想に衝撃を受ける魔夜。
父親から言われるんだから、そのショックはまさに心中、お察しします、だ。
「はいはい。そんなことよりも、あなたたちも運ぶの手伝って?」
悠美が料理を運びながらリビングに出てくる。
「「「「は~い」」」」
宗、玲美、天真、真麻は悠美に返事をして、料理運びを手伝った。
・・・
「さあ!これですべての準備が終わったな」
真麻が嬉しそうにはしゃぐ。
「ああ。それじゃ、早速始めるか!」
宗が真麻に答えて合図を執ろうとする。
「待て。まだだ」
「へ?」
それを止める真麻。
「ちょっとこっちこい」
そのままリビングから離され、廊下に出される。
「お前に頼みたいことがあるんだよ」
「なんだよ」
怪訝な顔をとる宗。
「実はな・・・」
ごにょごにょごにょ・・・。
「はぁ⁉それをやれってのか?」
驚く宗。
「頼む!俺は俺でやらなきゃならないことがあるからさ。お前にしか頼めないって
いうか出来ないんだよ」
「それにしたって、負担がデカ過ぎるだろ・・・」
「でも、魔夜にはまだ荷が重いしな」
「まあ、そうだけど・・・」
「頼む!」
手を合わせて頭を下げ、頼み込む真麻。
「はぁ。分かった。やってやるよ」
「おお!サンキュー‼」
パァっと嬉しそうに頭を上げる真麻。
「ただし!」
「た、ただし?」
「父さんがやらなきゃいけないことがしょーもないことだったらタダじゃおかない
からな」
「は、はい‼」
「それじゃ、やってやるよ」
「ありがとうございます‼」
「うむ。それじゃ、そろそろ戻ろうか。みんな待ってるし」
「おう」
そうしてみんなのいるリビングに戻っていった。
読んでくれて感謝です。
次は20日に投稿です。