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第十六回 クリスマスに逃走している妹たち



クリスマスに逃走している妹たち



 朝、学校に登校している最中に魔夜が玲美に忠告する。


「今日は学校が荒れるから気をつけてね」


「えっ?」


「クリスマスにお兄ちゃんと過ごそうと私たちに遊びの約束をしようとしてくる

よ」


「転校時の再来だね・・・」


「そう。だから気をつけてね」


「うん。迂闊に約束しないようにするよ」


「ええ。あと、今日は一緒に帰りましょ?」


 魔夜は真剣な目で玲美を見つめます。


「多分、帰りが一番危険だと思うから」


「わ、わかった」


 魔夜の真剣な表情にビクッとしながらも頷く。


(でも、魔夜ちゃんはあんまり考えてないようだけど、魔夜ちゃん目当ての男子も

きっと誘ってくるよね)


 玲美はそのことが容易に想像できたが言うのはやめておいた。


「それじゃ、頑張って今日を乗り切ろー!」


「お、おー!」


 魔夜の掛け声に玲美も返し、意気揚々と通学路を駆けていった。




               ・・・




学校に着いてから玲美は魔夜の言った通り、約束を取り付けようとするクラスメイ

ト達の嵐だった。


魔夜は、クラスからわざと孤立していたため昼休みに別のクラスから押しかけてく

る相手のみであった。


玲美が大変だったのは魔夜に話しかけれないために休憩時間に玲美の所にまで誘い

に来ていたからであった。




               ・・・




「ごめんね。私の学校での行動が裏目に出ちゃった」


 放課後、申し訳なさそうに玲美に謝る魔夜。


「ううん。気にしないで。どっちにしろあんまり変わらなかったと思うし」


「ううっ。ありがと」


 ここは魔夜の教室前。


 よって魔夜がいるためあまり近寄れないのだ。


 玲美と魔夜の会話も周りには聞こえないように声は小さ目だ。


「さ、ここからが大変だよ」


「うん」


 魔夜が表情を引き締め、玲美もそれに頷く。


「靴を履き替えたら下駄箱からダッシュだよ」


「うん。でも、私、多分途中で疲れて止まっちゃうよ?」


「そういう時は近くのどこかに隠れちゃえばOK!」


 隠れると言っても最終的には魔夜が隠蔽の魔法をこっそり使う。


 これによって魔夜たちの姿は探知能力が高い相手、もしくは魔夜の魔法技術よりも優れた者以外の誰にも気づかれることはない。


「さ、行こう」


「うん」


 二人は帰路についた。




               ・・・




そこからは大変だったの一言に限る。


 魔夜は隠蔽魔法を最終手段にと考えていたため、本当に危ないと思う場面でしか使わなかったのだ。


 おかげで、家に着くまでの終始、鬼ごっことかくれんぼだった。


 あっちへ逃げこっちへ逃げ。


 行く先々で魔夜と玲美を捕まえようとする小学生たちが現れた。


 宗と違い、守ってくれるクラスメイト達友人がいないため、玲美たちは直に被害

を被った。


 被害と言っても、追いかけられる程度だが。


 ぜーはー言いながらもようやく家に帰った二人は真麻と悠美がサプライズパー

ティーのため、天真を連れてどこかへ行ったために、先に帰っていたリビングで一

人で準備をしていた宗を目撃。


 あまりにのほほんとしていて楽しそう準備をしていたので二人で両足の脛を蹴っておいた。


「いった――――い!」


 二人に蹴られた宗は涙を流しながら脛を抑えて蹲った。


 しかし、二人はそんな宗に心配することなく着替えに自分の部屋に帰っていっ

た。


「俺が何したの⁉ねえ‼ねえってば―――‼」


 宗の叫び声が家に響いた。


 十分後、着替えが終わった二人は宗に蹴った理由を聞かれたが答えなかった。


 意味の分からぬままではあったが、家族で初めてのクリスマス。


 そして天真と初めてのクリスマスでもあるのだ。宗はこのことを不問とした。


 それから三人で楽しく準備を再開したのは言うまでもないことだった。






読んでくれて感謝です。

次は7月6日に投稿です。

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