魔人生開始
目がさめると周りはまるで地獄のような光景が広がっていた。
大地は黒くひび割れており木々は枯れ果てている。
空には太陽がなく赤色や紫色の雷が常に落ちており耳をつんざくような音が響いている。
頭は妙にすっきりしているが自分の記憶がない。
立ち上がろうとして地面に手をつけると人間の手ではなかった。手は黒く人のような柔らかい手ではない。まるで手甲のようだが触ると自分の体の一部なのがわかる。
あ、あれ?俺って人じゃなかったかな?どう見ても人じゃないな。ていうか体全体が黒いな、しかも鎧っぽい。
俺が混乱していると頭の中に突然女性の声が響いてきた。
(おはようございます。転生は無事完了しているようですね!すごく混乱しているみたいなのであなたの現状を説明させてもらいますね!あ、私の名前はジュリーです。よろしく!)
頭の中に声はとても早口な上に響きすぎて頭が痛い。俺は必死に女性の声に呼びかける。
(もうちょっとゆっくり喋ってくれないかな?あと声のボリュームも下げてくれるとありがたいな...)
(え?!あ、すいません私も初めて転生を行ったせいでテンションが上がってしまいました。すいません)
女性は一言謝罪すると現状の説明を始めた。
(まずは貴方についてですね。貴方はもう一つの世界、所謂現代で事故にあって死んでしまったのですよ。普通なら死んだ時点で天国なり地獄なりに行くのですが貴方はなぜか神界...神が生活してる世界に来てしまったのですよ。上に報告したら好きにさせればいいって言ったので貴方の好きにさせました。ここまでで何か質問はありますか?)
...なんか聞いててまた頭が痛くなってきた。まず俺が現代で死んでるのもそうだけどなんで俺は転生なんてしたんだ。しかも人じゃないし記憶もないっておかしいよな?
(二つ質問がある。一つはなんで俺に転生前の記憶がないのか、二つ目はなんで生き返るのではなく転生を選んだのかだ)
(はい、一つ目は貴方自身が転生するなら記憶なんか無くしてくれって仰いましたのでそうしました。二つ目はいくら神であっても生き返らせることはできないのです。まず貴方の身体は既に火葬されて骨になっていますからね)
なるほど、確かにそんな状態で甦えったら軽くホラーだな。記憶は多分悲しくならないようにするためだろうな多分。
(わかった、続けてくれ)
(はい!まずは貴方の種族の説明からですね。貴方の今の種族は魔人になっています。この世界は剣や魔法を使って戦争したり冒険者や勇者が魔物達と戦っていたりする世界です。様々な種族がおり、人と共存しているのはエルフ族、ドワーフ族、小人族、獣人族、そして魔人族です。ただし魔人族は人口が極端に少なく個人差はありますが見た目が怖いのでよく差別されています。差別しない国をもちろんありますのでご安心を!戦闘能力はブッチギリで高いので野生でも生きていけますよ。次にこの場所についてですね)
女性は一呼吸入れてから話し始めた。
(ここは冥界、魔王が統治する大地です。と言っても魔王はまだ復活していないので悪魔達は好き勝手に生きていますけどね。ちなみにここに貴方を転生させたのは私ではないですからね!)
(わかったわかった...それで今からどうすればいい?悪魔達と戦えばいいのか?)
俺は少しいい加減に聴いた。
(そうですね、しばらくは私がサポートしますので戦闘訓練でもしましょうか!あ、この世界の常識などはあとでまとめて貴方の頭のに埋め込んでおきますね)
なんか怖いことを言ってるような気がするが無視しよう無視。
こんな感じで俺の第二の魔人生が始まろうとしていた。