五話 ホントウ―森拓那視点―
オレには一年前彼女がいた。
自分で言うのもなんだけど、オレはクラスの中でイケメンの分類に入っていて、周りにはいつも女子がうろついていた。
そんな環境でいたオレは、普通の女には興味がなかった。
ブス、嫌われ者、デブ
そんな分類ぼやつとは、話もしなかったし、そんな女子はみんなと一緒にイジメていた。
罪悪感はなく、むしろ、せいせいした。
ブスなやつは、ブスだから悪い
嫌われ者なやつは、嫌われて当然
デブは豚と同類
だから、イジメてもそいつらが悪い。
いつもそう、自分に言い聞かせていた
彼女もオレと一緒で、クラスの中でイケてる分類にいて
頭もよく
顔もよく
性格もよく
大和なでしこの三拍子がそろっていた。
普通なら、オレ等と一緒にイジメをするはずなのに
彼女は違った。
イジメを嫌い、イジメをしている人を憎み。
イジメられている人を助けた。
そんな彼女がクラスのイジメの標的になるのは時間の問題だった。
案の定、彼女の周りには一切友達はいなくなり
影で彼女の悪口を言いまくり
最終的には、身体的なイジメをされるようになった。
最初のほうはオレが守っていたけど
ある日のホームルームで、先生がいなくなり、彼女の悪口を言っている奴等に注意をしていた時、わざと彼女に聞こえるように女子の一人が言った
『拓那くんってイジメから守って、一緒に標的になれるほど、あいつの事が好きなの?』
オレは言葉を失った。
彼女のことは、好き
でも、イジメと一緒に戦うとなると、話は別になってくる
好きだけど、イジメと戦うほど好きじゃない
どうする?
オレは彼女のことを守ると啖呵切ってイジメの標的になるか
彼女のことを裏切り、あいつらと一緒にイジメをするか
クラスのみんなが息を飲んでオレの答えを待っている。
そして、オレは答えた
『・・・オレ、そこまで苗のこと好きじゃない』
罪悪感。この言葉が頭の中をよぎった。
オレは彼女を裏切った。変わることない真実。
なのにもかかわらず、オレはつい言ってしまった。
あの言葉を―・・・・・
「オレ、あいつがかわいそうでいままで付き合ってきたけど、オレ最初から苗のこと好きじゃなかったんだ」
どっと声が押し寄せる。みんなオレのことわみて。
よく言ったとか
かっけー流石もりっちとか
口々に言ってくる
ふと、窓辺に座っている彼女を見る。
彼女は教科書を読んでいた。
その後もチラチラと彼女を見ていたが、かわった様子もなく。
彼女もオレのことがすきじゃなったのか?と思うようになった。
でも、オレは見てしまった
放課後、サッカーのゴールネット越しに図書室を見ると。
本を読みながら、涙をながしている彼女を・・・
オレは友達に適当な嘘をついて、彼女の元へと行った。
―さっきのあれは嘘だったんだ。オレはお前が好きだ―
そう言うつもりだったのに。
いざ図書室に入ると、さっきまでいなかったクラスの女子が彼女のことを囲んでいじめていた。
オレは本棚の影に隠れてずっと見ていた。
ふと、彼女がオレがいる本棚のほうを見て
オレと目があった。
―たすけて―
彼女の目がそう語っていた。でも、オレはその目を見たとたん、強い罪悪感に襲われ、耐え切れなくなりその場を走って逃げた。
走って
走って
走って
いくつかの階段を上っている最中気がついた
オレは悪くない。彼女が偽善者ぶるから悪いのだ・・・・と・・・・・




