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輪廻  作者: 福壱柚
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第四話 底なし沼


一方の拓那はいつも私の側にいてくれた。

最初は少し抵抗があったけど、段々日がたっていくうちに、抵抗しなくなった。


拓那の笑顔

拓那の横顔

拓那のクセ


私の中の拓那と言う存在が、とても大きなものになっていった。

このままじゃ別れる時がつらい・・・・

そう思ったこともたくさんあった


だけど


拓那の顔を見ているとそんな考えをしている自分が恥ずかしくて、いつしか私は拓那のことが好きになっていた。



底無し沼



拓那への気持ちはそんな感じ。好きになっていくほど、ずぶずぶと拓那にそめられて

いつしかぬけだせなくなっている。



そんな私でも拓那の行動できらいなことがあった



それはいじめ。

拓那はいじめることを遊びと勘違いしている

そんな拓那が嫌い。

いじめることは悪くないけど

心が汚い拓那は嫌い。

拓那がそんなになってほしくない。



だから私は善者の仮面をかぶり、拓那たちにいじめられている人を助けて


拓那をいじめの輪から引き摺り下ろそうとしていた。



でもだめだった。


いくらやっても、拓那はやめてくれない。

それ以上に、私自身もいじめのターゲットになりつつある


いやだ。いじめのターゲットなんて・・・・


心でそう思っても、実際私はもう、とりかえしのつかないところまできていて、偽善者の仮面をはずすことが出来なくなっていた。



そして、一日・・また一日とすぎてゆくごとに、私へのいじめはエスカレートしていき

ついに、身体的なこともされるようになった。



苦しくて

苦しくて


悪口を言われても、言い返せない自分がもどかしくて


こんな時、拓那がいたらなぁ・・・・と思う自分が

こうなることがわかっていたのに拓那の存在を願う自分が


切なくて

ひとつ、ふたつと。涙が溢れてきた・・・・・








そんなある日。ホームルームで一人の女子が大声で私の悪口を言った。

だまって聞いているのもつらいから、教科書を読んでいると



『やめろよ・・・・そう言うこというの』



なつかしい声が、私をかばってくれる。

もしかして・・・

もしかして・・・

自分の胸が高鳴るのが分かる


私をかばう拓那にむっときたのか、違う女子が私の方を横目で見ながら言った




『拓那くんってイジメから守って、一緒に標的になれるほど、あいつの事が好きなの?』




ずぶっ


私の足が沼にはいったような感覚が襲う

大丈夫・・・きっと・・拓那は・・・・



ずぶっ


大丈夫・・・・大丈夫・・・



ずぶっ


拓那は・・・・きっと・・・



ずぼっ








『・・・オレ、そこまで苗のこと好きじゃない』















私はその後のことはあまり覚えていない

あまりにショックで、すべてを受け入れ気づいたのは放課後。図書室にいた時



分かってた


最初から分かってたはずなのに



拓那は・・・・・



拓那は・・・・・



私と付き合ってたのはお遊び程度だって


だから私も好きにならないって決めてたはずなのに・・・・


はまっちゃったんだ



拓那の沼に


知らない間に・・・・・・・・・・






『あっれぃ?今日の朝みんなの前でふられちゃった苗ちゃんじゃない』


くすくすと後ろから笑い声が聞こえる

振り返ると、何人かの女子が群がって、私のことを見ていた


『だから?』


強気で言い返す


『へぇー・・いつからそんな口きけるようになったの?』


ガンッと座っていた椅子を蹴り倒される、私はその場に倒れこんだ


『みじめだねぇ・・・その顔・・・アンタそのまま死ねばいいのに』


『本当だよねぇ。ねぇ苗ちゃん、死んでよ』


『というかぁ・・・アンタって生きてる意味なくない?』


次々と罵声を浴びせられる

キッと前を向いて、リーダ的存在の女を睨もうとした時





私は、本棚の影で私のことを見ている拓那と目があった





―たすけて・・・・・




私は拓那にそう伝えようとした



『どこ見てんだよッ』


肩に鈍い痛みが走る

その瞬間、拓那は走って逃げた





拓那・・・・・

ねぇ、嘘でもいいからもう一度私に好きって言ってよ・・・・



嘘だったの・・・?


あの言葉

あの行動

あのしぐさ


すべて嘘だったの?



ねぇ・・・・・・・・・・・・






ねぇ・・・・・・・・・・



たくな・・・・・・・
















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