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大事な話(2)

 学校での授業が終わり、掃除当番の生徒以外はほとんど教室から出て行った。


(都合がよかったな。当番で)


「立花ーちりとりじゃんけんやるよー」


「今日は私がやっておく。ゴミ捨ても」


「マジで?よっしゃ!早く行こーぜ!」


 そう言ってバタバタと支度をして男子は教室から出て行き、雪那がゴミを捨てに行っている間に女子も帰ったらしく、空のゴミ箱を持って教室に戻ったときには担任の安岡しか残っていなかった。


「あぁ、セツナ、お疲れさま。教室を閉めるから、窓の鍵閉めをお願いするよ」


「…先生、お話があります。少しいいですか?」


「ん?何かな?」


「二学期が終わったら東京に引っ越します。詳しいことは三者面談で話すので、順番を最後に回してもらえると助かります」


「そんな、急に…。進路はどうするか決まってる?」


 雪那はふっと笑った。


「そんなの、先生ならよく分かってるんじゃないですか?私は希望を変えるつもりなんてありません」


「何だか珍しいねぇ、セツナがそこまで自分の意思を通そうとするのって。

 親御さんは何て?」


「さぁ?返事は聞いてないですけど、認めるはずですよ。仮に他の選択肢を出したとしても、そんなもの潰してみせます」


「そっか、分かった。じゃあ詳しい話はまた今度。

 さ、教室閉めるよ」



 教室を閉め、人が少ない廊下を通り、職員室と校門の分かれ道まで来た。


「先生、さっきの話、みんなには言わないでおいてください」


「え?何で…」


 その問いにただ笑い、何も言われないうちに別れを告げて足早に学校を出た。


(これでもう、後戻りはできない。…何だ?何が私の中で引っかかっているんだ?進路はずっと前から決めていたし、このことについては気になることはない…。となると、豊中から去ることに対して何か思うところが?一体、あそこのどこに…)


 そこまで考えて、ようやく雪那は理解した。学校にも雪那を『ここ』につなぎ止めるものはない。中学校という場所ではなく、そこで出会った…。


(…っ、春希…。そうか、私は彼のことが…。私は『人』なんだな…。でも、これは私の想像でしかない。確認してみなくちゃ。その結果がどうであれ、私は中高に行く。

 こんな形で枠からはみ出そうと思うなんてな。…果たして、運命に抗ってよかったと思うことができるだろうか?)


「今からそんなこと考えても無駄か。とりあえず、入試をなんとかしないと…」


 ぽつぽつと独り言をつぶやきながら家への道を歩いていった。


(さて、明日は体育祭か。日焼け止めはどこにやったかな…)

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