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その47 夫婦の会話 in 旅館

夫婦の会話 in 旅館


 ●森田ゆりかの視点


 ちょっとした騒動が一段落して、ようやく私と卓さんの二人きりの時間になった。

 部屋食を頼んでおいたので、すでにテーブルの上にはお膳が運ばれている。

「卓さん、少しあげるから一緒に食べましょう。」

「僕は宴会で食べたからいいよ。ゆりかのまで食べなくたって…」

「そう、じゃあ飲むのは付き合ってね。」

「うん。それはもちろん。」


 私が食べてる間、卓さんはひたすらビールを飲んでいた。

 アルコールばかり飲んでおつまみを食べないのは体に悪いと思った私は、さっきと同じ一言を口にする。

「少しあげようか?」

 するとまた似たような答え。

「いいよ。ゆりかのだもん。お腹も減ってないし。」

 そう言いながらも卓さんはさっきから料理をチラ見してはビールをあおっている。

 こういうときの彼はやっぱり食べたいのを遠慮しているだけ。

「卓さん、私このお魚苦手なの。食べてくれない?」

「え?でも…」

「私も食べれないから残すともったいないじゃない。」

「…そういうことなら仕方ないし…じゃ僕が食べようかな(´〜`*)テヘへ」

「ありがとう。助かるわ。」

 こうしてあげれば卓さんは遠慮というストレスから解放される。


 程よく酔いもまわった頃、卓さんがグラスを置いて私に謝った。

「ゆりか、さっきはごめん。また妖しいに間違われちゃってさ。」

「いいのいいの。もう慣れっこだから。」

「慣れっこ・・・(⌒-⌒;だよね、もう10回くらいあるもんね。。」

 そう、確かにそれくらいはあるかもしれない(^_^;)

 でも卓さんは悪いことをしているわけじゃない。たとえ原因が彼であっても。


 人を責めてもしょうがない。卓さんが謝ったのを期に、私も少し反省したことを彼に伝えた。

「それより、私の方こそ卓さんに悪いことしちゃったって思ってたの。」

「へ?(・_・)どんな?」

「私がさっき卓さんの会社の宴会場に行ったときのことよ。」

「あーあのとき?でも何か悪いことした?」

「私、皆さんの前で失礼なこと言っちゃったでしょ?」

「(?_?)はて?ゆりかが何言ったっけ?」

「もう…また恥ずかしいこと言わせないでよ…(*v.v)」

 この一言にどうやら卓さんは気づいたようだ。

「あーわかった!『今はエッチしません。もっとあとでゆっくりヤリますからって』って言ったこと?」

「そこまでリアルな表現はしてませんっ!!(^□^;A」

「そんなの気にすることないよ。夫婦だもん。」

「そうじゃなくて、あそこにいた会社の人たちって、ほとんど私たちの結婚式にも来てくれた人じゃない。」

「まぁそうだけど。」

「私さっきの一言で私の印象が悪いと、卓さんにも迷惑がかかるかなって。。」

「そうかなぁ?」

「そうよ。私がタカビで恥じらいのない女だって解釈されたら。。」

「それはないよ。」

「卓さんが家でも尻に引かれてるって思われないかしら?」

「そんなの勝手に思わせとけばいいじゃん。」

「卓さんがまたからかわれるじゃない。」

「あ・・見てたの?宴会場。」

「ちょっとね。いつも会社でもそうなのかなって思っちゃった。」

「ヘ( ̄ω ̄|||)ヘぎくッ!…まぁ、パシリはやらされてるけどねw」

「やっぱり…」

「いいんだよそれは。僕はこういうキャラだし、結婚する前から同じなんだ。」

「でも…」

「それに理不尽なことにも慣れてるし、僕もよくドジるから同僚に迷惑もかけてるしね。あいこみたいなもんなんだ。」

「そう。。」

 卓さんはケロッと言ってのけた。どうやらストレスを溜め込まないコツを会得してるようで、逆に私は彼を頼もしく思えた瞬間だった。


「あ、そうだ。是枝君に言っておかないと。。」

 卓さんが立ち上がった。

「どうしたの?」

「うん。同僚の是枝君って人と同室なんだ。」

「行っちゃうの?」

「すぐ戻るよ。ゆりかもさっき言ったじゃん。あとでエッチするって。」

「バカ…(*v.v)」

「だから一言報告しておかないとね。」

「うん。じゃあ待ってる。」

 

 こうして卓さんは部屋から出て行った。

 でも、すぐ戻ると言ったわりには30分も時間が経っていた。

 ちょうどその時、少しだけ不安を感じ始めた私のケータイにメールの着信音が。。


   “是枝さんからだ。。一体何?”


 私はメールを開く前から胸騒ぎを感じていた。

             (続く)


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