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その39 ゆりかの決起

 ゆりかの決起


 ●森田ゆりかの視点


 それは昨日のこと。

 3日も待てずに私は例の写真を卓さんに見せてしまった。

 でもこれは決して軽はずみな行動ではなく、私自身何度も考えて出した結論。

 最初にこの話を切り出すまでにはかなりの勇気が必要だった。胸もドキドキするし言いかけようとして何度もためらった。

 でも言わずに済まそうとは思わなかった。言ったところで決して是枝さんにも迷惑はかからないと確信もしていたし、送られて来た二度の写真についてよくよく考えてみると、これは仕組まれた罠だと思える節が見えて来たから。

 第一にこの写真の相手は三木綾乃ではない。ということは是枝さんとは無関係。卓さんが是枝さんを疑う理由もない。


 私は最初、この写真の件は卓さんを大目に見てあげるつもりだった。きっと彼も被害者なんだろうと思った。そう思いたかった。

 それなのに。。。それなのに。。。

 卓さんが三木綾乃から毎日手作りのお弁当をもらって食べてる事実を聞いたときは新たなショックが私を襲った。

 夫がわからない。なぜ次から次へと問題が起きるの?卓さん、あなたは浮気してるの?してないの?

 今まで直接聞けないでいた私は自問自答の繰り返し。でもついにそれに終止符が打たれる時が来た。


 この日の夕食はカップめん。私に夕食の献立を考えるゆとりなどなかった。

「めずらしいね。ゆりかがカップめん出すなんて。」

「独身時代ずっと食べてたから好きでしょ!」

「そ、そうだけど…」

「私、今日すごく疲れてるの。ラーメンじゃ不満?」

「い、いや(^_^;)全然平気だよ僕は。でもいずみは?」

「あの子にはコンビニでおにぎり買って、さっきお部屋に運んであげました。」

「あの〜。。ゆりか何か怒ってる?」

「え?私が?何で?」

「いつもと比べて言葉が荒々しいからさ…」

「そんなこと…少しはあるけど。。」

「え?」

「いいから早く食べて。卓さんに話があるの。」

「な、なんの?」

「だから早く食べて。話はそれからよ。」

「ゆりかは食べないの?」

「後でいいわ。今のうち洗濯機回して来るわね。」

「う、うん。。」


 ●そのときの森田卓の視点


「卓さん、はいこれ。説明して。」

 僕の目の前のテーブルに数枚の写真が並べられた。

「Σ( ̄□ ̄;あっ!こ、これは…!」

「どう見ても卓さんよね。この写真だってズームでしっかり撮られてるし。」

「そ、そうだけど…誰がこんな写真を?」

「知らないわ。玄関のポストに入ってたの。」

「悪質だなぁ…」

「そうかもしれないけど、それより写真の説明をして下さい。」

「は…はいっ(^_^;)」


 どうしよう?どう説明すりゃいいんだ僕は?是枝君のアドバイス通りにするとすれば、知らぬ存ぜぬを通すことだけど、それは三木さんの件がバレたらのこと。この場合には当てはまらない。だいいち証拠写真があるし。

「ねぇ、卓さん何とか言って!もしかして言い訳考えてるの?」

「いや、そんなことは…( ̄ー ̄; き、きっとこれはあのときだよ。ほら、新入社員の歓迎会の日。」

「この肩を並べて歩いてる女の人と二人だけで?」

「よ、予約してる店に行く途中でたまたまバッタリ会っただけだよ(^□^;A」

「へ〜え。。そうなんだ。。」

「う、うん。。」

 ゆりかはすごく悲しい顔になった。そんな顔も可愛いと思う僕は不謹慎きわまりないかもしれないが。

「卓さん、あなたは私にはウソはつかないと信じてた。」

「・・・・」

「それなのにあなたは今ウソをついてる。」

「(゜゜;)ギク!」

 ゆりかはエプロンのポケットからまた別の写真を出した。

「卓さん、これが新入社員の歓迎会?」

 僕はそれを見るや思わず飛び上がった。

「ガ━━ΣΣ(゜Д゜;)━━ン!!な、ななななな・・・なんだこれは!!」

「なんだって言ったって、心あたりあるでしょ?卓さん自身だもの。」

 僕が仰天したのは自分の哀れな姿の写真だった。

 あのとき…うす暗い部屋で倉沢まりもさんに目隠しされて手錠もハメられたあのときの写真だ。

「ひえー!(◎0◎)なんでこんなもんまでが。。」

(続く)

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