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その38 是枝の思惑

  是枝これえだの思惑


 是枝の計画に想定外のことが起きていた。森田ゆりかから見せられたあの写真。

 あれは明らかに意図的なものだ。一体誰がそんなことをする必要があるのか?そして目的は何なのか?

 自分の知らないところで別な何かが進行している。是枝はそう感じとった。

 だから森田ゆりかとネットカフェで会ったあの時、とっさに3日間だけ行動を控えるように指示した。

 その間に少しでも調べる時間を稼ぐためだ。自分の計画の妨げになるとやっかいなことになる。

 一体誰が森田夫婦をおとしめようとしているのか?

 おそらく単独の人間ではないだろう。誘う側と証拠を撮る側がきちんと役割分担されているからだ。

 是枝は考え込んだ。

『こいつらは俺にとって敵か味方か?』

 当然それ次第で計画の進行も狂ってくる。

『しかもなんで俺がしようとしてる同じ時期に。。』


 とにかく是枝にとっての手がかりとしては、やはり同じ職場の森田卓の口を割らせて事情を知るしかない。

 昨日も昼休みに屋上で三木綾乃の弁当を食べている森田に話しかけた。あの調子なら今日だって意外と簡単にしゃべってくれる。是枝はそう確信した。


 昼休み。オフィスから出て行った森田に5分ほど遅れて、是枝は早速目的地の屋上へ向う。

 エレベーターに乗るまでの長い廊下を歩いていると、いきなり真横のドアが開き、血相を変えた男に無理矢理腕を引っ張られて中に連れ込まれた。

 そう、なんとその男が森田卓だった。さすがにこれには是枝も驚いた。

「どうしました?ここ、用具室じゃないですか?何か探し物でもしてたんですか?」

 もちろんそんなことなど思ってもいない是枝だったが、少しとぼけてみるのも話を聞きだすための一つの手なのだ。

「い、いや違うんだよ。いつもここは鍵が閉まってないから入っただけで…」

「森田さん、なんか動揺してません?また何か心配事でも?」

 明らかに森田卓には落ち着きがなかった。

「えと…そのぉ〜マズイことになっちゃって…」

「というと、ひょっとして奥さんに…?」

「か、勘がいいね是枝君(^_^;)そうなんだ。ゆりかにバレちゃったんだ。。」

「(゜〇゜;)ええっ?ホントですか?でもそんなはずは…」

「え?(・・)」

「いやいやいや、僕は誰にも話してませんよ。三木綾乃のことなんて。」

「いや、それとは違うんだよ。別の件で。」

「はぁ?…あのぉ、だったら僕には事情が全然わかりませんが?」

「昨日話しませんでしたっけ?」

「全然(^_^;)」

「そっか…そうだったっけ?じゃどしよう。参ったなぁ。。」

「森田さん、焦りすぎですよ。もう少し冷静になって下さいよ。」

「う、うん。。そうだね。ごめんごめん。確かにそうだよね。バカだな僕って。」

 是枝も心の中でそのことに同調した。森田は本当におバカな男だと。


「じゃ聞いてくれる?是枝君。君しか話す人はいないんだ。」

「もちろん。」

「ありがとう。じゃあお礼にこの弁当食べていいから。」

「いりませんって^_^; それ三木綾乃の弁当でしょ?」

「ハハ…わかる?」

「そりゃわかりますよ。ははぁ…なるほど。この部屋でいつも彼女から弁当を手渡されてるんですね?」

「ヘ( ̄ω ̄|||)ヘぎくッ!こ、是枝君、探偵になれるね(⌒-⌒;」

「まぁとにかく話を聞きましょう。」

「うん。じゃあこの弁当でも食べながら聞いて。」

「だからいらないって!(⌒-⌒;」

「そう言わずにさ。是枝君はまだ社食行ってないんでしょ?」

「そりゃまだですけど。。」

「じゃ遠慮しない遠慮しない。さ、食べて食べて。」

「いや決して遠慮はしてないんですけど…( ̄ー ̄; 」

と、是枝がいくら断っても、森田はすでに弁当箱の包みを解き、フタも開けて是枝に差し出していた。

「(;-_-) =3 フゥ わかりました。せっかくですからいただきます。」

「うんうん。食べながら聞いて。その方が僕も話しやすいんで。」

「何でですか?」

「僕、極度のあがり症だからさ、真剣な顔で聞かれると言葉がしどろもどろになっちゃうんだ。わかる?」

「あーはいはい。そういう人いますもんね。じゃ早速食べますよ。」

「うん。そうしてそうして。」


 是枝は森田から弁当を受け取ると、すぐにおかずから手をつけた。

「なかなかいけるでしょ?三木さんの弁当。」と森田が言う。

「そんなこと言ってていんですか?そろそろ本題に入りましょうよ。」

「あ、ごめん。そうだね。僕が引き止めておいて申し訳ない。」

 是枝が口をモゴモゴしながら話を促す。

「じゃあどうぞ。バレちゃったって一体どういうことですか?」

 是枝は内心、しめしめと思っていた。こっちが無理に聞き出さなくても森田が勝手にしゃべってくれる。まさに思惑どおりだ。

「うん。それなんだけど…実はね。。」

「実は?」

「ちょっとその前にさ、その竜田揚げ一口だけ食べさせてくれない?w」

「(ノ _ _)ノコケッ!!」

「ごめんね。見てるとおいしそうでつい。。(^□^;A」

(続く)

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