その32 ゆりかパパといっしょ(後編)
ゆりかパパといっしょ(後編)
ゆりかパパこと・須藤源一郎は、目の前にいる義理の息子・森田卓を見て首をかしげた。
どうしてこの男はいつもおどおどしてるんだろう?自分に自信がないのか?それとも義父である自分に相当気を遣っているだけなのか?
いや、でもそうは見えない。気を遣っていたらもっと積極的に話してきてもいいはずだ。この男は目線すら合わせない。
源一郎はそわそわしている卓を見ながら苛立ちも覚えていった。
どう見てもハンサム顔ではないし、落ち着きもない。
ゆりかはなぜこの男を選んだんだろう?こんな男でも何かの才能があるのか?
ゆりかの強烈な熱意に負けて結婚を許したものの、今となってはそれで良かったのかと後悔の念が先にくる。
手塩に育てたわが娘の一生をこの男に託すことが本当に正解なのか?
観覧車に男二人きりの異様な静寂ムードの中、重い口を開いたのは源一郎からだった。
「卓君、ゆりかと結婚してどのくらいになる?」
「え?あ…えっと、1年半ですかね。」
「そうか…そろそろ子供ができてもいい頃じゃ?」
「あ〜、それはまだですねぇ(^_^;)」
「ん?君は子供が嫌いってわけじゃないだろう?」
「はい、子供は好きなんですけど…お互い共働きですし、何かと忙しかったりで。」
「じゃあつまりその…なんだ、あっちの方は全然なのか?」
「は?あっちって?…どっち?^_^;」
「((ノ_ω_)ノバタ あっちはあっちだ!話の流れでわかっても良さそうだが?」
「あ…家事の片付けとか手伝いますよ。いずみの勉強も見ますし…」
「そういうことじゃなくて…わからんかなぁ?夜の夫婦生活のことだ。」
「あ、会話は結構してますよ。楽しく話せてます。」
源一郎は小さなため息をつく。
「卓君、君は話をわざとそらしてるのかね?子作りだよ子作り!」
「な、なるほどそっちのことでしたか(//▽//)」
「白々しいな。で、ちゃんと励んでるのかね?」
「お義父さん、そんな露骨なこと…(^□^;A」
「ゆりかの前では言えないから今君に言ってるんじゃないか!」
「そのようですね(⌒-⌒; まぁ人並みには頑張ってるつもりですが…でも人並みがどの程度なのかはわからないですけど^_^;」
「日本人のSEXの回数は世界でも最低レベルなんだよ。まだ若い君がそんな仲間に入ってるとも思えんが。」
なにもここでそんな豆知識を出さなくてもなぁ・・( ̄Д ̄;;
と卓が心でボヤいてもどうなるものでもない。
「だ、大丈夫ですよ。そのぉ…ちゃんと週2回は頑張ってますんで(´▽`;)ゝ」
「ブッ!゛;`;:゛;`(;゜;ж;゜; )回数なんて言わんでいいっ!」
「あ、すいません(^_^;)聞きたかったのかと。」
「誰がだっ!ヽ(`⌒´)ノムキィ」
「違ったんですね。( ̄ー ̄; ヒヤリ」
「まぁ聞いてしまったから言うのもなんだが、それじゃたぶん平均以下だな。」
「やはりそうなんでしょうかねぇ?」
「そうなんだよ。結婚1年半でそれじゃあダメだな。」
「はぁ…でもゆりかも毎日疲れてるし、どうしても週末しか。。」
「土日ってことか。」
「いえ、金土です。日曜にすると翌日の朝早い出勤にきついですから。」
「……(-_-;)はぁ〜。。」
源一郎は落胆した。ゆりかに恨まれてもあの時、結婚を許すべきではなかったとつくづく思っていた。
(続く)