その28 綾乃さんとお食事(2)
綾乃さんとお食事(2)
●森田卓の視点
昼間飲んだ焼酎のおかげで僕は幾分か緊張が薄らいでいる。
とは言っても、襖で閉ざされたお座敷に、テーブルを挟んで三木さんと二人きり。
目の前の彼女の顔をまともに見られずに、目線を下げながらモジモジしている僕。
三木さんは清楚な白系の服装で、姿勢正しく正座していた。
「ヤダ恥ずかしい森田さん。私の胸元ばかり見て(*v.v)」
「(゜〇゜;)ハッ!いやいやいやいや、そういうわけじゃなくて。。」
なら僕は一体どこを見てたらいいんだろぉ?( ̄ー ̄;
「先に飲み物頼んでおきません?生ビールでいいですよね?」
「は、はい。」
「ピッチャーで頼みますね。」
「ピ、ピッチで…?」
「おかわりするたび店員さんが入って来ると邪魔なときってあるでしょ?」
「そ、そうですかねぇ?」
「だって…二人だけの空間ですもの。。」
『(・'・;)ドキドキドキドキ…』
僕は返す言葉が見当たらない。こういうときは何をしゃべればいいんだろぉ?服装を褒めたらいいのかな?
「そういえば三木さん、今日は素敵なキャミ着てますね。」
「そういえばって…(^_^;)」
ヤバッ!Σ( ̄□ ̄; とってつけたようなセリフになってしまった!
「いやその…とっても清楚でお似合いだなぁと思って;^_^A 」
「あ、ありがとうございます。でもこれトップスなんです。。」
「Σ|l( ̄▽ ̄;)||す、すいません。なんせ僕ファッションにうといもんで…」
「気にしないで下さい。森田さんに褒めていただいて嬉しいです。今日は頑張ってスカートもミニにしちゃったの(#^.^#)」
『(゜゜;)ギクッ!』
あ〜またヤバい!彼女の言葉につられてつい視線が下へ…(⌒-⌒;
三木さんは正座しているから、丈が上がって超ミニ状態のはずだし、視覚的にはかなり刺激的だろうなんて、瞬時に妄想してしまった自分がなんとも情けない。
幸い、彼女との距離にテーブルという障害物があったから本当に良かった。まともに見ちゃったら鼻血が出るかもしれないし。
「あのー正直に言いますけど、自分で言うのもなんですが、僕けっこう…いや、かなりシャイでして…その。。」
「はい、わかりますよ。会社で森田さんを見ているときからそんな感じがしました。」
「やっぱりバレバレなんですね(⌒-⌒;。ですからその…僕の真正面に座られると目のやり場に困るんですよ。情けない話なんですが(^□^;A」
「 (o^-^o) フフッ♪おかしいですね。そんな森田さんがなぜ超美人の奥さんを射止めたんですか?」
「ま、まぁそれには色々事情がありまして…なぜそのことを?」
「もう会社中の噂ですよ。誰でも知ってると思いますけど?」
「そうでしたか…ハハヾ(´▽`;)ゝ 」
「詳しく知りたいですけど、プライベートなことですもんね。じゃあ私がそっちに移動します。」
「(゜ヘ゜)え?」
「私が森田さんの横に座れば目線が気にならないでしょ?」
「まぁそういうことになるんですかねぇ…^_^;
「私、となりでお酌します!メイドさんだと思って下さい。」
「いや、そんな妄想をあおること言わないで下さい。なんていうか余計に恥ずかしくなりそうでどうしたらいいか…」
と、僕が言ってるうちに彼女はすぐにやって来て、ピッタリと横に座った。
「お膳も1度に全部持ってきてもらいましょうよ!」
彼女は僕の緊張をよそにあっけらかんとしている。
「三木さんて、意外と大胆だったりするんですね(^_^;)会社でのおとなしいイメージとは違う感じがしますけど。」
「そうですか?私にもよくわからないんです。元々私は地味で目立たない子なんですよ。ただ最近は少し積極的にならないとダメかなって思い始めたのは確かで。」
「それはいいことですね(^_^;)」
「あのー、森田さん、なんか不自然ですよ?」
「え?何が?」
「こっち向いて話さないんですもの。前ばっかり見て。」
「そ、そうですよね。変ですよね僕。アハハハ(^□^;A」
横に来てもらったのが逆に悪かった。振り向くとモロに三木さんの刺激的な服装が目に入るのだ。
だがそれを救ってくれたは、やっと来た生ビールピッチャーと料理のお膳だった。
「森田さん、乾杯しましょう。」
「そうですね。僕も改めて飲みなおします。」
「カンパーイ♪」
よしっ!飲み食いに集中すればもっと楽しめるはずだ!それでいいんだ!
(続く)