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その23 いすみの幻滅(後編)

 いすみの幻滅(後編)


 ●森田ゆりかの視点


「卓くん、教室でオナラしたんだよ!おっきなオナラ!」

「Σ('◇'*エェッ!?ほんとに?」

「もう信じらんない。アタシのすぐ後ろでだよ!」

「我慢できなかったのかしらねぇ・・^_^;」

「しかも授業中に教室の前から入って来たし(-_-;)」

「それ、おもしろいじゃない。みんなウケなかった?」

「ママッ!そんな問題じゃないよ!ヽ(`⌒´)ノムキィ」

「あははは。ごめんなさい^_^; でもいずみ、失敗は誰にでもあるものよ。」

「卓くんはありすぎるもん。」

「(;-_-) =3 フゥ…とにかく向こうに行って話しましょ。」

 私はいずみとリビングに移動し、テーブルの前に向かい合って座った。

「そうは言ってもパパだって悪気はないのよ。」

「わかってるよそれくらい。」

「わかってるなら許してあげたら?。」

「ヤダ!!」

「いずみはパパのドジぐせは前から知ってるじゃない。それに仲もいいんだし。」

「家ではいいけど、外や学校では恥ずかしいよ。必ずドジるもん。」

「必ずは言いすぎよ(⌒-⌒;」

「でもそうだもん。」

 相変わらずこの子はハッキリ物を言うタイプだ。私と性格が全く違う。

「でもいずみに優しいパパなんだから少しは大目にみてあげないとね。」

「アタシすっごく恥ずかしかったんだよ!みずほちゃんが『あの人はいずみちゃんのお父さんだよ』教室で言ったからみんなにバレちゃったし。」

 私はこのときハッとした。

「いずみ、まさか…このことが原因でお友達にイジメられたりしたの?」

「森田のお父さんはブサイクでまぬけなへーコキじじいだって(T_T)ウルウル…」

「そ、そうだったの。。家ではそんなにオナラしないのに。。」

「ねぇママ、どうして卓くんと結婚したの?普通カッコいい男の人の方がいいに決まってるじゃん!」

「・・・パパは優しいからよ。カッコいい人って案外クールなのよ。」

「じゃあ奈緒美ちゃんのパパは優しくないの?すっごくカッコいいよ!」

「そうは言ってないけど。。(^□^;A」

「アタシ、卓くん大嫌いになった!もう口きいてやんないっ!」

「いずみ・・・(・_・;)」

「あ〜ぁ、これなら本当のパパの方が顔いいし遊んでくれるかも…」


   バシッ!!


「いずみっ!!」

 無意識に手が出てしまった。決していずみだけが悪いのではなく、こんな立場にしてしまった私に原因があるのに。。

 いずみは大粒の涙を流したが声を出して泣いてはいない。必死に耐えている。強い。この子は本当に精神力が強い。

 私はこれではいけないと思った。卓さんが家庭で浮いた存在になってしまう。いずみの父親になりかけていたのに努力が台無しになる。

「ねぇ、いずみ。聞いてちょうだい。」

「・・・・・」

「パパは確かにドジで顔も悪いわ。」

「ママもよくわかってるじゃない。」

相変わらず強気発言のいずみ。

「ええ、でもね、パパだって一生懸命なのよ。わかるでしょ?今までだって、仕事で毎日疲れてるのにいずみの勉強見てくれたり、休みにはドライブに連れてってくれたり、旅行だって行ったでしょ。」

「そうだけど。。」

「パパはね、今まで家で『疲れた』って言葉を一度も言ったことがないの。クタクタのはずなのに1度もね。パパは家族をとても大事にしてくれる人なの。いずみを本当の自分の子のように思っているの。」

「そんな無理しなくていいのに。」

「パパは無理してるとは思ってないわ。いずみが大好きなの。本当に大好きなの。それに比べて…」

「?それに比べて?」

「・・・それに比べていずみの本当のパパはママと暮らす気もいずみを育てる気もなかったわ。」

「・・・・・」

「こんなこと、まだ子供のあなたに言うべきじゃないけど、今のパパがどれほど私たちを愛してくれてるかよく考えて。」

「卓くんが好きなのはママだけだよ。。」

「それは絶対にありません!それに今こうして生活できるのはパパの稼ぎのおかげなんですからね。」

「ママだって働いてるじゃない。」

「ママの収入なんてしれたものよ。パパはね、普段の行動はドジでウスノロだけど…」

「( ̄m ̄o)プッ ママ、アタシ卓くんのことドジって言ったけど、ウスノロとは言ってないよww」

「(゜〇゜;)ハッ!!私としたことが…;^_^A アセ… とにかくね、パパは仕事では失敗したことがないの。他の人の遅れてる仕事も手際よく手伝って片付けるくらい優秀なのよ。」

「へぇ〜、初めて聞いた。」

「だからね、パパは全てがドジなわけじゃないんだし、もっと良い面を見てあげて。いずみは頭のいい子だからママはあなたを信じてる。人をもっと広い心でで見てあげるようにね。」

「・・・・うん。。なんとなくわかった。。」

「ごめんね。ぶって。。ママもイケナイところがたくさんあるのに。。許してね。」

「うん。。もういいよママ。。」


 あぁ…卓さんがもう少ししっかりしてくれたら。。

 せめて子供の前ではドジが治ってくれたらいいのに。。

                (続く)                      

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