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その16 魅力のポイント

 魅力のポイント


 ●森田卓の視点

 定時に仕事が終わって社員が次から次へとオフィスから出て行く。

 僕は三木さんからもらった弁当箱の空を誰にも見られずに返すタイミングがつかめずにいると、とうとう最後の一人になってしまった。

 正確に言うともう一人。三木さんも僕から弁当箱を返してもらうために多分残っているんだと思う。

 デスクに座っている彼女を後ろから見ると、何か作業をしているようにも見えたけど、人がいなくなるまでの間、時々僕に視線をチラチラ投げかけているのがわかった。

「三木さん、すいません。お弁当ごちそうさまでした。お・・お、おいしかったです。」


 しまった・・( ̄Д ̄;; 噛んじゃった。。


「え・・?ホントにおいしかったんですか?」

「はい。おいしくいただきました。」

「ハンバーグ、しょっぱくありませんでした?」

「いえ特にそんな・・(⌒-⌒;僕は濃い味が好きなので。」

「やっぱり・・すみませんでした。私、調味料の分量間違えちゃったみたいで。」

「いえいえいえいえ、そんなの全然気になりませんでしたよ。逆に食が進みました。」

「ほんとに?」

「はい。ハンバーグをちょっとかじるだけで、ご飯をたくさんかき込めるんだもの。」

「・・(-_-;)それって相当塩辛かった証拠ね。。」

「(゜〇゜;)ハッ!僕なんかまずいことを言って・・」

「ううん、いいの。森田さんてとても優しい人だって改めてわかりました。」

「ていうか、お人よしってよく人から言われるんですけどね(^□^;A」

「そんなことないと思います。」

「ですかねぇ。(^_^;)」


 僕はこういった場面に慣れてないせいか、このあとどうリアクションしたら良いのか見当もつかないでいた。

「あ、そうだ。お弁当箱を返さなくちゃ。さっき給湯室で洗っておきました。」

「そんなこといいのに。」

「いやいやいや、とんでもありません。ちょうどママレモンはあったのできちんと洗いましたよ。」

「(*^m^*)フフッ。ママレモンて・・森田さん、そんな名前の洗剤はとっくの昔にないはずですよ?」

「Σ('◇'*エェッ!?ママレモンが今の世にはないんですか?」

「ええ。」

「じゃあ僕がさっき使った洗剤は・・?」

「給湯室にある洗剤は確かキュキュットじゃないかしら?」

「そうでしたか。。僕は洗剤と言えば、ママレモンという固定観念があったようですね。。お恥ずかしい限りです。」

「 (o^-^o) ウフッ。やっぱり森田さんて私のタイプです。」

「えっ?」

「また明日もお弁当作って来ますから。じゃあお疲れ様でした。」

「えっ?えっ?ちょ、ちょっ・・」

「大丈夫です。次は分量間違えませんから。」

「いや、そうじゃなくて・・その・・(⌒-⌒;」

「ええ、森田さんの言いたいことはわかってます。」

「えっ?」

「奥様のお弁当もあるんですものね。」

「そ、それもそうなんですが・・」

「??はい?」

「あのぉ・・そもそも何で僕にこんなことを。。」

 三木さんはキョトンとして言った。

「手紙・・読んでいただけました?」

「は、はい。それは読みましたけど・・どうしても解せなくて。」

「気にしなくていいんです。これは単なる私の一方通行なだけ。私の独りよがりな行動なんです。普通に受け流してもらっていんです。森田さんを困らせたくないですもの。」


   普通に受け流せるわけないじゃん。。( ̄ー ̄;

   それにもう充分困ってるし。。(;-_-) =3 フゥ


「あのですね、社内には僕よりイイ男がいっぱいいるじゃないですか?なんで僕なんですか?」

「そんなことが不思議なんですか?」

「普通そう思いますけど(^_^;)」

「それは偏見だと思います。」

「へ、偏見ですか?僕が?」

「だって・・顔のイイ男性が苦手な女性って、私も含めて世の中にはたくさんいるんですよ。特に私はチンチクリン系がタイプなんです。」

「( ̄Д ̄;;!!なんかハッキリ言われちゃいましたね。」

「あ、すみません。私とんでもないことを。。」

「いえ、事実ですからそれはいいんですが・・」

「失礼ですけど、森田さんの奥様も私と同じタイプじゃないんですか?」

「というと?」

「その・・二枚目は苦手というか。。」

「ん〜、ちょっと違うかもしれません。彼女は僕と結婚するまではすごくカッコいい男と付き合ってたみたいですから。」

「Σ('◇'*エェッ!?そんなこと奥様が教えてくれるんですか?」

「いや、そうじゃなくて、僕が以前、彼女の元彼に会ったことがあるんですよ。」

「そうだったんですか・・私、勝手な想像しちゃって。。」

「それはいいんですけど・・」

 その時僕は突然あることが頭によぎった。もしかして・・

「あの、三木さんにひとつ聞いてもいいですか?」

「ええ、もちろん。」

「変な質問してすみませんが・・」

「??」

「三木さんは暗示というか・・催眠術みたいなものにかかったことあります?」

「いいえ、全然。テレビでは芸能人がかけられているのを観たことありますけど?」

「そうですか・・じゃその・・クリニックとか通われた経験とかは・・?」

「ありません。森田さん、私、正気です。」

「す、すみません。失礼なこと聞いてホント申し訳ありません。ただあまりにも急な感じがして。。」

「私の行動が・・ですか?」

「はい。。」

「それは誤解です。私が突然森田さんを好きになったわけでも、いきなりお弁当を作り始めたわけでもありません。ここに至るまでには何ヶ月も迷ったんです。森田さんの仕事ぶりや、何気ない仕草を見ているうちに私の心が惹かれていったんです。」


 ヘ( ̄ω ̄|||)ヘぎくッ! 何気ない仕草?僕がハナクソほじくってるとこも見られてたんだろうか?( ̄Д ̄;;


「わかりました。でも僕にはどうすることもできないのが現状だし・・」

「ええ、だからそれはさっきも言った通り、気にしないで下さい。」


   そう言われてもなぁ・・(~ヘ~;)ウーン


 そしてハードスケジュールな日曜日まであと二日。。。


             (続く)


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