「ジェーン・ブラウンの死体」 ウイリアム・アイリッシュ原作。 試論
コーネル・ウールリッチ、亦の名を、ウイリアム・アイリッシュ。
ミステリー作家では私が一番好きな作家だ。
彼の奇矯な私生活も興味深いし、その辺はウイキペヂアに詳しく乗ってます。
そして彼の作品はいくつも映画化されています。
幻の女(ロバート・シオドマク監督)1949年
ポワゾン 2001年
裏窓 (ヒッチコック監督)
夜は千の眼を持つ。
黒衣の花嫁
暗くなるまでこの恋を(同上)
しかし私が、一番好きな作品はこれだ。
アイリシュの短編で
「死よ、おごるなかれ」
原題はジェーン・ブラウンズ・ボディというのが有ります。
私はこれが好きですね。
あらすじ。
山中に不時着したパイロットがたどり着いた一軒家。そこには年老いた医者と美しい娘が住んでいた。
娘と恋に落ちた若者。しかし、娘は一度死んだ再生人間だった、
実はこの医者、自分が発明したよみがえりの秘薬を試すため、
墓場から死体を掘り返し、そしてよみがえらせたのがこの娘だったのだ、
この娘は生前ギャングの情婦で自堕落なジェーン・ブラウンといった、
しかし今こうして新しく生まれ変わって、
ノーバという純粋無垢な娘となったのだった、
現代のフランケンシュタイン物語のバージョンですね?
内容は切ない純愛です
恋に落ちた二人はこの山荘から脱出を試みます。
新しい生活を二人でしたい。
しかし、この娘定期的にその秘薬を打たないと体が老化して腐ってしまうのです。
愛の脱出行をした二人に医者はこう言います。
「6月何日を覚えておけよ」
二人は愛の生活を始めますが、
案の定彼女の肉体は次第に腐り始めます。
そうして、腐って骨だけになったその指に愛の指輪を男ははめてやるのでした。
いのちのはかなさ、死の不条理、愛の尊さ、
ここに今、生きていることの不思議、色々なことを考えさせられますね。
私はアイリッシュの一番の作品だと思います。