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黒き死神が笑う日  作者: 神通百力


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登山連戻部隊

 登山遭難者は年に1500人以上にものぼり、その内1000人近くが死亡または行方不明となっている。この事態を懸念し始めた政府はとある法律を設けることに決めた。

 その法律は『登山禁止令』というもので、登山をすることを禁ず法律である。この法律に違反したものは三年以下の懲役または罰金十万円に処せられることになる。登山者の楽しみを奪うことになるが、みんなの身を案じ、この法律を設けたのだ。登山者の家族を悲しませないために――。


 ☆☆


 山の麓には数十人の警備員が配備されている。山に誰も踏み込まないように交代制で見張っているのだ。登山者を見つけ次第、厳しい注意の後、帰宅してもらうこととなる。

 山の麓にはいくつか山小屋があり、そこで警備員は休憩したり仮眠を取ったりとしている。

 厳重に警備をしていても山に踏み込む輩は残念ながらいるのだ。そんな事態になってしまったときのために、登山者を連れ戻すプロがいる。その名は『登山連戻部隊(とざんれんれいぶたい』。所属隊員にはあるアイテムが支給される。それは酸素の入ったタンクが二つついた翼状のもので、通称『天使の翼』と呼ばれている。酸素を逆噴射させることにより空を飛べ、その酸素はタンクに付いているチューブから空気中のものを直接取り込むことができるようになっているので、半永久的に飛び続けることが可能である。取り込んだ酸素を排出して飛ぶので究極のエコアイテムといえるかもしれない。

 

 ☆☆


 とある山の麓――。

 一人の警備員の無線に登山者を発見したとの連絡が入った。警備員はすぐさま『登山連戻部隊』が待機している山小屋へと向かう。

「失礼します。先ほど登山者を発見したとの連絡が入りました。すぐさま出動してください。登山者は紺色のレインウェアを着ているとのことです」

 警備員は山小屋に入って開口一番にそう告げた。

「分かりました。すぐに救出に向かいます。みんなすぐに準備しろ」

 隊長は隊員たちに告げる。

 ものの数分で準備を終え、『登山連戻部隊』は登山者の救出へと向かった。


 ☆☆


 十名ほどの『登山連戻部隊』はタンクを背負い、上空から登山者を探し始める。お互い数分おきに無線で連絡を取り合う。

 捜索を開始してから三十分ほど経ち、隊長はついに登山者を発見し、隊員たちに無線で見つけたと連絡を入れる。隊長は登山者を抱え込み、山の麓まで降りた。

 登山者は『道に迷ってね、このまま死ぬかと思ったよ。本当に助かった、地獄で仏とはまさにこのことだ』と喜び満ち溢れた表情をしていたが、『登山禁止令』に違反したとして十万円の罰金を要求された途端、今度は青ざめた表情になった。かくしてこの登山者は瞬く間に地獄から天国、そしてまた地獄への気分を味わったのである。


 こうして今日も『登山連戻部隊』は上空から天使の翼のようなタンクを背負い、登山者を地上へと連れ戻している。

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