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黒き死神が笑う日  作者: 神通百力


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予感

 学校の帰り道、鼻歌を歌いながら歩いていた。

 突如、カァーッと泣き声が聞こえ、驚いて空を見ると、無数のカラスが羽ばたいていた。

 背筋がゾクッとして嫌な予感がした。急いで帰らなければ、と思った。なぜそう思ったのかは分からない。神の囁きだろうか。

 ともかく私は、走った。子供が見たら泣いてしまうだろう形相で。恐怖映像に出てくるエクソシストなら悪魔めこの人から今すぐ出て行け! っていうだろうな。『とり憑かれてねっつーの単なる思い込みだそんなもん』と私ならこう言い返す。相手はどう思うだろう。怒り来るって理性を失い暴れるだろうか。

 そうこうしている内に家に着いた。

 息を整えようと思い、下を向きあることに気付いた。なんとスカートがめくれ上がりパ・ン・ツ☆……すまない。今のは正直私も気持ち悪かった。吐き気を催してしまった。なんという失態。

 何が言いたかったかというとスカートがパンツに引っかかっていたのだ。まあ、私は女だが女性用の下着ではなく男性用の下着……トランクスを穿いていたから問題ない。いや、逆に問題あるか。何であの人、女なのにトランクス穿いてるんだろうと不思議がられるか、あるいは、なんて男らしいんだと憧れの視線で見られるかだな。この格好なら興奮されないだろう。されても困るが。

 私は、パンツの中に手を入れセロハンテープでくっつけておいた鍵を取り出した。なんてところに入れてるんだと思うかもしれないがこれにはちゃんとした理由がある。それは、取られないためだ。まさかこんなところに鍵を入れてるとは思わないだろうからな。ちなみに財布はさらしで巻いた胸の中に仕込んである。

 早速、鍵を鍵穴に差し込み回して開けた。

 家の中に入り、辺りを見回した。リビングには体中を刺されて血だらけになり、内蔵が飛び出してしまっている母と頭部とお腹が陥没して見るも無残な姿になっている父が仲良く寄り添うように倒れている。

 今朝、家を出た時と何も変わらない。私は安堵し、思わずだっちゅうーのをしてしまった。ちょっとばかし古いかな。

 地べたに座ろうとしたその時、

「き、きみをさ、殺人容疑でた、逮捕するんだな」

 後ろを振り向くと、片手に警察手帳とおにぎりを持った一人の男が立っていた。

 え、何? おにぎりで有名な画家ですか? あんたは。ってかおにぎりじゃなく手錠を持てよ。馬鹿か手前は何のんきにおにぎり食ってんだよ。殺ってまうぞこら。ほんま、怒るでしかし。これも古いな。流行という物に疎くてな。

 嫌な予感はこれか。

「どっから入ってきたんだ、このすけべじじいが」

「ガ、ガラス切りでま、窓を破りそ、そこからはいってきたんだな」

「……すけべじじいの部分はスルーか」

「じ、事実だからひ、否定はしないんだな」

「何でこの家に侵入したんだ」

「き、近所からつ、通報があったんだな。な、何回もい、インターホンを鳴らしてもで、出なくてい、いつもならすぐ出るからふ、不審に思ったらしいんだな」

「私が殺害したという証拠はあるのか」

「あるんだな。し、死体を見てもお、驚かなかったしあ、安堵してたからこ、これが証拠だな」

 さて、この状況を打開するか。

 私は胸に手をやる……と見せかけてパンツに手をやり足首までずらし、そっと脱いだ。スカートをめくり、両手で押さえる。さあ、存分に見るが良い。私のエキサイティングな局部を。

「おぉ!」

 すけべじじいは男のロマン……鼻血を流出し、じっくりと眺めていた。

 男というものは下等でゲスな生物だな。

 この隙にとばかりに足を華麗にあげ首を蹴り飛ばした。ゴキッと音が鳴ってすけべじじいはドサッと床に倒れた。

 側に行き脈を取った。死んでいる。

 その日のうちに荷物を用意して逃亡した。

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