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黒き死神が笑う日  作者: 神通百力


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コレクターⅡ

コレクターⅠ~Ⅲは共に同じ設定ですが、結末が微妙に違っています。ぜひ読み比べてみてください。


作者 神通百力





 私には人には言えないような、特殊な収集癖がある。今日も街から攫ってきた一人のか弱い少女の両手両足の指を一心不乱に切る。ただただ切る。もちろん少女は生かしたまま――だ。少女は泣き叫ぶ。しかし人里離れたこんな山奥の一軒家に、少女の声を聞きつけ、駆けつけてくるヒーローなんていないのだ。

 そして指を切り終えると、その指を、元々はアンズジャムが入っていた私のお気に入りの瓶に入れる。

 この瓶を窓の近くへ持っていき、太陽の光に反射させ、キラキラと輝くさまを見るのが、私の至福のひとときだ。

 指を切り取った後の身体には用はない。生きたまま――とはいえ、痛みで気を失ってしまう少女がほとんどだが――家の裏にある崖から重りをつけ海へ突き落とす。今までこれで少女の死体が浮かび上がってきたことはない。まぁ、死体が発見されようがされまいがそんなことはどうでもいいのだが。


 明日は少し遠くの街まで行ってみよう。この辺りの警戒心のカケラもない、まぬけな少女たちは、もうひと通り攫ってしまったことだしな。今頃は仲良く海の底でお喋りでもしているであろう。


 

 朝、起きるとすぐに私は自動車に乗って二つほど先の街に出かけた。初めての街だったのだが、まぁ、街なんてどこも似たようなものだ。か弱そうな少女なんて少し街をうろつけばすぐに見つかる。ただ雰囲気で私がこの街の住人ではないことがわかるのであろうか、それともこの街の少女は皆、警戒心が強いのであろうか、なかなか私に隙を見せてくれない。仕方ない、こういう時は諦めるというのも肝心なのだ。大多数の犯罪者というものは、一つのことに執着しすぎて失敗してしまうのだ。私はそんなまぬけな奴らとは違う。よし、今日はもう帰ろう。


 その街を出て、数分ほど走った頃であろうか、ふと前を見ると痩せぎすの少女が歩いているではないか。やはり幸運の女神というのはこの私の味方らしい。少女に声をかけるとあっさりと私の自動車に乗り込んできた。ふん、警戒心のないまぬけな少女というのは、どこにでもいるものだ。私は特にこの少女に対して話しかける事もなく、少女のほうも私に対して何を言うでも聞くでもなく、家に帰りつくまでお互い無言で車内を過ごした。

 さて、家の中に入り、こんな愛想のない少女は一刻も早く私のお気に入りの瓶に入れるべきだと考え、さっそく襲いかかった――つもりだったのだが――。何故か私は今、見覚えのある崖から突き落とされようとしている。いったい何故こんなことに? 少女は言った。

「少女の格好をしているっていうだけで、皆、警戒心がなくなるんだからなぁ。まったく世の中おめでたい奴らばかりだぜ」

 その少女、いや少年はいやらしく笑いながら、私を崖から突き落とした。

 徐々に近づいてくる海面を見ながら、私が最後に思ったことは、その時まで少年と一言も言葉を交わしていなかったな、ということだった。車中で一言でも会話していれば……何故ならその少年の声は、とても少女とは思えぬものだったから。まぁ、仕方ないな、諦めが肝心なのだ。私もお喋りに混ぜてもらえるだろうか。

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