三角屋根
加門七海さんの「三角屋根の家」を読んでいて、思いつきました。
私の父は、転勤の多い仕事だった。
その証拠に小学校時代、私は四回の転校を経験している。
最初の小学校の時、学校の前には三角屋根の家が建っていた。。
二度目の転校の時、会社借り上げマンションの向かいには三角屋根の家が建っていた。
三度目の転校の時、社宅の両隣には三角屋根の家があった。
そして、四度目の転校の時、会社借り上げの一軒家は三角屋根の家だった。
四度目の転校が最後となり、以後私達一家はその三角屋根の家で暮らし続けることとなった。
中学時代、高校時代、私は三角屋根の家で暮らした。
大学に上がり、私は寮に入ることとなったが、その寮も火元不明の火災で焼失。
幸いにして外出していた私は、火災に巻き込まれることはなかったが、住むところを失ったことには違いなく途方に暮れることになった。
その私を含めた寮生は、学生課の計らいで他の寮の空き部屋に転居することになったのだが、私が紹介された寮は三角屋根の建物だった。
そして、大学を卒業した私は……。
無事、建築会社に就職し、設計士として注文住宅の設計に携わっているが、私の担当する施主は皆一様に三角屋根の住宅ばかり発注する。