崩壊
誰も人類を滅ぼそうとはしていなかった
政治家
経営者
役人
市民
誰も
「よし、世界を滅ぼそう」
なんて考えてはいなかった
みんな
自分の生活が良ければいいと思っていただけだった
給料を上げたい
税金を払いたくない
責任を取りたくない
損をしたくない
好きなことだけしていたい
楽して生きたい
ただ、それだけ
だから皆
ルールの抜け穴を探した
法律
制度
補助金
契約
見つけるたびに誰もが言った
「違法じゃない」
たしかに、違法ではなかった
気が付けば
正義ではなく
得か損かが基準な世界となった
嘘をつき
責任を押し付け
数字を操作し
人を利用した
やがて、少しずつ
社会から信用が消え始めた
数字を信じない
ニュースを信じない
専門家を信じない
政治を信じない
企業を信じない
他人を信じない
信じられるのは
自分だけ
だが、
社会は信用で動いている
お金
契約
法律
国家
結局は
「相手も守るだろう」
という信用から成り立っている
その前提が崩れた
そして、未来への価値も見なくなった
今、それだけが重要と
結果、
インフラへの投資
教育への投資
研究
子供
全てが減った
結果に時間がかかるからだ
誰も待てなかった
全てが老朽化した
全てが維持できなくなった
それでも人々は言った
「自分さえ困らなければいい」
だが、
誰かが手を抜けば
別の誰かが困る
永遠とその連鎖が起きる
世界は突然終わらない
少しずつ崩壊する
気づけば
もう戻せないところまで…
そして言う
「なぜこうなった」
責任の押し付け合いが始まる
ただ、自分が幸せであればよかった
ただそれだけだった
そして人類は消滅した。




