告白
優真の前で泣いてしまった。以前にも何度か優真に涙を見せた事はあるけれど今回はいつもの涙とは違う。気付かれたかもしれない、自分の秘めた想いを。
隠さなければならないのにもう限界だった。泣いた理由を聞かれたら何て答えればいい?優真の手を振りほどいてしまった申し訳なさにもまた涙が零れそうになる。
好き、好き、大好きだ。
高校卒業まであと約二年。もう伝えてしまってもいいんじゃないか。嫌われてそばにいられなくなったとしても⋯このまま嘘をついて優しい優真を騙す事の方が苦しくて耐えられない。
影は悩んだ末についに優真に告白する覚悟を決めた。教室に戻り、『さっきはごめん。今日一緒に帰れないかな?話したい事がある』とメッセージを送り深呼吸をした。
直ぐに既読がつき、『いいよ、俺も話さなきゃいけない事がある』と返信が来た。
あれだけ隠さなきゃと必死だったのに今はもう前を向いている。泣いてばかりで弱虫のままではいられない、未成年ではあるけれど優真と出逢った当時ほど幼くはない。優真の存在がここまで自分を強くさせてくれた。その感謝の気持ちもちゃんと伝えなくては。
そして放課後、校門で優真が来るのを待っている。緊張はしているけどもう彼に隠し事をしなくてすむんだと思うと前向きになれた。叶う事のない恋。それでも勇気を出して伝えよう。
「お待たせ」
一瞬で俺を虜にする聞き慣れた声。死ぬ時まで聞いていたい大好きな人の声。振り返らなくても優真がすぐそばにいる事が分かってドキドキしている。
「公園⋯行ってもいい?」
「おう」
俺達は幼い頃、よく一緒に遊んだ公園に向かった。その公園では子供が数人遊んでいて、昔の自分と優真を思い出す。保育園を卒園してから小学生になって此処で二人で遊ぶようになったんだよな⋯。
「優真、座ろう」
公園のベンチに座り、肩と肩が触れ合う近い距離にいる。身体を優真の方に向け、彼の目を見つめる。
相変わらずカッコイイ⋯俺の大切な人⋯
「⋯俺、優真が好きなんだ⋯昼の時は友達だからって言ったけど本当は違うんだ⋯恋愛対象としてお前が好き⋯」
一文字一文字、ちゃんと優真へ伝わるように震えながらもはっきりと言葉を紡ぐ。
「俺達男同士だし俺の一方的な想いだって分かってる⋯お前に嫌われるのが怖くてずっと言えなかった⋯騙しててごめん⋯」
ダメだな⋯さっきも泣いたのにまた涙が溢れてくる。全部正直に話した。もう隠し事は何も無い。これからは俺達の関係どうなるんだろう。優真の言葉を聞くのがどうしようもなく怖い。
「⋯最後まで聞いてくれてありがとう。優真には心から感謝してる。今まで本当にありが⋯っ」
感謝を伝えてこの関係に終止符を打とうとしたその時、唇で唇を塞がれた。
俺、キスされてる⋯?何で⋯?
訳も分からないまま、ファーストキスを優真に捧げる事になり彼の唇はまだ俺の口を覆っている。