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意外な来訪者

優真の家族⋯いや、もう自分の家族と呼べる存在となったお父さんとお母さんに見守られながら、影は優真と一緒に自分のアパートへと帰った。


最後に「またいつでも来てね。大歓迎よ」そう言われ、あぁこんな自分にも居場所が出来たんだ…と感慨深くなった。


「優真、ありがと⋯」


部屋に帰って早々に優真に抱きつく。本当はずっと手だけじゃなくて身体ごと彼に引っ付いていたかった。そんな影が可愛くて堪らない優真は額にそっとキスを落とす。


「お礼言うのは俺の方。勇気出してくれてありがとな⋯緊張しただろ?どうしても親には影との関係隠したくなかった」

「ん⋯優真の気持ちは分かってる⋯お父さんとお母さんお前の事大切にしてるんだな⋯優真の気持ちをいつも考えてくれてる⋯」

「これからはお前も家族だから。この先も色んな事あると思うけど一緒に乗り越えよう」

「うん⋯!」


どんな困難も優真と一緒なら乗り越えられる。

辛い事、悲しい事、嬉しい事、楽しい事、全部彼と共有していきたい。


「そうだ影、バイト先見つかりそう」

「えっ、どんな仕事?」

「俺はレストランのウェイターで影は厨房の皿洗い。知り合いの先輩に頼んでみたんだ。俺は接客向いてるし影は裏方の方が落ち着いて仕事出来ると思ったから」

「嬉しい⋯ありがとう。同じレストランって事?」

「そう。近々面接に行く予定だから一緒に行こうな」

「ん⋯働くとか初めてだけどお前が一緒なら頑張れそう」

「俺もだよ。でさ、今日まだ時間あるから何処か行かないか?」

「うん、行きたい。優真となら何処にでも行く」


バイト先が見つかりそうで安堵したところに、何処かへ行こうというまるでデートみたいなお誘いにウキウキしてしまう。何処に行くんだろう?と呑気に思っていた矢先、ピンポーンと静かな部屋でインターホンが鳴った。


「誰だろ⋯まさかまたあの人かな⋯」


“あの人”とは俺を産むだけ産んで捨てたような人の事。また叩かれるんじゃないかと心配した優真が俺より先にドアを開けた。


「え、と⋯?どなたですか?」


そこには俺も優真も知らない華奢な眼鏡をかけた男性が立っていた。その雰囲気から何となく分かる。この人は俺の血縁者だと。そして年齢的にも恐らく俺の⋯⋯




「私は影の父親です。君の後ろにいる子が影ですか」

「⋯影のお父さん、なんですか⋯?」

「ええ、ずっと影を捜していた。まさかこんな所で一人暮らしをしていたとは」


カタカタと身体が震えている。俺にはこの人との記憶が無い。今更父親だと名乗られても不信感と嫌悪感が強くなるだけで。


「君は影の友達ですか?二人だけにしてもらえませんか」

「⋯それは出来ません。突然現れて影を不安にさせるのはやめて下さい」

「ただの友達が何を言って⋯「友達じゃありません」父親だと名乗る男性の言葉を俺が遮った。

「影、ようやく会えたね」

「ここにいる優真と婚約しています。だから友達ではないです」

「⋯⋯は、これは驚いた。あの女は自分の息子をゲイに育てたのか」

「な⋯」

どうして俺の血縁者は皆こんなに無慈悲なんだろう。もう十分苦しんだのにまだ苦しまなきゃいけないのか。

「まあいい。影、私の所に来なさい。その子とは別れなさい。まずはDNA鑑定からだ」

玄関の中に無理矢理押し入ってきたその人は俺の腕を掴もうとしたが、今度は優真が間に入って盾になってくれた。


「男同士の何が問題なんですか。愛し合うのに性別は関係ないでしょう。それにいきなり来てDNA鑑定とか⋯訳が分からない」


本当に俺の実の父親なのか分からないけど、このままだと優真と引き裂かれる⋯咄嗟にそう思った俺は「俺の父親と母親は優真のご両親だけです!!」と叫んでいた──


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