八話 新しい友達
こうして俺達四人は帰路についた。
すると優が俺の肩を掴んで小さな話しかけてきた。
「お前何があったら、水野とそこまで仲良くなるんだ?」
「別に何もしてないぞ」
「無自覚か。最近あったこと教えてくれよ」
最近あったことか⋯
水野に出会ってってのはおかしいか。ちょっと助けてみて、料理の先生してみたり。
「あれはちょっと思い出したくないな」
横で優が?という顔をしたが一旦スルーしよう。
友達になるというお願いを聞いたり。
こう考えるととんだ偽善者だな。
「で、何かあったのかよ」
と催促が来た。
「初めて話した日のことでいいか?」
「そうゆうの待ってたんだよ」
こいつ妙にノリノリだな。
「初めてあった時水野は腕に傷があったんだよ。だから、応急処置してあげた。はい、終わり」
「えっ、もうちょっとあるだろ〜」
といって背中を叩いて来た。
いてぇなこの野郎。
「これ以上ねえよ」
「え〜、ところでなんで水野さん怪我してたんだ?」
そういえば、聞いたことがない。
どうして怪我を負ったんだ?
ふと、水野の方を見た。怪我は治ったみたいだが怪我の話題は本人から一度も聞いたことがない。
(今度聞いてみよう)と思った。
「聞いてる感じ、助けてあげたから恩義を感じているんじゃないか」
「確かにそうかも知れないけど、どうして俺と友達になったのかわ分からん」
「きっと、お前が可哀想になったんじゃないか?」
「うるせぇ」
と今さっきのお返しにすねを蹴ってやった。
しばらくは痛むだろう。
「何すんだよ~」
「いらんこと言うからからだ」
気づいたら女子二人においていかれていた。
俺は優に声をかけて
「走るぞ」と言って走りだした。
「ちょちょ待てよ、足痛いって〜」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
そんな事を話している時女子は
「改めて自己紹介するね。私は広瀬茜、優あの律の隣りにいるのは私の幼馴染の山本優。よろしくね」
「じゃあ私も自己紹介を。私は水野雪音です。よろしくお願いしますね。広瀬さん」
「私のことは茜でいいよ。ねえねえ、水野さん、雪音ちゃんって呼んでもいい?」
「どうぞ。茜さんは学校での広がってる呼び方をしないんですね。」
「私ああゆうの嫌いなんだよね。なんか押しつける感じだから」
「ふふ、うれしいです。茜さんもお友達になってくれませんか?」
「もちろん、任せといて最高の友達になってあげる」
「心強いですね」
「あと、優も友達になってあげてくれない?私と同じタイプで悪いやつではないからさ」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
追いついた頃には二人が仲良くなっていた。
「何があったんだ?」
「女子っていうのは、ハァハァ、男子にはないもんがるんだよ。」
「お前こんなんで疲れるようなやつじゃないだろ」
優がやけに息切れしていた。
「そりゃ、片足がめっちゃ痛いから左足だけで移動してきたんだよ」
「そんな痛いのか、すまん」
「あ、白月さんどこに行っていたのですか」
「いや、ちょっと立ち話をな」
「聞いてください白月さん!私、茜さんと友達になりました」
後ろで茜が手を腰に当ててえっへんという顔をしていた。なぜ、誇らしそうなんだあいつ。
「それはよかったな」
と優が歩きながら言っていた。
「お前足もういいのか」
「ナンノコトカワカラナイナー」
こいつ痛くなかっただろ絶対。
「悪かったって」
「微笑ましいですね」
「でしょー、なんやかんや仲が良いんだよ~」
「あの、山本さん」
「どした?」
「茜さんと話していたのですが、山本さんもお友達なってくれませんか?」
「おういいぜ、よろしくな」
水野は今とても楽しそうだ。俺は架け橋になれたのかもしれないな。
「何してるんですか?行きますよ」
おっと、呼ばれてしまった。
「ああ、今行くよ」