六十五話 今があるってこと
「バレンタインチョコをもらっただけでこんなになるとは⋯」
「なんかすみません」
律は学校で多々色々あり、疲れ果て雪音と帰っていた。
「どうして、あんな目に⋯」
時を遡って今日の昼休み
律は雪音といつものように昼食を食べていた。
「これどんなチョコが入ってるんだ?」
「それは内緒」
とあえて二人の時の口調で話してくる。
「なら、いつ見ていい?」
「なら、今日はお家までついていくのでお家で見てください」
そんな、いつもと内容は違えど他愛ない会話をしているとたくさんの男子(女子も少し混ざっている)が教室に飛び込んできた。
その中から一人大柄な恐らく上級生が出てきた。
「お前、水野さんからチョコをもらったんだってな!」
「そうだが何か問題でもあるのか?」
「問題しかないな!お前が水野さんと話すようになってから独占し続けてるくせに。しかも、チョコまでもらってるだと」
なんだこいつ、要は逆恨みってことか?
「ちょっと何を言ってるかは分からないがお前に指図される筋合いはない」
「なんだとぉー」
と言って殴りかかってきた。
最近よく殴りかかってくるやつが多くて嫌になるな。
どうして、こんなに血の気が多いんだ?
まあ、そんな単調な攻撃を喰らうわけもなくそのまま腕を掴んで投げてやった。
そして、教室に鈍い音が響いた。
「いってぇー」
そこにタイミング悪く、先生が来てしまった時は面倒くさそうになりそうだと思ったのだが雪音のおかげですぐに収まったというわけだ。
ちなみに殴りかかってきた生徒は謹慎処分になった。
「今日大変だったけど、あとはチョコの中身をみるだけだし」
「そこまで楽しむなんですか?」
「ああ、女子からチョコを貰ったのは数年ぶりだから嬉しいな」
律は昔雪音にチョコを貰ったことを思い出して感傷に浸っていた。
「昔私が渡したやつですか?覚えてたんですか?」
「記憶力だけはいいからな」
とちょっとおどけて言ってみたら、ふふっと雪音は笑った。
そのあと、ちょっと小走りで律の前に回り、手を後ろに回して
「やっぱり、律くんといると楽しいです!笑っている時間も増えましたし孤独じゃなくなりました」
「それは素直にうれしいことだ」
律もどうも自分は何もしてないと思っているらしい。
「もう、私は律くんのおかげだと言ってるのに、どうしてそう自分は何もできてないみたいな顔をするの」
「だけど、実際何も⋯」
雪音はため息をついて
「そんなわけないじゃない。律くんがいなかったら今の私はないんだよ!」
珍しく雪音は律にお説教をした。
「ごめん、雪音。配慮ができてなかった。だから、俺がもっと助けてあげたと思えるようにいつでも頼ってくれ」
律はこう宣言して雪音も嬉しそうに頷いた。
二人は今日も一緒に帰っていく。




