六十三話 席替えの偶然
昨日久しぶりに雪音と帰ったあと、律はそのまま、家ではやることもなく時間を潰していた寝た。
後日優が言っていた通りに席替えすることになっていた。
「席替えしますよー」
と先生が言うとあまりリアクションは返ってこなかったが続行された。
ちょっと気まずい空気が流れる中、一人の生徒が質問をした。
「せんせー、どうやって席決めるんですかー」
「よく聞いてくれました。それはくじ引きです!」
この時教室にはこのひとマジかという空気が流れたのも言うまでもないだろう。
「ともかく出席番号十二引きに来てください!」
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こんな偶然が起きていていいのだろうか?
それとも神が俺をおちょくってるのか?
そう、今律の隣に座っているのは雪音だった。
しかも、一番うしろの窓側⋯
(ラブコメかよ!)
と席が決まった時につい心の中でツッコんでしまった。
そして、さっきから横で嬉しそうに鼻歌を歌っている雪音。
「律くんと隣なんてー!」と嬉しそうにしているから止めるつもりはないが、クラスメイト達が茜筆頭にニヤニヤしながらこっちを伺っていることに気がついてほしい。
「なあ、雪音?」
「なんですか〜律くん〜」
といつもより上機嫌な感じで返事が返ってきた。
「えっと、目線が色々とヤバいからそろそろやめようか?」
律はチラリと前の方を見た。
すると、雪音は顔を真っ赤にして
「やってしまいました⋯」と恥ずかしそうにしていた。
この事があったあとからみんな雪音に対しての考え方が変わって気軽に話せるようになったのは嬉しい誤算だった。
律にとっても過去を知ってる人間としても雪音が楽しそうなのは嬉しい。
律は過去を知っている分今がより楽しそうに見えた。
そして、ある日の昼休み
「俺何もできなかったな」
と呟いたら雪音が
「そんなことはないですよ。律くんのおかげでもあることを忘れまでほしいです。あと、あの日はこれから一緒に授業受けられるってわかって浮かれちゃっただけです!」
「そういうことにしておくよ。ところでもう律くんでいいんだな」
「はい、実は周りから見たら私達付き合ってるように見えていたらしいです」
と小声で伝えてきたが
「知ってたぞ。というか今さらか?みんなずっと言ってたぞ」
「へ?」
雪音は本気で気づいていなかったらしく、珍しく腑抜けた顔をしていた。
「そんなことは今いいです!バレンタインのことです!私律くんに渡しますからー!」
「へ?」
律は突然の発言にカウンターを食らった。
「そういうのって、サプライズでは?」
「そうなんですか。失敗しました⋯」
と落ち込んでしまった。
「大丈夫。雪音のおかげで今年は気にすることがなくなった。楽しみにしてるよ」
その日から雪音はすぐ家に帰って準備をし始めた。




