六十話 おみくじ
「せっかくだからおみくじ引いて帰りましょうよ!」
と子供のように律の服の裾を引っ張りながら言ってきた。
「俺も引いて行こうと思ってたからちょうどよかった」
そうして、二人は列に並んだ。
「おみくじは空いてるよな」
「やっぱり、お参りで満足する人も多いからですかね?」
おみくじなんて引くのはいつぶりだろうか?
中学生時代はずっと家に籠もっていたから一度も、行ってないし、たぶん三年ぶり。
「順番回ってきましたよ」
「ん。まとめて払っとくから待っといて」
「え。自分で払いますよ?」
「雪音には返しきれない恩が多すぎるから返せる時に返しておきたいからさ」
雪音のお陰で高校生活が明るくなって楽しく暮らせていけている。
(感謝してもしきれないな⋯)
「少しでも恩を返させてくれないか?」
「じゃあ、ありがたく」
そうして、律は財布を取り出し
「おみくじ二つください」
「はい、二つで六百円です」
と律はぴったり支払うをすまし、雪音のところに向かった。
「えっと、どっちがいい?」
と律はかってきたおみくじを片手に一個ずつ持っていった。
「うーん悩みますね⋯」
「そんなに真剣に悩むことか?」
「今年の運勢が決まるんですよ。やっぱり気になりますよ」
(やっぱり真面目だなぁ)
雪音が頭を抱えて悩んでいると雪音はその空色の瞳でこっちを見つめてきた。
「律くんが選んでくれませんか⋯」
「でも、こういうのって自分で決めるんじゃ」
すると雪音は手を後ろに回して
「律くんに選んでもらったなら凶でも大凶でも受け入れます」
と白い髪を風で揺らしながら言った。
(それはズルいだろぉ)
「ごほん。なら、右でどうかな?」
と右手の持っていたおみくじを渡した。
「いっせーのでで開けよう?」
たまに口調が変わるのはなんなんだ。クソ、可愛いな。
(昔のことをよく思い出すようになったな⋯)
と空をみあげてたそがれていると
雪音が自分のペースで話を進めていく
「いきますよ。いっせーので」
律は慌てておみくじを手に取り、二人は同時におみくじを開いた。
「中吉かぁー。雪音の方は?」
「大吉です。やりました!律くんのおかげです」
とはしゃぎながら言いながらくっついてきた。
「お、おい。人がいるところであんまり⋯」
するとちょうどそこにいま来てほしくないランキング一位のカップルが現れた。
「りっつーと雪音ちゃんいちゃついてんねぇー」
「やっぱり付き合ってるだろ⋯」




