五十二話 無理ダメ絶対
「ふぁーあ」
「あ、雪音おはよう?いや、まだ十時くらいだけど」
と律はキッチンの方からやってきた。
すると雪音はソファーを手でポンポンとして律にこっちにくるように言った。
「どうした?なにかいるかってちょっと雪音さん!?」
「しばらくこうしてたいです」
と雪音は腕に抱きついてきた。
「やっぱり律くんの横は落ち着きます」
「ちょっと寝ぼけてるのか?頼むから起きてくれ」
寝ぼけてるのからなのか雪音はいつもよりふわふわしているように見える。
しかも、油断しているというか隙だらけというかなんというかとても危ないオーラを放っている。
(流石に色々とまずい。俺のためにも雪音のためにも離れなくては)
「ちょっと雪音、腕を離してくれたりしないか?」
「ダメ、ダメだよぉ〜」
いつもと違って口調も変わってきている。
いや、あれが本来の口調なのか?
仕方がない、少し強引にでも離れなくては⋯
と律は雪音の腕を掴んで腕から引き剥がそうとした。
が思ってたより力が強く
(あれ?一応痛くないようにしながらでも全力でやってるんだけどな⋯)
片腕を外せばもう片方の腕を強くされる。
そんなことをしているうちにと雪音は「むぅー」といって力を更に入れた。
律は察してしまった!
(これ無理だわ)
律は諦めて雪音が起きるのを待つことにした。
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「うぅん。はっ、ねてましたか律くんって、え!?」
雪音の横にはもう満身創痍の律が座っていた。
律はかすれた声で
「あぁ、起きたのか。よかった⋯起きたならその腕を離してくれると助かる」
「え?あー!すみません。本当にすみません」
ちなみに今は深夜になりそうなぐらいの時間だ。
そして、律はやっとねれるかもとつぶやいていた。
「あの、大丈夫ですか?」
「まあ、色々あったんだよ⋯」
それはそれは大変だったと
律が言うには
雪音が腕を掴んでるから動けないし、だからといって起こすのもよくなかったから起きるのを待っていたがどんどん倒れ込んでくるものだからある意味一瞬も油断できない状況だった。
「まあ、今週色々あったしな。疲れるのは分かる。あと、明日土曜日でよかった」
と安心させるために言ってみたがすでに限界だった。
「すまん、俺もう無理」
と律はそのままソファーでねてしまった。
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「ん。俺確か昨日ソファーで寝落ちしたはずだよな」
なぜか俺はベットの上で寝ていた。
どうして移動しているのだろう
と思いつつ俺はいつものようにリビングに出ると
「あ!おはようございます!律くん」
「なんでいるんだ」
リビングには雪音がいた。
「それは、ほら防犯のこともあるじゃないですか?」
と明らかに今思いついたであろう理由を口で述べた。
「ほんとは?」
「迷惑かけたのでちょっと役に立ちたくて残りました」
「やっぱり運んでくれたのは雪音ってことか。重くなかったか?」
「いえ、どちらかといえば軽かったですね」
まあ、聞かなくても律はわかっていた。
なぜなら、律は痩せ体質というやつだと思っている。
どんなに頑張っても太ることができないと律はずっと悩んでいたが、それはそうである、律は毎日なにか運動をしてたり健康に良いように栄養バランスにも気を使っている。
そう、太れるわけはないのである。
「まあ、俺も迷惑をかけたということだな」
「これに関してはお互い様ですからね⋯」
と疲れ気味に言ったのを律は見逃さなかった。
「疲れてるみたいだし着替えて外まで送るよ。流石に帰りたいだろ?」
「そうかもしれませんね。でも、楽しかったですよ。一生の思い出です」
と笑いながら言った。
「それは嬉しいことだ。クリスマスも期待しておいてくれ」
と着替え終わって部屋からでてきた律が言った。
そして、俺は雪音を公園の前まで送り
「じゃあ、今日はさよならだな」
「はい、また、月曜日に」
そうして、お互いに日常に戻っていった。
次はクリスマスだ〜




