五十一話 律からの贈り物
(これ喜んでくれるといいんだが)
律は自分のプレゼントを最初は普通に一緒に渡すつもりでいた。
それを優達に言ったら『はぁ?なんでだよ、そういうのは二人っきりだろうが』と言われ、しなかったら、律の教室での寝顔写真を雪音に送ると言われたので断ることができなかった。
でも、少しは彼奴等に感謝しよう。
元々いつものお礼がしたくて律はこの誕生日会を企画していた。
だから、二人っきりの時に渡したかったのも事実だ
「雪音、これ俺からのプレゼント」
「中身見ていいですか?」
と律は聞かれたので首を縦に振った。
「ヘッドホンじゃないですか!」
「音楽が好きってことは聞くのも好きかと思って。もう、持ってて邪魔になっちまうかもしれないけど」
「うれしいです。ちょうど欲しかったんですよ!でも、高かったんじゃ⋯」
と雪音が少し不安そうに言うので律は
「今までもらったもののお返しだ。値段に関しては、まあ結構したが俺はそんなに趣味にはお金は使わないし、結構貯まってたからいい使いどきだったな」
律は雪音が気にしてしまうんじゃないかと心配していたが
「なら、ありがたくいただきます」
「もらえるもんはもらっとけ。あ!お返しはいらないからな」
すると雪音は図星だったのかビクッと体を震わせた。
「バレちゃいましたか」
「まあ、仲良くしてれば分かるようになった」
「でも、せめて何か返したいんですよね⋯」
と雪音は悩んでいるジェスチャーをしてみせた。
「なら、これからも仲良くしてくれるだけでいい」
「それじゃ何も変わらないんじゃ」
「俺にとっては大事なことなの」
と律はこれの案を押し切った。
「じゃあせめて、料理の成果を見せさせてください」
そういえば、雪音はあの日から今まで努力を積み重ねてきていた。
「おぉ、その言葉が聞けるなんて。なら、今度お願いしようかな?」
「いえ、今します」
「でも、今材料がそこまでないんだが」
そう律が言うと雪音は腕を前で組んで今にもえっへんと言いそな顔ぶりで
「それでも大丈夫です。私を甘く見ないで頂きたいです」
「ナイフで皮むきがろくにできなくて危なっかしいかったやつがか?」
「それノーカンです。ノーカン〜」
と慌てて腕を振っていた。ちょっと可愛い
おっと雑念が混ざったな。事実だから仕方がないがな。
「まあ、見ててください」
と雪音はキッチンの方に消えていった。
(絶対危ないことしてそうだな)
と思いながら律は雪音を見送った。
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しばらくすると雪音がカレーライスを運んで来た。
そして、俺の横に座ってニコニコしていた。
「ま、まともな料理だ」
と律が驚いていると
「失礼ですね。基本的なことは元からできていましたし努力した分うまくなっただけです。」
「そして、ちゃんとおいしい」
「リベンジ達成です」
と雪音がやったと後ろの方で喜んでいた。
「十分なお返しだわ」
今度もうちょっと料理を教えてあげようと律が雪音の方を見たら
すーうすーうと音を立てて雪音が律の肩にもたれかかってねていた。
「今週は色々あったからな⋯」
と律は今週起きた出来事を思い返した。
ストーカーを撃退して、過去の話を聞いて、誕生日会をして、とても濃い一週間だったと思う。
俺は雪音をゆっくりソファーに下ろして毛布をかけておいた。
そして、一言
「おやすみ雪音。良い夢を」




