五話 白月先生の料理教室
とりあえず俺の部屋の前まで着いた。
女子を家に入れるなんて初めてである。
なので、どうすればいいかわからない。
「えっと、いらっしゃませ?」
すると水野がクスッと笑って。「何ですかそれ。」
といってきたので恥ずかしかった。
そんなことを思いながらキッチンに向かった。
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「ところで水野何が作りたいとかあるか?」
「特にはないです。」
なら最初はやっぱりあれかな。
「カレーはどうだ?」
「ザ初心者という扱いをされてちょっといやですがそれでいいでしょうね。」
そうして、俺たちの料理教室が始まった。
「水野まず野菜の皮を剥いてくれ。」
「わかりました。」
と手を包丁に伸ばした。
(包丁で皮が剥けるのか。)
と感心していたがそんなことはなかった。
というか甘かった。
水野は皮をむこうとするたび力を入れすぎてはまな板に包丁を叩きつけ、ゴンという音が定期的に聞こえてくる。
その結果がこれだ。
「なぜ、俺がやってるんだ。」
危なっかしくてほっとけなかった。
とゆうかピーラーどこいった。
そういえばこの前俺が壊したんだった。
これは俺のせいだな。
責任を取ってすべて自分で作ることにした。
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できたのでカレーを持っていくと、水野の周りが明らかにどんよりとしていた。
「無能ですみません。結局作ってもらって。」
「最初はそんなもんだ。一応料理を作る過程で手伝っているから作ったとも言える。まあ、とりあえず食べろ。」
そして食べることにしたのかスプーンに手を伸ばした。
「いただきます。」
やっぱ礼儀がいいな。
俺はここ一年やった記憶がない。
すると
「おいしい。」
と聞こえてきた。
「それはどうもありがとう。」
「お前あとこれ。」
「なんですかこれ?」
「カレーの作り方を書いてある。あと料理の基礎についても。」
「忙しいのにありがとうございます。」
「あーこれはあれだ。今日は暇じゃなくなったお礼だから気にすんな。」
すると水野が訪ねてきた
「なんで、こんなに優しいのに学校では一人なのですか?」
「すみません、いやなことでしたか?」
「どうしてだ。」
「顔が少し怖かったので。」
無意識に顔を引きつらせていたらしい。
「まあ、中学校時代少しいろいろあっただけだ。」
「そうですか。」
すると水野が何か思いついたような顔をした。
「じゃあ私は帰りますね。今日はありがとうございました。」
すると水野は笑顔で
「白月さん、明日楽しみにしといてください。」
といった。