四十一話 恋愛相談と雪音の欲しいもの
文化祭も無事終わり気がつくと十月になっていた。
十月初旬のとある日の放課後雪音が遊びに来た。
「最近忙しくてなかなか来れなかったので来てみました」
「ん。勝手に上がって待っておいてくれ」
と雪音をリビングに上げた。
「何か飲み物はいるか?言っとくけど遠慮は要らないぞ」
「なら、お茶でもいたただきます」
「了解した」
と律は冷蔵庫を開けてお茶の入ったボトルを出した。
それをコップに注ぎそれを渡した。
「ありがとうございます」
「これぐらいいいって」
その時ふと、つけっぱなしにしていたテレビからこんな話が聞こえてきた。
『お友達や家族、恋人の誕生日には⋯』
(そういえば、雪音の誕生日って確か十月だったよな)
「なあ、なんか欲しいものとか何かないのか?」
「欲しいものですか?そうですね⋯音楽を聴くのが好きなのでその関係の物ですかね」
新しい発見だった。
「ありがとう」
「別にこれくらいは。どうしてこんなこと聞くんですか」
「あー、それは⋯」
ピーンポーン
こんな時に誰だろうか。
「よぉー律。いま暇か?」
「それは来てから言うことじゃないだろ」
「いや、ちょっと近くを通ったからな。寄っていこうと思って」
「で、本当の理由は?」
「ちょっと相談にのってほしくてな」
「それは直接じゃないとだめなやつか?」
「ダメなヤツだ」
こいつにそこまで深刻な問題があるとは思えないのだが
「いま雪音がいるんだけど大丈夫か?」
「そうか、邪魔したら悪いから帰ったほうがいいか?」
誤解解くの忘れてたー!
「ちょっと待ってろ」
念入りに絶対と付け加えて一度リビングに戻った。
「優が来てるんだけど連れてきていいか?」
「なぜ、私に聞くんですか?ここ律さんの家ですよ」
「念の為ってやつだ」
と言って俺は玄関に戻った。
「いいから一回上がれ」
「じゃあ、邪魔するぜ」
と優を家に上げた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「で、相談ってなんだよ」
「それはな⋯」
優によると文化祭で茜と付き合ってから最初はいつも通り過ごしていたが付き合う前と特に変わった点もなくこれでいいのかわからず、相談する相手もおらず途方にくれて歩いていたら気づいたらここにいたらしい。
「俺の直感が律に聞けって言ってるんだ」
「はぁ?なんで俺なんだよ。普通にお前もっと友達いるだろ」
「茶化さず聞いてくれそうな奴がお前しかいない」
「それなら、私も手伝いますよ?」
「おぉ、水野さんありがたすぎる」
と何かいつもと違う優の相談に乗ることにした。
「お前はどうしたいんだよ」
「俺はもっと彼氏らしくしたい」
あのーと雪音が手を挙げた。
「なら、もう大丈夫だと思いますよ」
「え?」
「周りから見た二人は元から付き合ってるように見えていましたし、告白されても断っていました。だから、ずっと二人は付き合ってると思っていましたよ」
「確かにな。付き合ってると最初は思ってたわ」
「だから、いつも通りで大丈夫だと思います」
要は優はいつも通りすぎてそれがカップルのやることだとわかっていなかったということだった。
「ほんとか?」
「そうだな。相談するまでもない」
「そっかそうだよな。いつも通りでいいよな!」
と優の顔が急に明るくなった気がした。
「二人ともありがとな。じゃあ、いつかお礼するぜ」
と優は帰っていった。
「なんだったんだ⋯」
「少し賑やかでよかったんじゃないですか」
俺はちらっと雪音の方を見た。
(いつか俺も⋯いや、自惚れるな白月律。誕生日のことだってただのお返しに過ぎないはずだ⋯)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
俺は雪音が帰ったあとも一人悩み続けた。
この気持ちはなんなのか分かってはいた。
あの時小学生の時と同じ物だと言うことは分かっている。
でも、俺と雪音はあくまでも友達だってことは分かっている。
誕生日だっていつももらいっぱなしだから返そうと思って⋯
でも、伝えるとしてもまだ早い。
まだ、もう少し経ってから。
俺が勇気を決めれるまで⋯




