二十九話 勇気の一歩
頑張れ律勇気の一歩へ
俺は始業式当日雪音と一緒に登校していた。
これは俺からの頼みだったから了承がもらえるかわからなかったけど雪音は快くオッケーしてくれた。
学校に入るとそれなりに視線が集まってきた。
聞こえてくるのは色々だ。
きっと、雪音のことを言っているんだろうと思っていたが俺の話題も出ている。
例えば、
「水野さんの隣の人誰だろ」
「ずるい。ずるすぎる」
などが男子の方から聞こえてくるもの。
女子の方からはまさかの
「あの人かっこいい」
とか言われていた。
「そんなことないと思うんだけど」
「いえ、私から見ても律さんはかっこいいですよ」
「はずいな」
「仕返しです」
と雪音は小悪魔的な笑みを見せた。
そして、俺は教室の前までたどり着いた。
「不安だ」
「大丈夫ですよ。私がついてますから」
「そうだな」
と俺は教室にドアを開けた。
それはよくも悪くも視線を集めた。
皆俺が誰か分かってない様子だった。
ただ一部を除いて。
「おー、律おひさ。なんだ、イメチェンか?かっこよくなっちまって」
「りっつー何があったの。でも確かにかっこいいですなー」
すると数秒後
「「「「「「「「えーーーーーーー!」」」」」」」」
とクラスメイトたちが寄ってきた。
「お前あの白月なのか?」
「そうだ」
「嘘かっこいいだけど」
と一人の女子生徒がつぶやいた。
それは男子からも
「お前、前にテスト二位だったもんな。実はすごいやつだったなんだな」
「前は話しかけづらかった感じだけど今は話しやすそうだわ。改めてこれからよろしくな白月」
「あぁ、よろしく」
俺の気持ちでこんなに変わるものなんだな。
「よかったですね、白月さん」
「ありがとう。ところで呼び方戻ってないか?」
「学校で悪目立ちしないようにするためです」
「これからって時に嫉妬されるのはいやでしょう?」
「ありがとな」
「あ、でも、また一緒にお昼食べましょうね」
「ああ、もちろんだ。いつでも歓迎するよ」
ふと俺は笑顔がこぼれた。
「ほんとによかったです」
と雪音は独り言をつぶやいた。
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それからの学校生活は一転した。
クラスメイトの男子たちが話しかけてくれるようになったり、俺の女子人気が少し上がったみたいだ。
ある日の昼食俺は雪音と昼食を食べていた。
「ゆ⋯水野、ほんとにありがとう」
「私がしたくてやったことですから。でも、女子にチヤホヤされてるのは少し妬いちゃいます」
「どうしてだよ。俺にとって水野が一番信頼するに値する人物なんだけど」
「そ、それはうれしいですけど、私だけが知っていたいいところが露見するのは何か寂しいものがあります」
「まあ、俺も水野のいいところを皆に知ってほしいと思うけど」
「えっ?どうしてですか?」
「だって水野いつも無理してるだろ。見てると分かるんだよ。学校といつもとの違いが」
「そうですね。出せればいいのですが」
と少し悲しそうに言った。
水野だってできるならしたいんだろう。
でも、もうイメージが定着してしまった。
何でもできて優しいヒロインちゃんとして。
そして、俺はふとこんな事を言っていた。
「今度はオレが支えてやる。だから、無理すんな」
すると水野は目が潤んで
「やっぱり、少しずるいです」
と目から涙がこぼれた。
でもと
「お願いしますね」
「なんでもするから気軽に言ってくれ」
と俺達は新たな一歩を進み始めた。
律のクラスの立場も変わってきて二人の関係にも変化が⋯
これからをこうご期待。




