二十二話 策士 水野
一学期最終日の帰宅中俺はあることを水野に頼んだんだ。
「連絡先、教えてくれないか」
自然に聞けていただろうか?
もし、よくない誤解を招いてしまったら。
「いいですよ。不便ですもんね」
ふぅ、よかった大丈夫だったか。
「ところで白月さん行きたいところとかありますか?」
「うーん、特にないかな。」
「なら、映画なんてどうですか。あと、ちょっと買い物を一緒に行きましょう。少し相談に乗ってほしいんです」
相談とはなんだろうか?
まあ、明日わかることか。
「分かった。ならいつも通り公園に。土曜日の一時でいいか?」
「じゃあそれで。明日、楽しみにしていてくださいね」
とふふっと水野は笑った
ほんとにこの子すごいな。
対応に慣れているというかなんというか。
「まあ、楽しみしてるよ」
「ツンデレですか。可愛いですね」
「ちょっとそれやめてくれ。恥ずかしい」
「ダメです」
「ならどうしたらいいんだ」
「なら、明日全力で楽しむって約束してください」
「はい、わかりました」
策士だな。
「では、明日お願いしますね。また明日」
「あぁ、また明日」
気づいたらもう家の前だった。
えっ、気づかなかったんだけど。
とりあえず、家で考えよう。
うん、そうだな。
俺はもう現実逃避するしかなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「はあ、どうしよう」
服なんて持ってないしな〜
水野は服結構気を使っているみたいだし俺が台無しにするのはな〜
「そういえば、優達に無理やり買わされた服があったよな。どこだっけ」
と自分のクローゼットを探した。
「あった」
と見つけたのは黒色の上下と空色の上着だった。
「この時期に上着はちょっとな」
一応薄い生地の夏用みたいだが。
「着る服ないし仕方ない」
「こんなことであいつらに助けられることになるとは思っても見なかったな」
服をクローゼットに戻しその後、俺は夏休みの宿題をやって時間を潰していた。
すると優から電話がかかってきた。
「どうした?なんか用事か?」
「別に大したことじゃないんだけどさ、聞きたいことがあって」
「なんだ」
「いや~、夏休みの宿題の説明聞いてなくってさ。よく分からない白紙の紙があるんだけど」
「それはレポート用紙だ。配布されたプリントに書いてあったと思うが」
「あー、これのことか。さんきゅうな律」
「ん、なら切るぞ」
「あー、ちょっと待ってくれ。まだある」
「なんだ今度は提出物の範囲が分からないか?」
「違う違う。月曜のことだよ。朝から行くって言ってただろ?」
「釘刺しに来たのか?」
「昼ごはんどうするか聞こうと思ってさ」
「遠回しに作って欲しいってことか。はいはいわかったよ」
「話が早くて助かる」
「でも、代金は払えよ」
「そういうところしっかりしてんな。了解。じゃな」
「じゃあな」
と電話を切った。
今年の夏休みは忙しくなりそうだな。




