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陰キャくんとヒロインちゃん  作者: みぞれ
一年 出会い編
19/70

十九話 テスト前日

今日は長めです。

今日も今日とで彼女は家にやってきた。

しかも朝だ。

「今日は日曜日なんだが」

「約束ですから」

そうだった、約束を結ばされたのが前の火曜日でテストの六日前だったはずだ。

で今日が一回目の日曜ってわけか。

まあ、最初で最後の日曜ってやつか。

「着替えるから」

と言って玄関の前で待ってもらうことにした。

着替え終わった俺は玄関のドアを開けた。

「はい、どうぞ」

「お邪魔します」

なあと俺は声をかけた。

「やることもうなくないか?」

「やり切らないと不安なので。白月さんがですけど」

「そこまで信用されてないと悲しくなってくるな」

というか普通に辛い。

女子にまで心配されているなんて。

「何か変なこと考えてます?」

「どうやったらここから逃げられるか考えてる」

すると水野は腕をクロスして

「ダメ、絶対ダメです」

なんか妹みたいだな。

いや、一応妹はいるがちょっと問題があるんだよな〜。

「極度のブラコンなんだよな〜」

「どうかしましたか?」

「いや、水野が妹に一瞬重なって見えたから」

「えっ、妹さんいるんですか?」

「ああいるぞ、一個下の妹が」

「な、名前は」

「白月このはだ」

「あまり似ていませんね。まさか、実は血がつながってないとかは⋯」

「いや正真正銘の妹だ」

「俺が父親似であいつが母親似なだけだ」

水野は相当驚いていた。あまりイメージと合わなかったのだろう。

「だから、私に包帯を巻くことができたのですか?」

「まあ、そういうことだ」

「少しびっくりしましたが勉強始めましょうか」

「わかった」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



それから俺達はテスト前日ということでお互いに集中して勉強してきた。

時々、水野が妹のことを聞いてくるが。

気づくと正午になっていた。

「なあ、ご飯はどうするんだ」

「それなら大丈夫です。私は一回家に帰ります」

「なら、俺今から昼ごはん作るんだが食べていくか?」

「えっ、いいんですか」

「別にいいぞ。作る量が増えるだけだからな」

「白月さんのごはん興味あったんですよ」

最後に誰かにご飯を作ったのは優たちが来た時か。

そういえばあいつら最近すぐ帰っていくから、話す暇ないんだよな。

あっちもあっちで勉強会でもしているのだろう。

「ところで、アレルギーはあるか?」

「特にないですよ」

「なら、冷麺でも食べるか?」

「そうですね。外は暑いですし」

「なら決まりだ」

というわけで俺は冷麺を作った。

トッピングは錦糸玉子ときゅうりとトマトだ。

あったものを適当によそっただけだがな。

「わぁ、おいしそうです」

「そりゃ嬉しいこった」

しばらく食べていると、水野が聞いてきた。

「どうやったらこんなにうまくこれが作れるんですか?」

と指したのは錦糸玉子だった。

「あー、それか。端っこがやけてきたらひっくり返すといい」

「なるほどなるほど」

とメモを取っていた。

正直本人の料理スキルを疑ったが、弁当を作ってきているから大丈夫だろう。

きっと大丈夫だよな?

そんな事を話しながら俺達は冷麺を食べ終えた。

「ふぅ、うまかった」

「はい!おいしかったです」

「別に催促じゃないぞ」

「ほんとにおいしかったから言ったんです」

「そっか。じゃあ片付けて続きやるか。やっとくから、座って待っといて」

「いえ、手伝います」

「いいって。少ないし」

「ダメです。私が私を許しません」

そこまで言われると断れないな。

「わかった、皿を並べといてくれるか」

「わかりました」



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



その後俺達は勉強を再開した。

「頑張って一緒にテスト上位取りましょう」

「思ったんだが、俺の何のメリットがある」

「それは皆が白月さんのことを見直す⋯」

俺はそれを遮って

「それはお前の願いだと思うんだが」

「うーん、なら、今度一緒にデートしてあげます」

「ん?デートって。は?え?大丈夫なのか」

「大丈夫って何がですか」

「お前の学校での立ち位置とか考えたらさ」

「私が決めたことに他人に口出しされる筋合いはありません。それとも、私とのデートは嫌ですか?」

「いやじゃないけど。いいのか?」

「別に構いませんよ。精々一緒に遊ぶくらいですし」

「お前がいいなら構わないが」

「なら、頑張ってくださいね」

と言って水野は帰っていった。

俺だって水野のことが気にならないわけではない。

前ならそこまで興味はなかっただろうが、今は仲良くしている一人の女の子だからな。

しかも、かわいい私服姿なんて見てたらちょっとぐらいは俺でも揺らぐ。

まあ、けしてやましい気持ちはない。

これはただの遊びの誘いということにしておこう。

「はぁ、どうしようかな」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


一方その頃水野は

「なんて大胆な誘い方をしてしまったのでしょうか。どうしましょう」

と焦っていた。

それぞれ同じ事を考えている二人だった。


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