積極財政やMMTを何となく胡散臭いと考えている人に伝えたいことがあります。
最初に勘違いしてほしくないのですが、積極財政とはあくまでも国は財源に頭を悩ませる必要とはないという話であって、見境なく通貨を発行すればよいという話ではないのです。積極財政を批判する人は判で押したように「無限に発行できるという危険な考え」と言います。どう考えても無駄であるものや、明らかに非効率なものは是正していかなくてはなりませんが、それは財政とは全く別の話です。
あ、ザイム真理教を心から信じているカルトの方はご遠慮願います。何をどう説明しても絶対に転向してくれることはないと思いますので、天動説や地球平面説を信じる人と同じようにそのままでいてください。大陸移動説を否定した人たちと同じ末路になると思いますので。
まずですね、積極財政はそんなに難しい話じゃないんです。私たちが日々使い、どうにかして増やしたい、増えてほしいと思っているお金とは国が作っているものだって事だけなんです。
国が作っていないならどこで作っているというのでしょう?
今回、お札の肖像画が変更されましたよね? 1万円札は渋沢栄一、5千円札は津田梅子、千円札は北里柴三郎。
皆さん、このお札を使って納税した記憶ありますか? 税金で国が運営され、そこから支出されるなら皆さんがこのお札を国に納めないと存在しないことになるはずです。でも、皆さんお札作った覚えないですよね? そんな事したら捕まるのわかってますよね。
そもそも、お札のデザインを変更してくれなんて頼んだ記憶ありますか? ないですよね。政府が今度のお札のデザインはこうしますって決めて印刷したんです。これだけでも、少なくともお札は国が作っているとわかりませんか? 知らない人もいると思いますので付け加えると、お札は独立行政法人国立印刷局で作られています。国立ですよ、国立印刷局。独立行政法人なので、厳密には国の機関ではないけれども、民間の機関でもありません。当たり前です。古今東西、お金の鋳造を民間任せにした国は存在しません。民間企業が勝手にお金作れたら無敵です。大変なことになります。
あなたがとある民間企業の社長だと仮定してください。人を雇って何か事業を展開したい、そんな時お金を自分で発行出来たとしたら? 銀行にも他人にも借金する必要はありません。必要な分のお金を発行すれば済む話です。仮に銀行から借金をしていたとしましょう。催促されたらその分のお金を新規発行して払えば済む話です。
これが全ての企業に当てはまったらどうなると思いますか? 世の中無茶苦茶になります。事業主は借金に頭を抱える必要はなくなりますが、世の中のお金の総量が激増して急激なインフレ間違いなしです。でもこんなことは起きえません。なぜなら、お金の鋳造は国の専売特許だからです。
何が言いたいかと言いますと、国が何かをしたい時に財源の話をすること自体が無駄で無意味だということです。必要な分のお金を発行すればいいんですから。
なら税金なんていらないじゃないか! そういう人もいると思います。私の両親もそうです。でもね、税金には別の役割があるんです。
それは格差の是正と行動の冗長と抑制、そしてインフレデフレの管理調整です。
一つずつ見ていきましょう。今アメリカでは格差の拡大が問題になっています。皆さんもイーロン・マスク氏が8兆円の巨額な報酬が承認されたという記事を見ませんでしたか? かたや無料の食料配布に並ぶ人が増え続けている状況でです。格差はなさ過ぎたら悪平等な世になってしまいますが、あまりにもありすぎても低所得者の不満が溜まることになります。こうした事態を少しでも是正するためにきちんと累進課税制度を定めて運用する事が重要です。
2つ目の行動の冗長と抑制は想像がつきやすいと思います。消費税や関税です。関税は税金を取るためのものではなく、外国から安い商品が国内に入ってこないようにするためのものです。本当に税金を取るつもりなら、外国産のお米に280%とか、こんにゃくに1706%なんて税率かけませんよ。もっと現実的な数字にするはずです。
消費税は消費に対する税金です。これももちろん、大きいです。なにせ、消費したら必ず取られるのですから、消費意欲減衰に一役買っています。消費税は大きくない! そう主張される方もいますが、私たちは僅かな出費であっても大きく反応し、社会が変わる事例を経験しています。レジ袋の有料化です。毎回の僅か数円の出費を嫌がって、エコバッグが急速に普及しましたよね。あれこそ典型的な行動の抑制と助長です。
最後のインフレとデフレの管理調整ですが、こちらも難しい話ではありません。景気が悪くてデフレの時は税率を下げて購買力と購買意欲を回復させる。あまりにも景気の過熱によるインフレが起きている場合は税率を上げてそれ冷ます。それだけです。
なら、過去の戦前ドイツやジンバブエのハイパーインフレはどうなるんだ! という方もいるでしょう。
まず戦前ドイツの場合は、第一次世界大戦で敗れて巨額の賠償金を抱えていました。それの支払いのために当時使われていたマルク通貨を大量発行せざるを得ない状況でした。しかも、当時のドイツが生産する石炭の73%、鉄鋼の83%を産出する経済の心臓部であったルール地方を賠償金の遅延を理由にフランスとベルギーに抑えられてしまいます。その結果、生産力と経済力が無い状態での通貨発行が致命的となり、ハイパーインフレーションに陥ったのです。
もしも、賠償金が1320億マルクという当時のドイツの数十年分の国家予算にもなる巨額なものでなかったり、生産力のあるルール地方のフランスとベルギーによる占領等がなかった場合は、あれほどのインフレにはならなかったでしょう。さらに言えば、ヒトラー率いるナチスの台頭すら、もしかしたらなかったかもしれません。
ジンバブエのハイパーインフレーションは政策の失敗に原因があります。当時のジンバブエの大統領であるムガベが白人が所有する土地を強制収用する法律を制定した結果、農業の崩壊を招いてしまいます。白人支配を終わらせて自分たちに土地を取り戻すという大義名分があったのでしょうが、農業のノウハウがないため生産性は大きく減ってしまい、食料が不足します。不足したら当然値段は上がります。
さらに、2007年に「外資系企業の株式強制譲渡法案」が施行され、経済の混乱・インフレの進行に拍車をかけました。これは、ジンバブエに進出している外国企業の株式のうち、過半数をジンバブエの黒人に強制的に譲渡しなくてはならないという内容の法案でした。そんなことをされてはまともなビジネスができないので外資系企業は一斉にジンバブエから撤退しました。これで外国企業の存在がなくなり、ジンバブエの物資不足はさらに深刻化してしまいます。
物資の不足、そしてインフレの進行を決定的にしたのが、価格統制令でした。これは、インフレ対策として、政府が「ほぼ全ての製品・サービスの価格を強制的に半額にする」というものでした。当然、これは経済の基本を完全に無視しています。無理に半額で売らせたら利益なんて出るわけがありません。利益にならなかったら赤字になり、そのまま倒産してしまいます。企業は物を売らずに倉庫に保管するようになってしまいました。さらに、そのような商品の保管も違法とした結果、企業は製品を製造したり仕入れることもできなくなりました。結局、倒産企業が続発しジンバブエの経済は混乱とインフレに歯止めが効かなくなりました。
2つの代表的なハイパーインフレーションをご紹介しましたが、共通しているのは供給力の崩壊です。ドイツの場合は賠償金とルール地方の占領による生産力の喪失。ジンバブエは政策のミスから来る生産力と供給力の崩壊。
逆に言えば、生産力と供給力が無事であったならば、ハイパーインフレは起こらないという事になります。
日本の場合もそうです。戦後の物不足の時はインフレも激しかったと思いますが、それは戦争で空襲を受けたことによって生産力と供給力にダメージを受けたことが大きいのです。仮に空襲がなかったか、日本軍がB29を迎撃出来て空襲させなかった場合、戦後の物不足は起きていなかったか、遥かに少ないものになっていたでしょう。
これでも何だか、よくわかならいという方に身近な例があります。東日本大震災の時、都市部のスーパーやコンビニが空になったことを覚えているでしょうか?
あなたが仮に1億、もしくは10億円持っていたとしても、お店があの状態では何の意味もありません。お金はあっても買えるものがないのですから。その時、10億円は本当に10億円の価値があるでしょうか?
本当に重要なのはお金ではなく、物やサービスを生み出し提供する生産力と供給力だと私は考えます。そしてその生産力と供給力を損壊させるのが緊縮財政なのです。
緊縮財政ではまずお金が来ます。全ての事柄において財源の話から始まります。ですが、上記で説明したように国がお金を作っているのに財源の話をするなどナンセンスです。日本は国債を発行しています。国債は借金だから返済は税金で払わなければならないと財務省は説明します。では諸外国では国債をどう返済しているのでしょうか?
結論から言いますと、返済していません。なぜならする必要がないからです。それは財務省自身が作成した資料からも見て取れます。
諸外国の債務管理政策等について 平成27年4月17日
2P目の諸外国の債務管理(公債制度編)国債の償還より
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/gov_debt_management/proceedings/material/d20150417-4-2.pdf.pdf
この資料の2P目の「国債の償還」に注目してください。ルールのところに諸外国は日本と違い、明示されたルールがありません。黒字になったら償還としか書かれていません。
さらに、借換財源のところでは何と書いてあるか、「国債発行により調達」と書かれています。つまり、諸外国は日本と違って国債の返還を新規国債を発行して返済しているのです。ゆえに、国債の発行残高が増えていくのは当然の事なのです。なぜならばそれは、我々が教えられているような借金が膨れ上がっているという事ではなく、たんなる通貨の発行履歴にすぎないからです。
償還ルールに関してもそうですが、グローバルスタンダードが大好きな日本の政治家や官僚がここだけガラパゴスなのはなぜなんでしょうね?
今、日本はものすごい勢いで貧乏になっています。歴史的円安により、かつては日本人が安いと言いながら買い物をしていた東南アジアの人たちが今は日本は安いと言いながら物を買いあさっています。少子化は止まるどころか加速し、日経平均株価は30年近く足踏み。最近4万円を超えたことがニュースになっていますが、アメリカのダウ平均株価は30年で12倍になっています。
米国株式投資の魅力 SBI証券
https://s.sbisec.co.jp/smweb/pr/gaccnt.do?page=foreign_guide_02
最近では小学校のプールの廃止も相次いでいます。先生の負担や老朽化で更新の費用が捻出できないという事からです。学校のプールは60年ほど前、悲惨な水難事故が相次いだことから全国で整備が進みました。30歳以上ならば、必ず夏は水泳の授業があったはずですし、夏休み中のプール授業も受けたことがある人も多いはずです。
学校のプールが廃止に?老朽化や費用問題などで変わる水泳授業 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220729/k10013728981000.html
不思議に思いませんか?
教員の負担軽減や、猛暑や雷雨の影響で屋外プールでの授業を実施できない日が増えていることはさておき、60年前の日本は今よりも貧しかったはずです。
財務省 財務総合政策研究所
https://www.mof.go.jp/pri/publication/policy_history/series/27-48.htm
1960年の国家予算は幾らか知っていますか? 1兆5696億7900万円ですよ。あえて言いましょう。たった1兆5696億円だったんです。
ちなみに2024年度の国家予算は112兆717億円です。100倍に予算が膨れ上がっているにも関わらず、お金が無くて小学校のプールすら更新できない? おかしいでしょ。
もちろん、物価が違うというのはあります。総務省が作成してくれたこの図はとてもわかりやすいです。
総務省
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.soumu.go.jp/main_content/000294409.pdf
どうですか。GDPは106.8兆円。世帯収入は月額58,217円。中華そばは59,4円で食べれて映画は221円で見られるなんて今ありえませんよね。
今よりも遥かにGDPも少なく、国家予算も無く、貧しかったはずの当時の日本が、悲惨な子供の水難事故(泳げない子供を減らす)を防ごうと必死に日本中の学校にプールを設置したんです。これが子供たちへの、未来への投資でなくて何だというのでしょう。
ザイム真理教による緊縮財政ではこうした考えは出てきません。
お金がないから削減。儲かってないから廃止。これだけです。
選択と集中? 一見もっともな事を言っていますが、将来役に立つものがどうして今の私たちにわかるというのでしょう?
サラリーマンノーベル賞として有名になった田中耕一さんがノーベル賞をとるきっかけとなったのは「間違えて」グリセロールとコバルトを混ぜてしまい、「どうせ捨てるのも何だし」と実験したところ成功したというものでした。
何が上手くいくかなんて誰にもわからないのです。だから基礎研究は儲からなくて当たり前なんです。
有名なiPS細胞の山中伸弥教授だって、不器用だったために整形外科医を諦めて研究者の道に進みました。もしも山中教授がもう少し器用であったならばiPS細胞が日本から生まれることはなかったでしょう。
世の中は何が起こるかわかりません。例えとして適切かどうかわかりませんが、皆さんが競馬で勝ち負けとか儲けとかを考えずに当たり馬券がとにかくほしい、1着になる馬の馬券が欲しいと思ったならば、どうすればよいと思いますか?
答えは簡単。出走する全ての馬の馬券を買えばよいのです。そうすれば、レース不成立でも起こらない限り、必ず1着の馬券を得られます。当たり前ですが、これは損得度外視なのでやる人はいません。
でも、国はこれが可能です。理由は上記に説明した通り、本来国家は赤字黒字を気にする必要のない存在だからです。その理由も簡単、お金を作る権限、通貨発行権を持っているからです。
たとえ100のうち99の研究がだめでも、一つiPS細胞のような物が出来れば成功だとは思いませんか? ダメだった99の研究も全くの無駄にはなりません。こういう事をしたら想定した内容と全然違う結果が出て失敗した。そんな知見が得られます。その研究自体は失敗でも、それが将来別の発見に繋がるかもしれません。そう、田中耕一さんのようにあの時は失敗してこんな反応が出たなら、今のこれに生かせるかもしれない。そんな役に立たない研究が積み重なって新しい発見が得られるのです。
緊縮財政を信奉するザイム真理教ではこのような発想は出てきません。儲からないからこの研究は無駄である、よって廃止縮小。これだけです。彼らは極めて近視眼的なものの見方しか出来ない存在なのです。
お金がないから研究に金を出さない。結果、世界から学術研究で置いてけぼり。
お金がないから鉄道廃止。結果、全国津々浦々にあった鉄道網が無くなってお年寄りは車を運転せざるを得ずそれで高齢者ドライバーの事故が多発。
お金がないから道路も整備できずヒビだらけ、草生えまくり。これまた何かあれば事故の元ですし、何かあれば道路が崩れて通行不可。
お金がないから教育も削られる。結果、未来を担う子供達は十分な知識と教養を得られずに海外から馬鹿にされる。
お金がないから震災が起きても復興できません、しません。無駄だし赤字になるからと能登のようにほったらかしにされて先祖代々の土地と故郷を離れざるを得ない。しかもそれが人を都市部に集中させるコンパクトシティーとか言って称賛される。
お金がないから国内の生産力が無くなり、輸送力も無くなり、日本全国どこへ行っても震災直後のような棚に何もない状況になる。それを防ぐために外国からわざわざ輸入せざるを得なくなる。国内で生産して輸送できればそれは国内で金が回ることを意味しますが、輸入ではそれは起こりません。富はどんどん海外に流れていく。
お金がないから少子化対策できません。日本民族が減って代わりに移民入れます。文化も風習も変わります。暗黙のルール? なにそれ美味しいの?
これが本当にあなたが望む日本の姿ですか?
赤字が大変だから仕方ない? 私の父も良く言います。「あんな人のいない地域の鉄道なんて維持する必要ない。赤字なんだぞ」って。その赤字ってこの世からお金が消えてなくなっているって事ですか? 誰かが赤字になれば、反対に誰かが黒字になっています。当たり前です。あなたがお店で買いものしてお金を払った時、あなたは赤字になりますが、お店は黒字になります。私の父が言っているのは、自分の手元から相手にお金が渡ったらその瞬間にこの世からお金が消えていると考えているも同然なんです。
その鉄道で考えてみましょう。国がお金を出して整備します。利用者が少ないから赤字です。
で? 何か問題でも?
赤字になったところで、そのお金は消滅しているわけではなくて鉄道に関わる人の収入になっています。雇用も守られます。安定した収入があれば人は娯楽を楽しみ、恋愛を楽しむでしょう。結婚して子供も生まれるでしょう。価値観が変わってきたとは言われますが、全員が結婚に興味がないわけではないはずです。少なくともお金がないから連来も結婚も出産も諦めるという事はなくなります。今よりも遥かに少子化の状況は良いはずです。
もっとわかりやすい例もあります。
コロナ渦で、一時金10万円を受け取った人も多いと思います。国が出費して国は-10万円。国民はそれを受け取って+10万円。どうです? あなたは黒字になりました。国の赤字は我々国民の黒字なんです。逆に、国の黒字は我々国民の赤字です。税金取られたらあなたは赤字になりますよね。国が黒字になればなるほど国民は貧乏になるんです。
少子化だから、イノベーションが無くなったから、構造改革が上手くいかなかった、抵抗勢力もとい既得権益層によって中途半端だから日本は低迷した。よく新聞やニュースで言われることです。
はっきり言います。全ての因果関係が逆なんです。
国がお金を出さずに国民から吸い上げ続け、購買力も購買意欲をそぎ続けた結果が少子化であり、イノベーション不足であり、30年以上に及ぶデフレとそれに伴う低迷なんです。
イノベーション不足? 冒険心が足りない? リスクを取らなくなった? ユニコーン企業が生まれない? 山奥の誰もいない場所でお店を開く人間がいないのと同じように、儲からないとわかっている場所で誰が起業なんかするのですか?
日本人がお金をたくさん持っていてたくさん出費する。儲かるという状況であれば、思い切って起業する人は自然と出てくるでしょう。ユニコーン企業を国が無理に作らなくても野心ある人は勝手に作ると思いますよ。一攫千金、ホリエモンやイーロン・マスク、スティーブ・ジョブズ憧れる人は日本にも山ほどいるのですから。
もっと根本的な事を言います。
この地球上でお金というものを使って生活しているのは我々人間ことホモ・サピエンスだけですよね。もし間違っていたら申し訳ございません、その生物を教えてください。人間以外で貨幣経済を利用して生きている生物を発見、証明出来たならばあなたは間違いなくノーベル賞をもらえます。その生物は知的生命体と認識し、人権?とかを考えなくてはならないでしょう。
そう、お金とは我々人間が生み出した概念でありシステムなんです。だからこの世は国ごとにお金が違うし、ビットコインとかも出てくるんです。
なら、どうしてお金を人の意思一つで生み出したり消したり出来ないなどと思うのか。私には不思議でなりません。
皆さんは人生ゲームをやった事があるでしょうか?
私はもう20年以上前の古いバージョンしか知りませんが、あれは銀行役を最初に決めて、ゲーム付属の紙幣を最初に幾らか配る事から始まるはずです。
あのゲーム内のみで使える紙幣だって、皆人生ゲーム内で使えるお金だという暗黙の共通理解が前提にあって初めてゲームが成り立つはずです。「俺はこんなものはゲーム内で使えるお金だとは認めない!」と主張する人がいたら、「じゃやるな」で弾かれて終わるはずです。
税金が無いと支出できないと主張することは、まさに人生ゲームを始めるときに「まず最初の支度金を支出するために、皆さんから税金を徴収します。さあ払ってください。」とのたまっているようなものなんです。「は? 何言ってんだコイツ?」と思いませんか?
ソシャゲ内で使えるマネーを、ゲームを提供運営している会社がマネー不足で支出出来ませんなんて聞いたことがありますか? ありえないでしょ。
少しずれますが、ロシアはウクライナ侵攻により様々な制裁を受けているにもかかわらず、未だに資金不足には陥っていません。それどころか過去最高のGDPの伸びを記録しています。
ロシアの経済、今年は先進国で最も伸びる見通し=IMF BBC
https://www.bbc.com/japanese/articles/cg39208pq2eo
石油の価格が高止まりしていることと、その石油の輸出が好調ということもありますが、記事内ではっきりと「政府が支出を続けていることが成長につながるだろうと、IMFは説明した。」と書かれています。
皆さんも2022年の侵攻開始初期にロシアは早晩資金不足に陥って立ち行かなくなるはずだとニュースで聞いたことのある人もいると思います。でも2年経ってもロシアが資金不足になる傾向はみられません。
兵員の募集要項の一時金もどんどん高くなっています。
ウクライナで戦えば340万円、モスクワ市が過去最高の一時金で兵士募集 Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-23/SH31I6T1UM0W00?srnd=cojp-v2-overseas
募集のための一時金が高くなっているのは膨大な兵員をウクライナで失っているからであり、その補充が上手くいっていない事の証ですが、問題はこの一時金をどこから調達しているかという事です。
答えは簡単、ロシア政府がロシアの法定通貨であるルーブルを必要な分だけ発行する。それだけです。
ルーブルという通貨をロシアの法定通貨と定め、それを発行し、それで税金を回収しているのはこの地球上でロシアだけです。外貨はともかく、ロシアがルーブル不足に陥るなどという事態は起こりえません。理由は上記に説明した通りです。だからこそ、ロシアは2年以上も戦争を続けられるのです。
※現ロシア経済は戦時経済であり、その生産は軍事物資に偏っているためかなり歪である事は留意しなくてはなりません。戦争が終わったら兵器は需要が無くなるので一瞬で好調が終わりを迎えます。その時、どれだけの混乱がロシアを襲うのかは私にはわかりません。上手く対応できればそれに越したことはありませんが、多分かなり厳しいのではないかと思っています。
最悪なのは、マグロのように戦争が止まったら経済も死ぬから続けざるを得ないという戦争のための戦争継続状態にロシアが陥る事です。そうなったら、最後の瞬間まで突っ走るしかなくなるでしょう。
もう一度言います。お金は人間が生み出した概念でありシステムです。この世に国の数だけ通貨が存在するのも、仮想通貨が生まれるのも、デパートや百貨店のポイントが使えるのも、ソーシャルゲームでそのゲーム内だけで使える通貨があるのも、全て人がそういう仕組みにしたからです。
発行媒体と実際に使える場所さえあれば、それはどんなものでもお金になり得るのです。
重要なのは、お金ではなくモノやサービスを生み出す供給力。その供給力を生み出す我々人間こそ重要な存在なんです。お金は無限ですが、資源も人も有限です。無限の物の枯渇を恐れて有限の資源を削り続けるなんて、はたからみたら滑稽でしょ。「何してんだコイツ?」と思いませんか?
ここまで長々とお読みいただきありがとうございます。
最後にどうしてもお伝えしたいことがあります。
学校の公民の授業で国民の三大義務を習ったと思います。納税・勤労・教育です。この納税の義務ですが、義務だと習うのにどうして肝心のお金が生まれる仕組みも消える仕組みも教えてもらえないのでしょうね?
その理由をこちらの記事に読むことが出来ます。
「知の解放」が歴史を動かす「知の独占をたくらむ支配者、解放を求める民衆」 日経ビジネス
https://business.nikkei.com/atcl/opinion/16/122700036/091800016/
読むのが大変という人向けにいくつか抜粋します。
・中世教会は「聖書をラテン語以外に翻訳してはならない」と厳命。当時、ラテン語を読むことができるのは、聖職者とごく一部の知識人くらいで、庶民はまったく読めませんでしたから、「読めない聖書」にすることで「知の独占」を図った。
結果、教会がどれほど聖書の教えに反する“瀆神行為”を犯そうとも、それが庶民の知るところとならないため教会批判は封殺され、教会からの自己批判も生まれず、悪事のやりたい放題、女性に性的暴行を加えるわ、売官はするわ、「娼婦政治(ポルノクラシー、10世紀前半のヨーロッパにおいて、ローマ教皇が娼婦などの女性たちにより強い悪影響を受けたとされる時代)」などと呼ばれる腐りきった状況に陥る。
・活版印刷や義務教育の浸透により「知の解放」を押し留めることは不可能と悟った権力側は、今度は「知の解放」の逆手を取り、むしろこちらから進んで“権力にとって都合のよい思想”を垂れ流し、知を統制することで、思想誘導を図るようになった。
「知の独占」を図るのではなく、「ウソ情報の洪水で“真実”を埋没させる」策略はたいへんな成果を収め、一般大衆は権力(政府・マスコミ)の思想誘導にモノの見事にコロコロと騙され、事実上「知の解放」を無効化させることに成功した。こうした動きに関して当時の社会評論家の大宅壮一氏はこう称した。 一億総白痴化 と。
この記事の最後にはインターネットの登場により知の独占はますます困難になったと書かれていますが、実際にはSNSの中で何が起きているかは皆さんがご存じの通りです。
フィルターバブルにより、自分に都合の良い情報だけを取捨選択し、自分の思想にあう投稿のみを見てさらに思想を先鋭化させるという悪循環が起きています。
これにより各思想同士の諍いや衝突が絶えません。少なくとも、SNSが議論の場に向かない事に異論のある人はいないでしょう。
SNSは、自分の意見を一方的にいうだけの場となってしまいました。
「人は喜んで自己の望むものを信じる。」
「人は噂の奴隷であり、しかもそれを自分の望ましいと思う色を付けた形で信じてしまう。」
古代ローマの英雄ユリウス・カエサルの名言は、2000年前から人の本質が何も変わっていない事を如実に物語っています。
何が言いたいのか、もうおわかりですね。ザイム真理教の総本山たる財務省は国民に無知でいてほしいのです。彼らにとって、お金とはなにか。どこで生まれていつ消えるのかについて国民のほとんどが議論を戦わせているなど悪夢でしかないはずです。
賛同するにせよしないにせよ、人々が知っているという状況は支配層にとっては都合が悪いのです。黙ってこちらの言い分を信じるしかない、鵜呑みにするしかない状態のほうが支配に都合がいいに決まっています。
単刀直入に聞きます。奴隷でいたいですか?
お上のいう事を素直に信じて従う。もしくは分かっていても媚びへつらって可愛がられた方が得だと思いますか? それもまた一つの人生であり選択ですので私がどうこう言える立場ではありません。
ですが、嫌だと思うなら、自分は自由だと思うなら、今一度なぜ日本が30年以上のデフレで停滞したのか、給料が上がらなかったのか、少子化が加速し続けるのか考えてみませんか? あなたがデフレの影響をもろに受けたなら、それこそ就職氷河期世代の人ならば猶更このまま終わってよいのですか? 国はあなたを助けられたのに、それを意図的にしなかったという事ですよ。
かつて、宣教師が日本に来た時、知識レベルが他の地域と違いすぎて自分たちのありがたいはずの教えを素直に受け入れずに反論してきて面食らったという話が残っています。一説には日本は宣教師の墓場とすら言われたといいます。
もう一度、どうして日本はここまで世界から後れを取るようになったのか。今一度考えてみませんか?
※おまけ
最後にとある本を紹介します。この本は私も高いので読めていませんが、簡単にいうと既に西洋ではスタンダートな学問となっていた大陸移動説を日本は専門家であるはずの地質学者達が認めなかったためにこの分野で10年もの後れをとったという内容です。当時の一般人が映画日本沈没などで自然とプレートテクトニクスを受け入れていた状態であるにも関わらずです。人は政治的、思想的理由で事実を捻じ曲げることが如実に表れた悪しき例です。
ルイセンコ農法よろしく、科学よりも思想が優先されたら古今東西碌な事が起きません。
地質学では10年の遅れ。経済では30年、場合によっては40年の遅れ。どちらが我々の生活にとって致命的でしょうね?
プレートテクトニクスの拒絶と受容 新装版: 戦後日本の地球科学史
「1960年代後半に登場したプレートテクトニクスは、欧米では70年代初めには地球科学の支配的なパラダイムとなった。しかし、日本の地質学界ではその受容に10年以上の遅れが見られた。なぜこのような事態が生じたのか? 多くの資料をもとにその謎を解明する。初版2008年。」
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%8B%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%8B%92%E7%B5%B6%E3%81%A8%E5%8F%97%E5%AE%B9-%E6%96%B0%E8%A3%85%E7%89%88-%E6%88%A6%E5%BE%8C%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E5%9C%B0%E7%90%83%E7%A7%91%E5%AD%A6%E5%8F%B2-%E6%B3%8A-%E6%AC%A1%E9%83%8E/dp/4130603191
皆さんは「何のために働いているの?」と聞かれたらどう答えますか?
もっと言えば、労働の価値は何かを考えたことはありますか?
大抵の人は「お金のため」と答えるでしょう。実際、働いてお金をもらわないと生活できませんので、間違ってはいません。
ですが、ここで説明したとおり、お金は自体は無限に生み出せます。社会に出回るお金の総量のバランスが重要と言っているだけで、管理通貨制度の下で通貨の発行媒体である国が財源の心配をする必要はないんです。
ならば、なんのために働くのか。あくまで私個人の意見ですが、私はこう答えます。
「物やサービスそのものを生み出して自分も他人も豊かに暮らすため。その対価としてお金を受け取る。」と。
たとえばベーシックインカムで月20万円が何もしなくても支給されるとします。
これで働かなくて良くなる! と国民全員が思ってしまったらどうなると思いますか。
間違いなく短期間で商品が棚から消えて物の値段が上がり、ジンバブエよろしくハイパーインフレ待ったなしです。
それを避けたいなら、やっぱり皆で働くしかないのです。お金が幾らあっても、受け取れる物やサービスが無かったら、お金なんて意味ありません。
無人島にトランク一杯の札束持っていっても誰も受け取ってくれませんよね。サービスを停止したソシャゲのゲーム内貨幣なんて、幾ら持っていても意味ありませんよね。それと同じことです。
それでも「俺は働きたくない。お前が働け」という人は、そのまま貧乏になる事を受け入れてください。上記の様に、ベーシックインカムで月20万円を受け取れるからと働かない人は年収が240万円を超える事はありません。
そして、少し頭の回る人ならば、「ここで自分が働くか思い切って起業すれば、自分の分の20万円だけでなく、周りの20万の幾らかが自分の懐に入ってくる。20人に1万分支出させるだけで倍の40万の収入になる。上手くいけば月50万も100万も夢ではない。これはチャンスだ!」と考えるでしょう。
実際に、コロカ渦で定額給付金10万円が支給されたとき、各企業がどうにかしてその10万円を吐き出させよう、自分の所で使ってもらおうと色々宣伝やキャンペーンを行った事をお忘れですか。
年収240万で満足する人と、チャンスだと考えてリスクを承知の上で動く人間。どちらがより豊かになる可能性があるかは子供でも分かると思います。




