61 転生した場所
「エーデル。もう一つ言わなければならないことがある」
ヘルヴィンは真剣な表情に戻る。
「何?」
「ここは君のいた地球じゃないと言うことはわかるよね。君に以前渡した世界とルピナスを読めばわかる筈だ。ドイルドは『この星で』と言っていただろ?」
「うん。星って言っていた」
「ここはね、君も知っている場所『火星』なんだよ」
思わぬ場所だった。
火星?
あの火星か?
世界とルピナスでみたこの世界の地球は赤かった。
確かに火星は赤いと昔聞いたことがある。
だとしたら、もしかしたら、地球に帰ることも可能なのか?
「じゃあ、地球に戻れるの? 例えばだけど、宇宙船とか作れば地球に戻れるってことだよね? もしそれが可能なら魔道具研究専攻に手伝ってもらえば、宇宙船を作れるかもしれない!」
「エーデルは地球に……戻りたい?」
『戻りたい?』その質問にすぐ答えることはできなかった。
両親はすでに他界している、もう百合もいない、元々友達もいない地球に戻りたいとは正直思わない。
だが、両親のお墓に最後に一度でいいから手を合わせたい。そして、百合がどうなったのか、もしかしたらまた地球に転生をしているのではないかと気になるのも事実だ。
だが、それだけだ。それ以外何の思い入れもない。
「いや、戻りたいとは思わない。ただ一度だけ、一瞬だけでいいから戻ってやりたいことがあるんだ」
そう伝えるとヘルヴィンは俯いて少し考え込む。
そしてゆっくりと口を開いた。
「そうか………不可能ではないと思う。でもここは、君のいた元の世界、つまり地球と火星では時間の進み方が違うんだ。」
「どういうこと……? 僕はタイムスリップしたの?」
「うーん、少し違う。君は間違いなく転生者だよ。君が夜に見たことのある星は何十年、何百年も前の星の光だってこと知ってる?」
「昔、授業で習ったことがあると思う」
「惑星は一つ一つ回転速度が違う。その為、時間の進み方も違うんだ。地球は火星よりも回転が速いからその分時間が進むのも速い。もし君が今の地球に行ったとしたら何年、何十年と進んでいる可能性がある」
「でも、ヘルヴィンは地球に来たことがあるだろう? その時僕は歳を取ってたってこと?」
「うん。初めて見た時の君は十三歳の少年だった。その時は地球時間で一週間いたんだ。そして火星に戻ってまた半年後に地球に行くと、君は少し大きくなっていた」
「僕は転生してから三ヶ月が経っているんだ。今戻ったとしたら同級生は大人になっているってことか?」
「その可能性はあるけど。君がエーデル・アイビスの肉体に入るまでどのくらいの時間が経ったかわかるかい?」
転生するまでの間か……
その間の記憶も無ければ、死後、大夢の魂が何処にあったのかも不明だ。
「わからない」
「そうなんだ。わからないんだ。大人になっているかもしれないし、もっと歳をとっている可能性もある。転生するまで君の魂は何処にいたのか、どれ程の時間が経過したのか、それは地球での経過時間なのか、火星での経過時間なのか不明なんだ。地球と火星は隣同士の惑星だけど、時間軸は大きく違う。惑星が離れれば離れるほど時間軸は大きく変わってくる。地球と火星の時間差、それは僕にもはっきりとはわからない。もしかしたら地球の人間はすでに解明しているかもしれないけどね。火星では神力や魔術がある分、科学的な発明は地球の人間より劣っているんだ。ここにはテレビや、スマートフォンというものは存在しないだろ? 君が死んでから転生するまで僕にはすごく短い時間に感じたけど、もしそれが地球の時間なら何十年、何百年経っていてもおかしくない話なんだ」
……話が難しくなってきたな。
確かに時間差はわからない。
昔授業で習った気もするけれど、はっきりは覚えいない。
そんなに大きな時間差は無かった気もするけど、死後転生前、僕が魂のみでいる間どれ程の時間が経ったのか、何もわからない――。
大変お待たせいたしました( ; ; )
不定期なのに読んでくださる方がいらっしゃることに感謝しかありません。
読者の方々誠にありがとうございます!!
現在新作準備中です。
僕らが転生した理由、に愛情あります!
ですが、誤字脱字や自分の文章力の未熟さを実感します。いつか描き直したいと思っております。
そして、あまりいい方法ではないのですが、そろそろ完結させて、次に進みます!
書籍化、あるいはアニメ化目標にしておりますので、面白い!これは売れる!という作品を日々研修しております!
もうしばらくお待ちください!!




