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44 追い込まれた戦闘

 エーデルは真っ直ぐドイルドを見て、木刀を構えた。


「頼む。教えてくれ」


 ドイルドはいやらしく笑い、木刀の先端をエーデルに向けて構えた。


「ククッ、俺に勝つというのか?」

 




 第二次トーナメント戦、二回戦目開始――



 相変わらず緊迫した空気が漂う。

 ピストルの音が鳴ってから暫く経つが、ステージ上の二人は木刀を構えたまま、動かない。


 ――ドイルドはどう出てくる? 


 目の前に立つだけでわかる。これまでの相手とは違う――彼は強い。全身が怖気付いている。

 相手の神力も知らなければ、どう攻撃をしてくるかもわからない。


 僕が先に動くべきか?

 いや、動けば絶対に読まれる気がする。


 ドイルドはまたいやらしく笑った。

「ククッ」


 その瞬間、目の前に水押し寄せてきた――

 ステージ全体が水で包まれた。エーデルは水に包まれ、溺れる寸前だった。


(――水の神力? 神力を先に使ったのか? まずい。呼吸が――)


 朦朧とする意識の中で、アレクの言葉を思い出した。

『水の神力は相性は悪くない。風で動かせばいいんだ。もし水に溺れることがあれば、風を使って水を切れ』


 ――木刀を両手で持ち、神力を全体に纏わせ思いっきり頭の上から振り下ろす!

 エーデルは一回転し、水を切った。


 風によって切られた水は道を開けた――

 エーデルは床に着地をしたが、体はびしょ濡れで服に水が吸収して重たい。


 再び木刀を構え攻撃をしようとした時、ドイルドの姿が見当たらなかった。


 ――何処だ?


 辺りを見渡す――


 すると後ろから気配と同時に凄まじい神力を感じた。

 振り向きざまに木刀で防ごうとしたが間に合わず、横腹に衝撃を受けた――

 ドイルドの木刀が横腹を刺すように直撃した。

 

 エーデルはステージの壁まで吹っ飛んだ。

 ――負けた。

 エーデルは場外に出た。

 

 エーデルの負けだ。

 

 勝てなかった……こんなに早く終わってしまったのか?

 ――何か様子がおかしい。終わったんだよな?


 ドイルドに目をやると、一切の表情を変えずに向かってくるのが見えた。 


 ……は? 


 ――こいつは、まだやる気だ。


 危険を感じすぐに立ちあがろうとするが、遅かった。横目で見えたのは凄い勢いで向かってくる木刀だった――


 ドォンとでかい音が会場全体に鳴り響く。

 ドイルドの木刀がエーデルの腹を突いて吹っ飛ばした――

(痛すぎる……まずい、手も足も出ない)


 ――ドイルドとの距離はある。

 エーデルは素早く立ちあがろうとするが、足が思うように動かない。

 エーデルは顔を顰めた。

(攻撃を止めないと……)


「ハッ!」

 いつのまにか目の前にドイルドがいた――

 三白眼と鋭い目つき、下がったままの口角……


(何で……こいつが……アレクと……重なる……)


 ドイルドはエーデルの頭を掴んだ。

 神力を体に纏わせ、掴んだ頭を思いっきり床に押した――

 ドイルドはエーデルの頭を上げて、下げてを何度もした。

 エーデルの額からは赤い血が出ていた。その血が床を赤く染めていく。


 気にもせずドイルドはエーデルを無理矢理立たせ、木刀に神力を込めて突いた――

 まるで三叉の槍で狙った魚に刺すかのように。


 場外に吹っ飛んだエーデルはもう既にボロボロだった。

 額や腕から血を流し、左腕と肋骨が一本折れていた。

 何とか立ち上がってもフラつくエーデルにドイルドば更に追い詰めようとしたその時。




「やりすぎだ、ドイルド」

「もう対戦はとっくに終わったはずだぞ」


 エーデルの前に立ち、守ったのはタクロ先生とヘルヴィンだった。

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