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40 危険な対戦相手

 そして五回戦目――


 エーデルとヘルヴィンは剣術一年の二組の相手と戦った。

 一学年最後ともなると、対戦する相手は多少は強かった。

 とはいえ神力を使わなくても勝てる相手だった。だがこれから戦うであろう先輩達はもっと強いはずだ。

 エーデルは腕鳴らし程度で神力を使って勝った。


 こうして一年生の第一次トーナメント戦終了――

 一年生から最終トーナメント戦に出場するのは『エーデル・アイビス』と『ヘルヴィン・メス・ルピナス』の二名に決定した。


 第一次トーナメント戦が終了し、午後になったところで一時間の昼休みが与えられた。


 最近はエーデル、ヘルヴィン、ロニカともう一人、ディルの四人で昼休みを過ごすことが増えた。

 特に集まろうと言うわけでもないのに、自然と集まるようになったのだ。


 四人で食堂へ向かった。

 今日は昼メニューは大会ということもあり豪華な鹿肉料理だった。

 お皿に鹿肉を盛り付けてテーブルの椅子に座った。


「みんな本当に凄いよ! エーデルとヘルヴィンは圧勝だし、ディルは何度も諦めずに立ち向かってて、僕感動しちゃった。僕は元々魔法が使えたから魔術の専攻にしたけど、剣術ってかっこいいね! 木刀のカンて音もいいし、剣になったらキィンて鳴るよね? 早く聞きたいな〜ねえ今度剣術教えてよ!」


「いいぜ! 今度教えてやるよ。俺は一年の中でヘルヴィンの次に強いからな」


 剣術大会を見てロニカはとても興奮していた。

 称賛してくれるのは嬉しいが、大分過賞しすぎて毎回ディルが図に乗り、天狗になるのが玉に瑕だ。


 三ヶ月も経てば、皆打ち解け始める。ロニカは最初の遠慮がちな印象とは異なり、結構喋る子だった。ロニカが喋れば喋ればその場も明るなり、いつの間にか四人で盛り上がっている。


「エーデル第二次トーナメントは見た?」

「ああ、見たよ。ヘルヴィンは次誰と対戦するの?」

「僕は五年生の人だよ。名前は忘れちゃった」


「五年生か〜となると大分強いかもな! 十八歳になると体も神力も出来上がってくるだろう? 戦闘慣れもしてるだろうし。まあでもヘルヴィンはこの俺に勝ったんだから余裕だろ!」


 ディルの言う通り、五歳の差というのは大きい。

 まず経験や体格で不利になる。十八歳にもなれば本当の意味で大人だ。


「エーデルは次誰と対戦なの?」

 ロニカが聞いた。

「僕は確か……ルーク・アックスって人だったと思う」

「…………」


「エーデル、まずいことになったね」

 対戦相手の名前を言った瞬間、張り詰めた空気になった。


『ルーク・アックス』彼はどれほど強い人なのだろうか。

 するとヘルヴィンが口を開いた。


「僕も聞いたことはあるけど……強いよ。彼の戦闘は少し変わっていると聞いたことがある。それに……」


「どう変わっているんだ? それに?」

 僕は割り込んで聞いた。


「ごめん。聞いた話だから詳しくはわからない。だけど何度か停学になっているらしい、退学間近だと聞いたこともある。危険人物で有名だ。何れにせよ彼は六年生だ、油断はしない方がいい」

「わかった」


 ルーク・アックス……一体どんな戦闘をするのだろう。

 恐さもあるが、同時に期待も膨らむ。


 昼休みが終わり僕らは第二ホールへ向かう――

 長い廊下を歩いている途中……嫌な気配と共に、視線を感じた。


 ロニカが「何だろう……何か近くに」と言った瞬間、僕は腰の左側に紐で佩いていた木刀を引き抜き、振り向きざまに頭上へ構えた。


 ガンッという木刀がぶつかり合う音が響いた。


 視界にはガタイが良くタッパもある頭の赤い男がいる。

 頭上へ構えた木刀が、目の前にいる頭の赤い男の木刀によって徐々に押さえつけられていく。

(なんて力だ。押される――)


「よぉ〜お前がエーデル・ワイスだっけ?」

 エーデルは男を鋭い目つきで凝視し、感情を沈めるように低い声で返した。

「『エーデル・アイビス』です。あなたは誰ですか?」


「エ、エーデル。彼が……」

 ロニカは震えて声を出せずにいた。

 すると男が再び口を開く。

「俺は――『ルーク・アックス』次のお前の対戦相手だ」


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