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34 友人と登校

大浴場を後にして、ヘルヴィンとは部屋の前で別れた。


 部屋に戻りベッドに横たわる。

 僕は一人で考えていた。

 今日というたった一日で色々な事があった。


 エーデルの家を出たのが今日だなんて考えられないほどに。

 異世界で初めて汽車に乗り、アカデミーの門をくぐり、ヘルヴィンと再開し、バドラと会い、パンドラの箱が開き、ロニカと出会った。

 そしてクラスメイトと出会い、クラスメイトとお風呂に入った。


 不思議だ。

 前世ではいじめられていた僕が経験できなかった全てを今日一日で体験した気分だ。

 

 種族のことや神のこと、それに雷紋のこと。

 俄かにも信じられない話ばかり耳にする。でも僕が今いる世界では普通のことなんだ。

 それを踏まえてここでは生きていかなきゃいけない。


(大丈夫だよな? エーデル、僕ちゃんとやれてるよね? 明日からまた授業が始まる。『大切なものを守れるように強くなる』その為に頑張るからな……おやすみ。エーデル)


 ――翌日

 僕が部屋の扉を開けると、同時にヘルヴィンも扉を開け鉢合わをせした。


「あ、おはよう」

「おはようエーデル。今日も天気がいいね」


 僕らは学校へ向かった。

 途中ロニカと会った。三人で初めての登校だ。

 寮から学校までは約十分の距離。


 こんな日が来るとは思わなかった――

 (大夢)が友人と一緒に登校するなんて、前世ではありえない事だった。

 天気も良く清々しい気分だ。

(いいものだな。友人と学校へ投稿するのは――)

 

 学校に着くと、昨日と同じように教室へ向かう。

 ロニカとは昼休みを一緒に過ごす約束をして、教室を前に別れた。

 専攻が違うとあまり会えない。ロニカのことは心配だけど、あまり過保護すぎてもダメだ。ロニカはあんな事があっても前を向こうとしている。それを応援してあげるのが『友達』だろう。


 バドラとも会った。

 相変わらずグレン連んでいたが、目が合うと立ち去ってしまった。

 あんな事があったんだ、嫌われても仕方がない。

 寧ろ僕だってバドラのことは好きになれないし、お互い様だ。



 そして今日は剣を使った実践授業をする――


 アカデミーの外に広い庭がある。二十人の生徒が剣を降りあっても余裕がある程広い庭だ。

 ここを練習場という。

 剣術だけでなく、魔術の練習や、開発した魔道具などを実験したりする場所だ。


 二人ペアになり神力を使いながら剣をぶつけ合う。

 それが今日から始まった実践授業だ。

 エーデルはディルとペアになった。


「エーデルよ、案ずるな。俺は強い! 加減などしなくていい」

「ハハッ。わかったよ」


 ディルはお調子者で怖いもの知らずだが、面白い奴だ。僕なんかにも自分から話しかけてくれる。

 ディルが近づいてコソコソと話し始めた。


「エーデルよ、君もこっち側か?」

 エーデルはディルの身長に合わせ少し膝を曲げ、耳を傾けた。

「……何のこと?」

「ヘルヴィンだよ! あいつ女子からチヤホヤされてるんだ」


 確かにヘルヴィンは女子からの人気が高い。一人になれば毎回女子から話しかけられている。

 安定の穏やかな表情でサッと振り切っているが、女子は負けじとヘルヴィンに擦り寄っている。


「お前はオドオドしてるからな、でもさっきぶつかった女子なんか頬赤らめていたぞ」

「ハハッ。そうなんだ……」

 

 エーデルとヘルヴィンは整った顔をしているが故に女子が頬を赤らめ騒いでいる。


 それに比べてディルは不細工ではないが、平凡な顔立ちだ。

 ディルは自意識過剰なところがあるとは思うが、そこが面白くて僕は好きだ。


 授業開始のチャイムと同時にタクロ先生が来た。

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