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異世界人

 メタルティラノから助けた四人が俺を救世主と呼んで頭を下げていた。

 突然の救世主呼びと王女様からの頼み方をされた事もないため、困惑している俺は辿々しい行動を取ってしまった。

 両手を伸ばして彼女達に言った。


「ちょ、ちょっと待って。本当に待ってくれ!」


 彼女達は俺に一斉に視線を向けてきた。


「メタルティラノから助けただけで俺が救世主呼びになる事が理解出来ない!俺以外にも"竜道"にいる人物だっていたかもしれないだろ?」

「いえ、それはあり得ません」


 俺の言葉にリアラがキッパリと否定された。


「元々この"竜道"は国家認定された人物にしか立ち入る事を許されない立入禁止区域なのです。コレがその認定書です」


 そうリアラが見せてきた認定書には双頭の龍と王冠が合わさった紋章が描かれていた。


「それでも、犯罪者なら禁止区域にだって入るだろ」

「いいえ。例え犯罪者であろうと不可能なのです。"竜道"に入る際に通る大森林が関係しています。大森林は"竜道森壁"と呼ばれていて、善の心を強く持っている者が通る時は何も起きないのですが、悪の心が強い場合は生命エネルギーを大森林が吸収するのです。勿論、大地に触れていなくても生命エネルギーが吸収されるため、善の心を持ち、尚且つ国家認定された人物でなければ"竜道"には入れません」


 善の心が強ければ問題なくても、悪の心が強ければ命を奪われるということか。

 でも、善の心と悪の心を数値化させて反転させれば簡単に"竜道"を出入りできだろう。

 その考えをアルスに伝えたら、彼に肯定された。


『感情や心意を数値化させることも、反転させることもで霊魂魔法で操作できる。犯罪者であろうと霊魂魔法が使えるならば"竜道"に出入りすることなど簡単な事だ』


 やっぱりそうか。


 そのことに気付いていないとなると、魔法知識があまり広まっていないのか。彼女達がそこまで魔法知識の勉学が追いついていないだけなのかもしれないな。


 彼女達の誤認識を正すのは後にして、先程から答えを待ち続けている彼女達の視線から逃れられそうにない。

 だから、俺は一つの提案を出した。


「‥‥‥‥わかった。君達には同行するけど、俺が救世主というのは語弊もある可能性が否めないから、君達のチームに参加する一冒険者という扱いにしてくれ」


 その案にリアラ達は互いの顔を見つめ合って視線で会話をしたのかすぐさま此方に視線を向け直した。


「わかりました。ですが、冒険者登録しないと流石にチームに入る事は出来ませんので、先ずは冒険者登録から始めましょう」


 そう言われたので、俺は了承した。


「それではドラグハーツ王国へ戻りましょう」


 プラチナグリーンのボブヘアーに、女性ランナーのような服装をしたライオンの耳と尾を持つ獣人が返事した。


「はい」


 プラチナブルーのセミロングヘアーの女性が一言も喋ることもなく頷く事で了承した。


「‥‥‥‥」


 プラチナブロンドの外巻きミディアムヘアーに背中に妖精の様な四枚の翅を生やした女性がまるで信仰する相手と話すようにリアラに視線を向けながら応えた。


「リアラの心意に従うわ」

「ありがとう皆」


 リアラは了承してくれた三人に感謝した。


「それでは行きましょう」


 そう言って俺の手を掴んで彼女は共に来た三人と一緒にやってきた道を引き返していった。


 約一時間ほど経っただろうか。

 リアラに手を引かれて案内されていったが、数多くの恐竜レックス種に襲われた。

 ティラノザウルスと同じ二足歩行で水平型の恐竜がしかいなかった。金剛石の姿をしたスピノザウルス─────スピノダイヤや、金鉱石の姿をしたカルカロドントサウルス─────ゴールデンカルカロドントを倒して、それぞれ金剛石と金鉱石の原石とそれぞれの爪や牙を手にする事が出来た。

 しかし、トリケラトプスやプテラノドンのような四足歩行や翼を持つ恐竜がいなかったな。


 そう思いながら<無間収納アイテムボックス>内に収納している時だった。

 プラチナブルーの女性がこっちをジーッと見つめていた。


「どうしたのですか?シノン」

「‥‥‥‥‥救世主様は"異世界人"?」


 そう小首を傾げながら訪ねてきた。


「あぁ。そうだよ」


 肯定すると皆が驚いた表情になると、リアラ以外の皆が俺に武器を構えた。

 プラチナグリーンの女性は両手を獣の手に変化させて爪を10cmほど長く伸ばしては威嚇してきた。シノンと呼ばれた女性は星の輝きを秘めた剣を構えて、射殺さんばかりの目つきで睨み付けてきた。

 そして、プラチナブロンドの女性は華の模様の装飾が付けられた木々で出来た弓矢をすぐさま射てる様に構えていた。


「え?」


 突然の三人の行動に俺は唖然とした。


「皆さん待って下さい!」


 俺と彼女達を挟む様にリアラが間に入ってきて、彼女達に待ったを掛けた。


「リアラ様、離れて下さい!」


 間に入ってきたリアラにプラチナブロンドの女性が離れるように告げた。

 そんな彼女に同意する様に、シノンが忽然と俺の目の前に現れては手に持つ星の輝きを秘めた剣を振り下ろしてきた。


「勇者の剣」を取りだして受け止めようとしたが、アルスが言った。


『受けるな!』


 その言葉を聞くも、既に「勇者の剣」の柄を掴んでしまっていた。あとは振うだけの姿勢の中にいた。

 しかし、【超自由戦闘能力オートバトル・モード】の自動防御が発動して、受け止めるのではなく、回避に徹してくれた。

 彼女の剣が俺の身体をギリギリ当たらなかったが、地面に鋒が触れると、大きく陥没した。今まで視た事のない破壊力を持つその剣に驚嘆した。

超自由戦闘能力オートバトル・モード】の能力スキル自動使用が【叡智の賢眼(ソロモナイズ)】が剣の性能を深淵解析した。



 武器名:連星聖剣れんせいのせいけんスタリバーン

 性能:刀身が物体と接触する回数分に合わせて所有者の攻撃力が倍増する。



 彼女達と一緒に恐竜レックス族を倒していた際に、彼女が剣を振って何度も傷を負わせていた。

 その傷は回数毎に紙を切るようにスパッと斬れるようになっていたのを思い出した。

 つまり、この陥没の理由は先程までの恐竜レックス族との戦闘での接触回数が関わっているということか!?


連星聖剣れんせいのせいけんスタリバーンの破壊力は「勇者の剣」では耐えきれぬほどの威力だ。接触回数は235回。彼女の攻撃力は3210に235を倍加すると君の防御力739560を優に超える』


 確かに、それでは俺も斬られて死ぬだろうな。

 そう思いながらシノンは何度も何度も此方に連星聖剣れんせいのせいけんスタリバーンを振ってくる。

 彼女の聖剣が大地や木々に触れない様に紙一重で回避しながらも誘導していた。

 そんな俺に背後から迫ってきたのは瞳孔を開いてガオッ!と吠声を上げているプラチナグリーンの獣人が爪を鋭く立てては搔きにやってきた。

 住人の爪攻撃も同じく回避した。【超自由戦闘能力オートバトル・モード】の自動防御の性能がとても高いな。回避速度を上げる為に時空魔法の<天翔走アクセル>を使用していた。地球の500mランナーの最高タイムが33秒ほど。<天翔走アクセル>は500mを10秒足らずで走れるほどに自己加速を速めることができる魔法を掛けていたおかげで、二人からの猛攻に余裕綽々と回避していた。


 そんな俺に幻想的なオーラを持った矢が10本ほど飛び交ってきた。「勇者の剣」に魔力を通して襲い来る矢を弾いた。

 矢が飛び交ってきた所を視界に納めると、そこにはプラチナブロンドの女性が弓に新たな矢を装填していた。


「シノン、アイリス。こちらに寄せ付けないで下さい!」

「‥‥わかってる」

「言われなくても、私が狩ってやるわよ!!」


 プラチナブロンドの女性の所へと向かわせない為に、シノンとアイリスと呼ばれた二人は自身に肉体魔法<身体強化ブースト>を施した。

 すると、先程以上の速度で襲ってくる。アイリスの爪とプラチナブロンドの女性の矢は「勇者の剣」で防げるが、シノンの持つ連星聖剣れんせいのせいけんスタリバーンの攻撃力には流石に回避しかできなかった。


『雄宏君。呪闇じゅあん魔法を使いなさい』


 そうアルスが助言をくれたので、呪闇魔法を脳裏で考えると使用できる魔法の情報を【完全記憶】から思い出した。

 思い出した魔法一覧から呪闇魔法の一つを行使する為に魔法陣を描いた。


「<対聖闇鞘ダール>」


 シノンの連星聖剣スタリバーンに向けて放った魔法陣から闇が広がり、剣へと纏わり付いていき、闇が黒一色の禍々しい鞘へと変貌してガッチリと聖剣を納めた。


「なっ!?」


 シノンは突然現れた鞘に驚いてしまった。

 そんな彼女に一瞬で懐へと近づいては背負い投げでアイリスへと投げ飛ばした。

 シノンの身体が突然投げ飛ばされて驚いているアイリスは対応できずに、シノンの下敷きになってしまった。

 そして彼女達という前衛を失ったプラチナブロンドの女性に向けて「賢者の杖」を取りだして三人に向けて魔法を放った。


「<完螺鎖縛バインド>」


 魔力封じの鎖で相手を縛り付けて魔力行使を不可能にする<完螺鎖縛バインド>によって三人を縛り付けた。


「クッ‥‥‥」

「おのれ‥‥!異世界人‥‥‥!!?」

「‥‥‥ッ!」


 三人とも俺に憎悪や怨嗟の視線を向けてきていた。

 さっきの攻防の際から彼女達の攻撃には殺意が込められていた。そんな彼女達から濁流のように溢れてくる敵意がどうもわからなかった。

 そんな俺に対してリアラが三人の前に出てきては頭を下げた。


「本当に‥‥‥本当に申し訳ありません!」


 頭を深く深く下げて襲ってきた三人を代表に謝罪するリアラ。

 そんな彼女に頭を上げるように言っては、襲ってきた理由を尋ねた。


「どうしていきなり襲われたんだ?」


 突然の襲撃の理由にある程度の予想は出来ている。

 異世界人。

 その単語ワードが出てきた直後に敵対行動を取り始めた。

 恐らく、「異世界人」という部分が関係しているのは間違いないだろうな。


「ヨシヒロ様も既に想像されていらっしゃるかと思われますが、天啓の中にある[和を乱す災厄]とは異世界人のことだろうと考えている者達がシノンやアイリス達も含め多くいらっしゃるのです」

「"異世界人"は名の通りに異世界からやってきた人間が有する職業のことだろ?」


 リアラにそう訪ねると彼女はキョトンとしている。俺の言葉が聞えていたのかシノン達も目を丸くしていた。


「?違うのか?」

「えぇ~っと‥‥‥‥‥もしや、ヨシヒロ様は異世界人の詳細をご存じないのですか?」

「"異世界人"という職業を持っていることだろ?」


 そう答えると、リアラは「なるほど」と呟いては自分の知る世界人について語ってくれた。


「異世界人が現れたのは八人の英雄によって世界が転生されてからでした」


 リアラは空に浮かぶ八つの星へと仰ぎ見た。


「100年に一度の確立で、昼夜問わず見え続けているあの八つの星から一人ずつ、この世界へと侵略してくる者達のことを異世界人と呼んでいます」

「別の星から侵略してくるだけなら、侵略者でもいいだろう。なぜ異世界人なんだ?」

「あの八つの星に住む者達は、転生前の嘗ての世界で好戦的な思考を持っていた"始まりの八族(ファースト・エイト)"なのです。一つの星に一つの種族が封印されました。ですが、封印された種族はその星でそれぞれ違った世界を創造していきました。その世界観は、我々のいるこの世界とも違っています。故に、あの星々から現れる侵略者達を"異世界人"と呼んでいるのです」


崇常雄宏の能力紹介


特殊固有型ユニーク能力スキル超自由戦闘能力オートバトル・モード

能力効果:戦闘能力に関して特別な力を有している。

権能:自動防御・自動攻撃・魔法自動習得・能力スキル自動選抜・能力スキル自動発動


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