サーファーが波乗り中に異世界召喚されたら、女神様に出会えました
小説家に『なろうラジオ大賞3』応募作品です。
テーマはサーファー
異世界時計管理室②
「今回の召喚は失敗です。彼には魔力も特別なスキルもありません」
失敗…と髭面のおっさんに言われて、俺は城の外に追い出された。大きな門の前に立ち、途方に暮れる。
ここは、どこだ?
状況が全く把握できない。あまりの非現実的な状況に混乱していて、何も聞けなかった。
周囲に人通りはあるものの、誰も俺と目を合わせてくれない。まあ、この格好じゃしょうがないか。サーフボード片手にウェットスーツ。近くに海はなく明らかに浮いた格好だ。外の気温が高くて本当に良かった。
それにしても、しょうかん?…召喚?って聞こえたんだけど。あれか、最近よく小説の題名になっている異世界召喚みたいな感じ?
サーファー仲間と波乗りしていたはずなのに。気づいたら、サーフボードごと赤い絨毯の上にいた。そんな今の状況を説明するなら、それしか考えられないか。さて、これからどうしよう…
「こんにちは、大丈夫ですか?」
声がした方を見ると、女の人と目が合った。
「俺、ですか?」
「はい、何か困っている事があるなら、相談に乗りますよ?」
「えっ?!ありがとうございます!」
普段の俺なら、知らない人に突然話しかけられて、相談に乗るとか言われたら警戒していただろう。でも、今は知らない土地で初めて優しい言葉をかけられた喜びでイッパイです。
今までの事を彼女に必死に説明する。とにかく信じてもらわないと。
「あー…それは、大変でしたね」
「信じてくれるんですか?」
「あなたのその服と、持っている板、見たことない素材とデザインです。多分オーパーツなのでしょう」
「オーパーツ?」
「この世界の文明に、そぐわない品物の事です」
どーやら、役に立たないと思っていたウェットスーツとサーフボードが異世界召喚の証明になったらしい。
元居た世界に帰りたい気持ちはあるけれど、まずは今を生きなきゃいけない。そんな俺に、彼女は仕事と住む場所を紹介してくれた。
「ありがとうございます!生活が安定したら、何かお礼させてください」
「ふふっ、気にしないでください。あ…でも、もし美味しい物を見つけたら、ご馳走してくれると嬉しいです」
見知らぬ世界、誰も知る人のいない地で、前向きに生きようと思えたのは彼女のおかげだ。次に会う約束をして、それまでに美味しい物を探そう。
彼女はまさに、俺の運命の女神様です!
実は、その女神様の正体は、、
後日ネタバレ別視点有り。
1000字以内にまとめる難しさよ。
2021/12/9…ラストちょっと変更しました。
読んで頂きありがとうございます♪
★評価頂けると喜んで叫びます。