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007(911を駆る祖父)

リュウの祖父、稲葉憲一郎(いなばけんいちろう)が訪ねてきた。リュウは緊張しながらもワクワクしていた。ちゃんと大家の仕事をやってる。もしかしたら、お小遣いでもくれるのかと考えていた。


「久しぶりじゃな。リュウ」

「じいちゃん、相変わらず、ポルシェか。老人が乗る車じゃないよ。さ、入って」


二人でリビングへ行き、ソファーに座った。


「ワシは72歳じゃ。100歳までポルシェ911なのじゃ」

「なのじゃって…………。そろそろ自動運転車に替えたほうが良いよ」

「あの911を舐めてもらっては困る。右ハンドルのマニュアルトランスミッションじゃぞ」

「で、じいちゃん何しに来たの?」

「ちゃんと仕事しとるかなと」

「孫とは言え、一社員の様子を見にわざわざ不動産業の社長が来るのはただ事じゃないよ」

「気にするな」

「気になるよ」

「では単刀直入に聞きたい事が2つ」

「何?」

「バカ息子が浮気して、リュウから5万円も借りたそうじゃな」

「ああ、父さんの事か。別に5万くらい返してもらわなくてもいいよ」

「色を着けてワシから返すぞ」


憲一郎はテーブルに渋沢栄一10枚を置いた。


「ゴチになりまーす。2つ目は何?」

「ヤコちゃんとは結婚を考えているのかね?」

「単刀直入すぎるよ。まあ、ゆくゆくは……そうなるのかな」


リュウの脳裏にアキの事がよぎった。


「はは~ん。さては他にも女が居るのじゃな?」

「うっ! ま、まだ友達だし。ヤコが本命だし」

「いいかリュウ。男はスケベでないと長生き出来んぞ。但し、バレてはいけない。リュウも気を付けるのじゃな」

「そういうのじゃないって」


リュウは動揺を隠せない。


「ところで、お隣さんが越してきたそうじゃな」

「えっ? アキの事?」

「アキと言うのか。良い名じゃ」


リュウは更に動揺する。


「正直に言うね。アキとはっ……」

「もう朝チュンしたのか!? 流石に節操がないぞ」

「食い気味に早とちりしないで。趣味が合うんだ。インプレッサでドリフト出来る。腕も一級品の上級者だ。ただ、飲みに誘ったけど断られちゃった」

「何か事情があったのじゃろう。気にするな」

「気になるよ」

「そうそう。もう一軒、マンション欲しくないか?」

「ここだけで手一杯だよ」

「あくまでオーナーじゃ。近所に藤原パン店があるじゃろ。土地を貸してたが、そろそろ潮時じゃ」

「待って。あのパン屋は潰さないで。俺、ファンなんだ」

「ふむ。パン屋のオーナーも悪くないか。最近、看板娘を置いてテコ入れを図っておる」

「売り上げが芳しくないのか。人気店だと思ってたんだけどな」

「いいかリュウ。お前は特別な孫じゃ」

「じいちゃんから飴は貰ったことないよ」

「何の話じゃ? よく聞くのじゃ。リュウは悪夢を見ないかの?」

「たまに見るよ。それが何?」

「悪夢の頻度が上がってきたらワシに言いなさい」

「う、うん」

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