040(ゼニア姫)
タニア国王がお怒りになる。
「リュウは返さない。ダートスリープ」
アキはタニア国王の魔法に掛かり、起きれなくなった。そして、近衛兵を呼ぶ。
「この者を牢屋へ」
「はっ!」
「リュウ君、助けて」
「ごめん、アキ。俺にはどうする事も出来ないよ」
アキは抵抗むなしく牢屋に入れられた。ヤコと同じ牢屋だ。まだ脱獄は出来ていない。ヤコとアキは、リュウをタニア国王から取り戻そうと同盟を組んだ。抜け駆けはなし。
リュウとタニア国王が王座の間で政を執り行ってると、ゼニア姫が来た。
「お姉~ちゃん」
「どうしたの?」
「執事が邪魔で街に行けない。何とかして」
リュウはこの時、初めてゼニア姫を見た。アキと瓜二つだ。混乱する。
「アキ?」
「リュウ様、初めまして。アキとは私と似ているという地球人ですね? 私はゼニアですよ。間違えないでください」
「あ、ああ。わりぃ」
タニア国王はゼニア姫と仲の良い姉妹だ。だが、リュウと違って束縛をしない。
「ゼニアは大方、街でパン屋巡りをしているのであろう?」
「お姉ちゃん、何とかしてよ~。城のパンはあんまり美味しくないし」
「護衛を付ける。これで文句はなかろう」
「邪魔くさいよ、護衛なんて」
「我慢して」
「むぅ~」
ゼニア姫は渋々、護衛を付けて街に繰り出した。タニア国王とリュウは政を続ける。目下の懸案は地球との和解。これがなかなか進まない。反対勢力が力を増し、地球に向かって二酸化炭素を送り込んでいる。地球からのゴミも相変わらず棄てられていた。このままでは全面戦争に突入してしまう。リュウとタニア国王は頭を悩ます。
「俺が何とか交渉してこようか?」
「ダメだ。ボールは向こう、地球側にある。特使でも派遣してこれば、交渉のテーブルに着いてやる」
「それなら、ヤコとアキを地球に返してアクションを促してもらうとかどう?」
「一考にはする。だが、期待は出来んな」
「だよね。二人とも一般人だし」