029(★子作りの基本・1)
アキは起きるか躊躇う。起きてしまえばこのピンチを脱する事が出来る。しかし、国王と話し合いをするチャンスでもある。それをリュウは汲み取った。リュウはエクスカリバーを構えた。
「今、助けてやるからな」
「リュウ君」
シノビがアキを盾にする。
「この状況でどうやって助けるのかな?」
「オール・コンセントレーション!」
リュウはシノビにはぜろと念じると、パーン! シノビの頭が吹き飛んだ。力なく倒れるシノビの遺体。アキは泣きながら走ってリュウに抱き付く。
「怖かったとよ~。うえーん」
「もう大丈夫だからな」
「あっぱれ!」
ーー勇者ご一行は拘束され、近衛兵と老執事に連れられてアナザーシープ城の牢屋にぶち込まれた。アキは国王の前に行き、しゃがみこむ。
「国王さん、聞いてほしいとよ」
「なんだ? ゆうてみい」
「地球とアナザーシープ、双方が生きる道はないと? 戦いなんて真っ平とよ」
「地球人がアナザーシープにした事を水に流せと言いたいのか? やはり、お前どこかで見た顔だな」
「うちは地球人とよ」
「何?」
「地球の人達にはもうゴミを棄てないよう言うと」
「その言葉、信じるに足る根拠は?」
「リュウ君は地球の偉い人と知り合いとよ」
リュウはうんうんと頷きながら聞いていたが、アキを二度見する。
「確かに俺のじいちゃんは政府の人と繋がりがあるけど。ゴミ棄てを止められるかどうかは確約出来ないよ」
「それでも、うちらを信じてほしいとよ」
国王はワイン片手に考え込む。そして、リュウを見る。
「勇者リュウとやら。戦争を回避してやろう。但し1つ条件がある」
「何? 大抵の事は大丈夫だよ」
「我の婿になれ」
「うんうん…………って! それは…………」
「出来ぬと申すか? なら全面戦争だな」
「待て待て待て。いきなりそんな事言われても」
「子供は何人欲しい?」
「話が飛び過ぎー」
アキがリュウを突き放すような事を言う。
「リュウ君、うちなら大丈夫だから。条件を呑むとよ」
「アキ…………」
「決まりだな。勇者リュウ、お前は今日から我の夫だ」
ボン。アキは起きた。国王はそれを見逃さなかった。国王はリュウに魔法を掛ける。ダートスリープだ。泥の様に眠る。つまりアナザーシープでは覚醒し続けてしまう。
「また来るよ」
リュウは起きると念じたが起きれなかった。
「ふぅーん! ふぅーん! 起きろ起きろ起きろ!」
「無駄な事を」
「分かった。俺の敗けだ」
「じゃあ餃子パン作るか? 基本を教えてやる」