026(逆襲)
ーーリュウとアキはアナザーシープ城の展望台からスタートだ。いつもはサバンナの草原から始まったが、今回は様子が違う。辺りに誰も居なかったのが不幸中の幸いだ。
「アキ、変装しよう」
「またお姫様になるたい」
「ダメ。ここのお姫様と瓜二つみたいだし。魔法使いなんてどうかな」
「むう~」
「魔法使い姿も可愛いと思うよ」
「分かったと」
ボン。アキは黒魔法使いに変身した。三角帽子にローブとマント、木のロッドを装備する。
ボン。リュウも変身した。白騎士パラディンに。白色の甲冑に聖剣エクスカリバーを装備する。
「よし。これなら大丈夫だろう。城の中を探索して、国王が居たら倒しちゃお」
「リュウ君、本当にそれでいいと?」
「え?」
「人間も悪いとよ」
「だが」
「国王さんが居たら話して妥協策を探すとよ」
「分かった。だが、アキに危険が及ぶような事が起きたら問答無用で敵を斬り捨てるからな」
「リュウ君…………分かったと」
リュウとアキは城の探索を始めた。
ーーその頃、ヤコはアナザーシープの城下町に居た。目立つ格好をしていたから急いで建物の物陰に隠れて変装する。キャバ嬢の血が騒ぐのか、またお姫様姿になるよう念じた。しかし、ボン。柴犬になってしまった。
「ワン。マジかよ~。ワン! リュウ、どこよーーー!」
ヤコ犬は取り敢えず、ゴミ山の方へ行くことにした。人間の時より走るのが楽しい。ヤコ犬は猛ダッシュで駆けていく。
「わんわんお! わんわんお!」
街の人がヤコ犬に声を掛ける。
「まあ、可愛いワンちゃん。どこ行くの?」
「わんわんお! わんわんお!」
ヤコ犬は暫く走って、ゴミ山に着く。高さ100メートルはある。瓦礫や粗大ゴミ、生ゴミで構成されていた。
「ここは暑いわね。犬になっちゃったからかしら」
すると、ゴミ山の陰に作業員が数人居た。ヤコ犬は物陰から様子を見る。
「いつものタイミングで撒くぞ。準備はいいかー!」
「「「アイアイサー!」」」
上空に巨大な穴が開き。ガラガラガラーー!! 新たに地球からアナザーシープにゴミが棄てられた。
「今だーー! 地球に向かって二酸化炭素をばら蒔けえーー!」
作業員達は直径1メートルほどのバルーンを空いた穴に吸い込ませていく。バルーン1つで中華人民共和国の1年分の温室効果ガスを地球に撒く事が出来る。作業員達は数十個のバルーンを放った。
「ボス、作業完了であります!」
「よーし。これで地球の温度は最低でも0.05℃は上がるぞ」
ヤコ犬は後退りをする。しかし、足に瓦礫の鉄パイプが当たり、カランカラン。
「誰だ!?」
「わんわんお! わんわんお!」
ヤコ犬は作業員に取り囲まれた。
「なんだ、犬か。ここは危ないから街へ行きな」
「わんわんお! わんわんお!」
ヤコ犬は走ってゴミ山から離れる。危なかった。