018(アナザーシープの真実)
ーーリュウ達はアナザーシープ城の門をくぐり、アナザーシープ城に到着した。高さ200メートルはある巨大な城だ。老執事は馬車のドアを開けて降りる。リュウは、アキの手を取り、エスコートする。
「お姫様、降りましょう」
「リュウ君」
アキの頬が赤く色づく。それを見ていた老執事は咳払いをする。
「おっほん。それでは勇者殿、我がアナザーシープ城をご案内致しましょう。ゼニア姫はお部屋にお戻りください」
「嫌。うちも行く」
「お好きになさってください。但し、城の外にはくれぐれも出ないでいただきたい」
「分かったと」
リュウとアキは老執事に連れられてエレベーターホールに着いた。
「首を痛めそうなくらい高い城だが、まさかエレベーターがあるとはな」
「おや。勇者殿は地方出身との噂でしたが、エレベーターをご存知とは。博識でありますね」
「常識だよ」
「ほほう。では最上階へご案内致しましょう。着いてきてください」
リュウ達はエレベーターに乗る。地球のと大して変わらない造りをしていた。ぐぐっと上昇して30秒ほどで最上階に着いた。チーンとベルが鳴り、ドアが開く。そこは東京スカイツリーの展望台の様に360度見渡せる仕組みになっていた。
「すごーい。高いとよ、リュウ君」
アキは高い建物に登った事がないから興奮している。リュウは窓ガラス越しに外を見ると違和感を感じた。リュウは備え付けの双眼鏡で見る。そこには巨大なゴミの山が幾つもあった。
「あれはなんだ?」
「おや、勇者殿はご存知ないのですか? あれは地球人が棄てていくゴミの山ですよ」
「俺た……地球人が棄ててるだと」
「都合のいい話ですよね。要らなくなったら棄てる。そして、自分達、地球人に影響のないアナザーシープへ廃棄してるのですから。中には放射能汚染された物まで。我々の怒りも限界なのですよ」
「なるほど。それで地球人を殲滅か」
一人の近衛兵が老執事の元へ駆け寄ってきた。
「申し上げます」
「何事ですか? ゼニア姫の御前ですよ」
「え? 今しがたゼニア姫がお帰りになられたと」
「え? それはまことか? ゼニア姫はここに…………。ゼニア姫、そういえばお召し物が違いますな」
「うちがゼニアとよ」
「ゼニア姫はそんな喋り方はせん! 貴様、何者だ!?」
リュウはアキの前に立つ。
「アキ、起きると念じろ」
「分かったとよ」
「勇者殿! 何故、偽物を庇うのですか!?」
「ばっかもーん! 先に来たのが本物のルパンだー!」
「は?」
ボンッ、ボンッ。リュウとアキは目覚めて事なきを得た。